2026.10.23 (更新 2026.10.22) · 12分で読める AIツール比較

PHP 脆弱性|PHP 緊急アップデートは自社も対象か・誰に何を頼むか

PHP 脆弱性と PHP 緊急アップデート:先に結論と確認日時

2026年10月21日の夜(日本時間)、PHP の開発チームが、重大な脆弱性(ソフトの弱点)2件を直した修正版を公開しました。外部から勝手にプログラムを動かされるおそれがあります(リモートコード実行=RCE)。いわゆる PHP の緊急アップデートです。PHP 公式の告知、米国の CISA(サイバー防衛機関)、日本の IPA(情報処理推進機構)などの一次資料を、2026年10月22日 9時時点で確認しました。

先に結論です。

状況は変わりえます。最新の情報は、PHP 公式と、契約先(サーバー会社・制作会社)のお知らせで読み直してください。

目次

PHP の緊急アップデート:最初の2日の流れ 1つ目はPHPのバージョンを調べる。2つ目は制作会社やサーバー会社に聞く。3つ目は更新の前にバックアップを取る。4つ目は修正版へ更新する。担当者が行う。5つ目は表示と動作を確かめる。下の帯に、当社の整理であり公式の手順ではないこと、確認日が2026年10月22日であることを書いた図 最初の2日の流れ(PHP の更新) 1 PHP のバージョンを調べる 2 制作会社・サーバー会社に聞く 3 更新の前にバックアップ 4 修正版へ更新(担当者が行う) 5 表示と動作を確かめる 当社の整理(公式の手順ではない) 確認日 2026年10月22日 AI Lab OISHI

PHP とは何か:ウェブサイトの裏で動く調理場

PHP は、ウェブサイトの裏側で動くプログラミング言語です。サーバー(サイトを置いているコンピューター)の中で、閲覧者のアクセスを受け取り、ページを組み立てて返します。たとえるなら、レストランの調理場です。注文が入るたびに、その場で料理を作って出します。

W3Techs(ウェブ技術の統計会社)の2026年10月21日の集計では、サーバー側の言語が分かるサイトの69.3%が PHP を使っています。WordPress も PHP で動くため、中小企業のサイトの多くが関わります。

今回の弱点は、各サイトのメニュー(WordPress やテーマ)ではなく、調理場の設備そのものにあります。

PHP の利用に気づきにくい場合もあります。IPA は、PHP が製品や機器の内部で使われ、利用者が把握できないことがあるとして、マニュアルや開発元の情報で確かめるよう案内しています。

何が見つかったか:2件の脆弱性と深刻度の数字

脆弱性には、世界共通の識別番号(CVE)が付きます。今回は次の2件です。

たとえるなら、前の注文の食材が残った調理台で、次の料理を作り始めるようなものです。この弱点を突かれると、ID やパスワードなしで、外から送ったアクセスだけで、サーバー上のプログラムを動かされるおそれがあります。

PHP 公式は、Apache に組み込む方式(mod_php)で最も危険が高いとしています。ただし対象は、PHP-FPM(別の窓口で PHP を動かす方式)など、ウェブのアクセスを処理するすべての構成です。

深刻度の数字は、評価した主体と物差しの版で変わります。

評価した主体 数字(物差しの版)
PHP 開発チーム(CVE を割り当てた側) 9.2(CVSS v4.0)。2件とも
NVD(米国の脆弱性データベース) 9.8(CVSS v3.1)。2件とも
公開前に出回った数字 10.0。PHP 開発チームの数字ではない

出典:PHP 公式の告知、NVD、PHP 財団のブログ(2026年10月22日確認)。

CVSS(深刻さを0〜10で表す共通の物差し)は、版が違うと計算も違います。9.2 と 9.8 は大小を比べる数字ではなく、どちらも最も重い「Critical(重大)」の区分です。

自社は関係あるか:PHP を使っているかと、版の調べ方

PHP を使っていれば対象になりえます。次の順で確かめます。

WordPress のサイトの場合

管理画面の「ツール」の「サイトヘルス」を開き、「情報」タブの「サーバー」を見ると、PHP のバージョンが分かります。WordPress 公式の表記は Tools > Site Health > Info > Server です。自分の系統の修正版(8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35)以上なら、公式の修正版の番号に達しています。

