ホームページを放置するデメリット|更新されないサイトの実害と月15分の保守手順
この記事は、更新が止まったまま数年が過ぎてしまった経営者の方に宛てて書いています。ホームページを放置するデメリットと、その直し方をお伝えします。自社のホームページを最後に更新したのがいつだったか、すぐに思い出せますか。もし「たしか作ったときのまま」「去年の年末に電話番号だけ直した気がする」くらいの記憶しか出てこないとしたら、この記事はまさにその状況のために書きました。
お会いする経営者の方から、こんな言葉をよく聞きます。「更新した方がいいのは分かっている。でも何を直せばいいのか分からないし、そもそも触り方を忘れた」。もっともだと思います。ホームページは、放っておいても誰からも催促されません。請求書のように期日が来るわけでも、機械のように音を立てて止まるわけでもありません。静かに、何も言わずに古くなっていくだけです。だから後回しになります。それは怠慢ではなく、仕組みがないだけだと私たちは考えています。
この記事でお伝えしたいことは2つです。ひとつは、更新されないホームページが具体的に何を失っているのか。もうひとつは、それを取り戻すのに必要な作業は月15分で足りる、ということです。あわせて、はっきり書いておきます。「更新すれば検索順位が上がる」という説明は、Googleの公式資料に照らすと正確ではありません。順位のために更新するのではなく、書いてあることが本当のままであるために更新する。この違いに気づくことが、放置から抜け出す最初の一歩になります。
先に、この記事の要点を3つだけ
- 放置の実害は「信用」「機会損失」「安全」「表示」の4方向。そのうち3つは社内にいる限り気づけません
- 「更新すれば順位が上がる」は正しくありません。効くのは順位ではなく、書いてある事実が正しいことです
- 更新は2種類に分けます。事実保全(営業時間・料金・採用)だけなら、月15分の点検で、ずれに気づける状態を保てます
「放置」は、何もしていない状態ではありません
まず、放置という言葉のイメージをひとつ修正させてください。多くの方は「更新していない=作った当時のまま止まっている」と考えます。実際は違います。ホームページは、誰も触らなくても時間の側が勝手に状態を変えていきます。人が住まなくなった家が、雨漏りや傷みで数年のうちに見違えるほど傷んでしまうのと同じようなものです。
触らなくても変わってしまうものを、いくつか挙げます。
- 暗号化の証明書(SSL):ブラウザのアドレスバーに出る鍵マークを支えている証明書には有効期限があり、切れると訪問者に「この接続は安全ではありません」という警告画面が出ます
- サイトを動かすソフトウェア:WordPressのようなCMS(記事や情報を管理する仕組み)とその拡張機能、土台となるPHPには更新やサポートの期限があり、放置すると穴が開いたままになります
- 契約:ドメインとサーバーの契約更新日は毎年やってきます。支払いカードの期限切れに気づかず失効するのは、実際によくある事故です
- 外の世界:リンク先のページが消える、地図サービスの仕様が変わる、SNSの埋め込みが表示されなくなる
- 自社の事実:営業時間、料金、取扱商品、対応エリア、資格や許認可、採用の有無。会社が動いている限り、書いてある内容は毎月少しずつ実態からずれていきます
とくに証明書は、ここ数年で「放っておける期間」そのものが短くなっています。証明書のルールを決める国際的な業界団体CA/Browser Forumは、2025年4月に可決した議案(Ballot SC-081v3)で、サーバー証明書の最大有効期間を2026年3月から2029年3月にかけて段階的に短くしていくことを決めました。たとえるなら、建物の入館証の有効期限が1年から半年へ、やがて数か月へと短くなっていくようなものです。自動更新が生きていれば気づかないまま済みますが、設定が壊れたまま放置されたサイトでは、期限切れに出くわす回数が確実に増えていきます。
つまり放置とは、何もしていない状態ではなく、誰も見ていない場所で少しずつ壊れていく状態です。
ホームページを放置するデメリットを、4つに分けて見る
「更新していないと良くない」という漠然とした不安を、具体的な損に翻訳します。実害は大きく4方向から来ます。厄介なのは、そのうち3つが社内にいる限り気づけない種類の損だという点です。
① 信用の実害|「この会社、まだ動いているのか」
いちばん静かで、いちばん効くのがこれです。相手はあなたの会社を検討するとき、ほぼ必ず会社名で検索します。
採用の場面では数字が出ています。キャリタスが2025年3月卒業予定の大学4年生1,030名に行った「2025年卒 採用ホームページに関する調査」(2024年6月14日〜21日実施・インターネット調査)では、志望企業の研究に有益な情報源の1位が「個別企業のホームページ」で63.1%。採用ホームページのデザインや情報が古いことが志望度に影響するかという問いには、「とても影響する」26.7%、「やや影響する」61.1%、合わせて87.8%が「関心や志望度が下がる」と回答しています。自由回答には「採用にあまり力を入れていない印象」「時代の変化に追いついていない」といった声が並びます。