ただし、数字だけでは判断できない場合があります。配布元が修正を取り込むと、版の数字は変わらないことがある、と The Hacker News は指摘しています。数字が古くても、契約先に確かめます。

ほかのサイトや業務システムの場合

WordPress 公式によれば、多くのホスティング会社では、PHP の版を利用者が自分で変えられます。画面の名前は会社ごとに違うため、各社のマニュアルで確かめます。見られない場合や、予約・会員のシステムは、制作会社に聞くのが近道です。

PHP 8.1 以前の場合

PHP 8.1 の公式サポートは2025年12月31日に終わっています。サポートの終わった版は、部品の供給が止まった古い機械のようなものです。PHP 公式は修正版を出していません。ただし、Linux の配布元などが修正を取り込む場合があります。PHP 開発チームは、7.4・8.0・8.1 向けの簡易な修正も、ソースの形で公開しました(自分でビルドする人向け)。

PHP の版と、公式の修正版 PHP 8.5は8.5.12以降。8.4は8.4.27以降。8.3は8.3.36以降。8.2は8.2.35以降で、2026年12月31日で修正も終了。8.1以前は公式の修正版なしで、契約先の独自修正が出る場合がある。下の帯に、PHP公式の2026年10月21日の告知に基づくこと、自社の版は契約先に確認することを書いた図 PHP の版と、公式の修正版 PHP 8.5 → 8.5.12 以降 PHP 8.4 → 8.4.27 以降 PHP 8.3 → 8.3.36 以降 PHP 8.2 → 8.2.35 以降 2026年12月31日で修正も終了 PHP 8.1 以前 → 公式の修正版なし 契約先の独自修正が出る場合あり PHP公式の告知(2026年10月21日) 自社の版は契約先に確認 AI Lab OISHI

公式の影響範囲の一覧(CVE の記録)に載るのは、8.2〜8.5 です。8.1 以前は、この一覧に載っていません。一方、Wiz、Cloudflare、Google Cloud は、5.4 以降のほぼすべてが影響を受けると説明しています。当社の整理では、古い版は「影響がない」ではなく「公式の修正版が出ない」と考えます。

W3Techs の2026年10月21日の集計から当社が計算すると、PHP を使うサイトの約48%が 8.1 以前です(外から版が見えるサイトだけ)。

8.2 にも期限があります。PHP 公式のサポート表では、8.2 のセキュリティ修正は2026年12月31日で終わります。WordPress 公式の要件は、推奨を PHP 8.3 以上としています。8.2.35 に更新しても、8.3 以降への移行計画は要ります。土台を放置するリスクは、ホームページを放置するデメリットの記事で整理しています。

最初の2日でやること:確認・連絡・バックアップ・更新・確認

自分で PHP を触らない場合も、順番は同じです。

  1. 調べる:前の章の方法で、PHP のバージョンを確かめます。管理画面が見られないときは、お知らせを読み、制作会社に聞きます。
  2. 聞く:PHP を更新する人を確かめます(下の図)。質問は次の章のひな形で足ります。
  3. バックアップを取る:更新で表示や機能が崩れることに備えます。工事の前に撮る部屋の写真のようなもので、戻す先がないと直せません。WordPress 公式も、更新前のバックアップを勧めています。
  4. 更新する:担当者が行います。更新後は、動いている PHP の再起動が要ると、Hadrian や The Hacker News が指摘しています。
  5. 確かめる:トップページ、問い合わせフォーム、ログイン、決済、予約など、売上に関わる画面を開いて見ます。
PHP を更新するのは誰か 共用レンタルサーバーは、サーバー会社のお知らせで確認する。VPSや自分で借りたサーバーは、自分か保守担当者が更新する。制作会社が保守している場合は、制作会社に更新を依頼する。下の帯に、当社の整理であり契約内容で変わること、迷ったら支払い先に聞くことを書いた図 PHP を更新するのは誰か 共用レンタルサーバー サーバー会社のお知らせで確認 VPS・自分で借りたサーバー 自分か保守担当者が更新する 制作会社が保守している 制作会社に更新を依頼する 当社の整理(契約内容で変わる) 迷ったら、支払い先に聞く AI Lab OISHI

更新する人は、契約で変わります。保守の内訳は保守費用の記事に、
連絡のつかない制作会社は制作会社の変え方の記事にあります。

制作会社・サーバー会社に聞く質問(ひな形)

たとえるなら、整備士への問診票です。そのまま送れる形にしました。

聞くこと 聞く理由
当社のサイトの PHP の版はいくつですか。 対象かどうかと、8.1 以前かどうかが分かります。
修正版(または御社独自の修正)は適用済みですか。未適用ならいつ、当社側の作業と費用は要りますか。 版の数字が古くても、独自の修正が入っている場合があります。
更新の前にバックアップを取り、不具合が出たら戻せますか。 更新で表示が崩れた場合の備えになります。
反映(PHP の再起動を含む)まで済んだら、知らせてもらえますか。 更新しただけで反映されていない状態を防げます。
公開から更新までの間に、不審なアクセスの記録はありましたか。 英国の NCSC は、侵害の兆候の確認も勧めています。

質問は当社の案です。理由は各公式の記載による。

8.1 以前の場合は、移行の予定、方法、費用も聞きます。

更新できないとき:移行・停止・アクセス制限と、設定変更の限界

古い PHP でしか動かない業務システムなど、すぐ更新できない場合があります。選択肢は3つです。

  1. サポート中の環境へ移す:8.2 以降を動かせる別のサーバーへ移すか、作り直します。時間と費用がかかるため、移行までは2と3を併用します。手順はサーバー移転ガイドにあります。
  2. 更新まで止める:CISA は、更新できない場合や 8.1 以前を使い続ける場合に、更新までオフラインにするよう推奨しています。英国の NCSC も停止の検討を求めています。鍵を替える間の臨時休業のようなもので、問い合わせや予約が止まるため、事業への影響と比べて決めます。
  3. アクセスを絞る:社内でしか使わないシステムは、社内の通信先だけに限ります。WAF(Web 向けの防火壁)は、入口に立つ警備員のようなものです。CISA は更新までの一部の保護になりうるとしますが、設備の不具合は直せません。
更新できないときの3つの選択肢 1つ目はサポート中の環境へ移す。2つ目は更新までサイトを止める。CISAと英国NCSCが検討を求めている。3つ目はアクセスを制限する。補助であり更新の代わりにはならない。下の帯に、設定変更は完全な対策ではないというPHP公式の記載を書いた図 更新できないときの3つの選択肢 1 サポート中の環境へ移す 時間と費用がかかる 2 更新までサイトを止める CISA・英NCSCが検討を求める 3 アクセスを絞る(補助) 更新の代わりにはならない 設定変更は完全な対策ではない PHP公式の記載(10月21日) AI Lab OISHI

設定を変えて一時しのぎをする方法も、PHP 公式は示しています。たとえば session.upload_progress.enabled を 0 にして、すべてのワーカーを再起動する方法です。ただし公式は、これらは特定の攻撃経路を減らすだけで、守られた状態にはならないと明記しています。設定は担当者が行い、更新までのつなぎにとどめます。

レンタルサーバー各社の対応:公式のお知らせで確認できた範囲

主要なレンタルサーバー各社の公式のお知らせを、10月22日朝に確認しました(読めなかったものもあります)。PHP との関係を明記していた会社のうち、次の3社を表にしました。

サービス お知らせの内容(10月22日朝の確認)
エックスサーバー 10月22日6時45分時点で、PHP 8.2〜8.5 は対象の全サーバーに修正パッチを適用済み。旧バージョンは、準備の整ったものから順次適用。公式サイトとサーバーパネルなどは一時停止中。利用者のサイトの表示とメールは通常どおりと案内。
ロリポップ!・ヘテムル PHP の脆弱性を理由に、予防の緊急メンテナンス中。サービスサイトと管理画面が利用できない。サイトへの修正の適用状況は、お知らせに記載がない。ヘテムルは、運用に支障があると判断した場合、予告なくサイトを停止・制限することがあると案内。

各社の公式のお知らせ(2026年10月22日朝に確認。随時更新されます)。

このほか KAGOYA と CPI も、10月21日付のお知らせで PHP の脆弱性への対応に触れています(KAGOYA は PHP 8.2〜8.5 のレンタルサーバープランを順次更新する予定、CPI は管理画面を停止中でサイトの表示は通常どおりと案内)。残りの会社は、当社が読んだ範囲のお知らせに PHP の記載がありませんでした。更新の有無は書けないため、契約先のお知らせで確かめてください。