これは学生に限った話ではなく、取引先も同じ目で見ています。最新のお知らせが3年前のまま並んでいるサイトは、シャッターが半分だけ開いた店のようなものです。営業しているのかどうか、外からは判断がつきません。判断がつかなければ、人は無難な方——つまり連絡しない方——を選びます。
② 機会損失の実害|連絡が来なかったことは、記録に残らない
2つ目は、いちばん気づけない損です。営業時間が実際と違う、電話番号が旧番号のまま、料金表が2年前のもの、対応エリアの記載が古い。こうした食い違いがあると、見込み客は静かに離れます。しかも「サイトの情報が古かったので他社にしました」とわざわざ教えてくれる人はいません。Googleビジネスプロフィールのヘルプでも営業時間を正確に保つことが案内されていますが、地図側だけ直してサイト側は古いまま、という食い違いも珍しくありません。
大事なのは、機会損失が帳簿に載らないことです。売上が落ちた理由を社内で探しても、「サイトの営業時間が違っていた」という選択肢は最後まで出てきません。言い換えれば、この損は測れないから放置されるのです。だからこそ、点検を「気づいたらやる」ではなく、予定表に載った作業に変える必要があります。
③ 安全の実害|開いた穴は、開けっぱなしにすると使われる
WordPressなどのCMSで作られたサイトは、更新を止めると穴が開いたままになります。セキュリティ企業Patchstackが公開した「State of WordPress Security in 2026」によれば、2025年にWordPress関連で新たに確認された脆弱性は11,334件で前年比42%増。そのうち91%は本体ではなくプラグイン(拡張機能)で見つかっています。同レポートは、よく狙われる脆弱性で、公開から最初の攻撃が観測されるまでの中央値がおよそ5時間だったとも報告しています。ここまで速いと、人が気づいてから動く運用では追いつきません。
土台のPHPにも期限があります。PHP公式のサポート表では、PHP 8.2のセキュリティ修正が2026年12月31日で終了する予定と示されています。国内ではIPA(情報処理推進機構)も、CMSと拡張機能を最新の状態に保つことをウェブサイト運用管理の基本として案内しています。
改ざんの怖さは、被害が自社で止まらない点にあります。訪れた人にウイルスを配ってしまえば、迷惑をかけるのは取引先や顧客です。ちょうど、店の水道が汚染されたまま営業を続けるように、被害は自分の外へ広がっていきます。ホームページは会社の設備であり、設備には点検義務がある。そう考えると、更新は宣伝活動ではなく管理業務だと分かります。
④ 表示の実害|「昔はそうだった」は通らない
4つ目は、書いてある内容そのものが問題になるケースです。一般消費者に向けて商品やサービスの価格・内容を表示する事業では、実際よりも有利な条件を示し続けると、消費者庁が所管する景品表示法が定める「有利誤認表示」に当たらないか、という論点が生じ得ます。もちろん、古い記載があれば直ちに違反と判断されるわけではありませんし、取引相手が事業者だけの会社にそのまま当てはまる話でもありません。ただ、「更新を忘れていました」は説明にはなっても、相手の不信を消してはくれません。
キャンペーンが終わったのに「◯月末まで」のバナーが残っている、廃止したプランの料金がまだ生きている、退職した担当者の名前が窓口として載っている。こうした記載は、法律の話になるずっと手前で、まず問い合わせ現場のトラブルになります。「サイトにはこう書いてありましたよね」と言われて説明に回る時間は、誰にとっても損です。
「更新すれば検索順位が上がる」は正しくありません
ここは誤解が多いので、はっきり書きます。更新を勧める文章の多くが「更新頻度が高いサイトはSEOに強い」と説明しますが、Googleの公式資料はそう言っていません。
Googleが公開している「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」には、避けるべき行為の自己診断としてこんな問いが並んでいます。コンテンツを実質的に変えていないのに、ページを新鮮に見せるために日付だけを変えていないか。サイトを「新鮮」に見せれば全体の検索順位が上がると信じて、大量のコンテンツを追加したり削除したりしていないか。後者については、そうしても順位は上がらないとはっきり書かれています。日付だけ書き換える運用は、中身を入れ替えずに賞味期限のシールだけ貼り替えるようなものです。
では、新しさが無関係かというと、そうでもありません。Googleの「検索の仕組み」では、ランキングを決める要素のひとつとして情報の新しさが挙げられており、その例として現在進行中のニュース、スポーツの得点、企業収益といった話題が示されています。逆に言えば、辞書的な定義や、変化の少ないサービス紹介ページでは新しさの比重は小さくなります。「板金塗装の料金」を説明するページが、毎週更新したから上がる、という話ではないのです。