悪用の状況と経緯:誰がいつ報告したか

攻撃を試みる通信を見た、という報告は複数あります。一方、成功して被害が出たと確認できる一次資料は、当社が確認した範囲では見当たりませんでした。

悪用の報告:主体と時点つきの整理 米国CISAは10月21日の告知の時点で悪用を観測していない。日本のIPAは10月21日の時点で攻撃を確認していない。セキュリティ会社各社は10月21日に攻撃の試みを観測したと報告している。成功して被害が出た例は、10月22日朝の当社の確認範囲では見当たらない。下の帯に、主体ごとに内容が違うこと、状況は変わりうることを書いた図 悪用の報告:主体と時点つき CISA(米国)10月21日 告知の時点で悪用を観測せず IPA(日本)10月21日 その時点で攻撃を確認せず セキュリティ各社 10月21日 攻撃の試みを観測したと報告 成功して被害が出た例 当社の確認範囲(10月22日朝)では見当たらず 報告は主体ごとに内容が違う 状況は変わりうる AI Lab OISHI

GMO Flatt Security は、攻撃に使えると主張するコードが出回り始めたと報告しています。言い方の違いは、見ている場所(おとり、防火壁、顧客のサイト)の違いと、当社は見ています。各社の観測は、当社では検証していません。

なお Wiz は、発見と攻撃コードづくりにAIを使い、数か月かかる作業を1人の研究者が約1週間で終えたと説明しています。これは Wiz の主張です。AIと攻撃の速度は、Microsoftの防衛レポートの記事で扱っています。

公開前に出回った経緯

PHP 財団によれば、日本時間の10月21日午前0時ごろ、2件の CVE 番号が掲示板や SNS に出回りました。誤った公開時刻と、誤った10.0の数字が付いていました。技術的な詳細は漏れなかったと財団は説明し、PHP は公開を1日早めました。その後、報告した研究者側が誤って公開した実演の動画が広まり、攻撃の試作コードの開発を早めた、とも書いています。

国内の公的機関

IPA は、サポートの終わった古い PHP を使い続けるサイトも見受けられると書いています。共同通信は、国家サイバー統括室も注意喚起したと報じています。JPCERT/CC の注意喚起の一覧では、10月22日朝の時点で、この件を確認できませんでした。

確認できなかったこと

公式の資料で確認できなかった点です。「書かれていない」ことは、「ない」ことではありません。

よくある質問

PHP の脆弱性は、WordPress を更新すれば直りますか。

直りません。問題は WordPress ではなく、土台の PHP にあります。WordPress 公式は、WordPress の更新は不要とし、サーバーの PHP の更新を求めています。

自社が PHP を使っているか、どう調べますか。

WordPress なら、管理画面の「ツール」の「サイトヘルス」の「情報」タブで分かります。ほかは、サーバー会社の案内か制作会社への問い合わせで確かめます。

PHP 8.1 以前を使っています。どうすればよいですか。

PHP 公式は、8.1 以前の修正版を出していません。契約先が独自に修正を出す場合があるため、まず確認します。CISA は、更新できない間はオフラインにするよう推奨しています。

実際に攻撃されていますか。

10月21日の時点で、米 CISA と IPA は悪用を確認していないとしています。一方、複数のセキュリティ会社が攻撃の試みを観測したと報告しています。成功して被害が出た例は、当社の確認範囲では見当たりません。

更新の前に何をしておきますか。

サイトのバックアップを取ります。更新で表示や機能が崩れることがあるため、戻せる状態にしてから更新します。

まとめ

2026年10月21日に、PHP の重大な脆弱性2件の修正版が公開されました。PHP を使うサイトが対象になりえて、WordPress の更新だけでは直りません。最初にやるのは、確認、連絡、バックアップ、更新、動作の確認です。すぐ更新できない場合は、移行・停止・アクセス制限を事業への影響と比べて決めます。

参照元・出典

本記事は 2026年10月22日 9時の確認時点のものです。最新は、PHP 公式と契約先のお知らせでご確認ください。

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