一方で、更新を止めることで実際に起きる変化もあります。Googleのクロール バジェットに関する解説では、Googleのシステムは変更が反映されるのに十分な頻度でページを再クロール(巡回)しようとし、人気の高いURLほど情報が新しく保たれるよう頻繁に巡回される、と説明されています。ずっと変化のないサイトは、巡回の間隔が空いていきます。これは郵便配達のようなもので、何も出さない家にも配達員は来ますが、回ってくる頻度は落ちます。困るのは、いざ営業時間を直したときに、検索結果への反映が遅れることです。順位が下がるのではなく、直した事実が世に出るのが遅い。この2つは、分けて考えてください。
整理すると、更新の価値はSEOではなく正確さにあります。検索から来た人が見たページに、いま本当のことが書いてある。これがいちばん効きます。順位の数字を追いかける前に、事実を守る。この順序で考えると、必要な作業量は驚くほど小さくなります。
更新を「事実保全」と「集客」に分ける
放置から抜け出せない最大の理由は、更新という言葉が大きすぎることにあります。「更新しなきゃ」と思った瞬間、頭の中には「ブログを書く」「デザインを新しくする」「写真を撮り直す」といった重い作業が浮かびます。重いから始まらない。始まらないから、また1年が過ぎます。
そこで、更新を4つの階に分けて考えます。建物と同じで、下の階ほど土台に近く、下が抜けると上の階は意味を失います。
いちばん下の1階「安全の維持」は、CMSと拡張機能の更新、バックアップ、証明書と契約の期限管理です。ここが崩れると、サイトそのものが消えたり、警告画面に置き換わったりします。宣伝以前の話で、いわば建物の基礎に当たる部分です。
その上の2階「事実保全の更新」が、この記事の主役です。営業時間、定休日、電話番号、住所、料金、対応エリア、採用の有無。間違っていたら実害が出る情報だけを指します。何かを増やす作業ではなく、実態とのずれを直す作業です。ここだけなら、作文の才能もデザインの知識も要りません。
3階の「印象の更新」は、会社概要の数字、沿革、掲載写真、有資格者数など、多少古くても直接の実害はないものの「動いている会社に見える」ために効くものです。そして4階の「集客の更新」が、いわゆるブログ・実績紹介・お知らせに当たります。
放置サイトの立て直しでよくある失敗は、4階から手をつけることです。ブログを毎週書く計画を立て、3週間で止まり、1階と2階は手つかずのまま残る。これは、雨漏りを直さないまま屋上でイベントを企画するようなものです。AI導入がPoC止まりになるパターンと同じ構造で、大きく始めて続かない、が失敗の中身です。
ここからが朗報です。1階と2階だけなら、月15分で回ります。
月15分の保守手順|チェックリスト付き
ポイントは3つ。①毎月同じ日に行う(月初の朝がおすすめです)②順番を固定する ③15分経ったら途中でも終える。時間で区切るのは、終わらない作業にしないためです。ちょうど歯みがきのように、短くても毎回やることに意味があります。
0〜3分|事実を突き合わせる
スマホで自社サイトを開き、次の項目を声に出して確認します。営業時間と定休日、電話番号、住所と地図の位置、料金やプランの表記、会社概要の数字(設立年・従業員数・拠点数)。「合っているはず」と思っても、必ず画面を見てください。頭の中にある情報と、画面に出ている情報がずれている——これが放置サイトの正体だからです。
なお、この3分は「気づく」ための時間です。見つけたずれは、その場で直せるなら直し、時間がかかりそうなら項目だけメモして別枠で直します。点検と修正を同じ15分に詰め込もうとすると、点検そのものが続かなくなります。
年末年始や夏季休業のお知らせが季節外れのまま残っていないか、地図アプリ側の営業時間と食い違っていないかも見ます。
3〜7分|壊れていないか、実際に触る
問い合わせフォームから自分でテスト送信し、受信メールが届くかを確認します。フォームが壊れているのに気づかないのは、放置サイトで最も高くつく事故です。メールサーバーの仕様変更や迷惑メール判定の強化によって、ある日突然届かなくなることがあります。届かなかった問い合わせは、来なかった問い合わせと見分けがつきません。
あわせて、スマホで主要な3ページを開いて表示崩れがないか、アドレスバーに鍵マークが出ているか、メニューの主要なリンクが切れていないかを見ます。
7〜11分|安全を確かめる
管理画面にログインし、CMS本体と拡張機能の更新を当てます。更新の前に、バックアップが取れているか、その日付が新しいかを確認してください。バックアップは、取っているつもりで実は数年前から止まっていた、というのが定番の落とし穴です。
拡張機能の自動更新をあらかじめ有効にしておくと、この4分は「当てる」ではなく「当たっているかを見る」だけの時間になり、毎月の枠に収まります。更新を当てたら、トップページと問い合わせフォームをもう一度開いて、表示と送信が壊れていないかを見ておきます。
管理者アカウントのパスワードが他サービスと使い回しになっていないか、退職者のアカウントが残っていないか、サーバー会社やドメイン会社からの「期限のお知らせ」メールが迷惑メールフォルダに落ちていないかも、ここで見ます。
11〜15分|ひとつだけ足す
最後の4分は、増やす時間です。ただし1つだけ。お知らせを3行書く、写真を1枚差し替える、よくある質問を1問足す。大事なのは、「今月も動いている会社だ」と外から見える更新が1つ残ることです。
そして、次回の日程をカレンダーに入れて終わります。予定に入っていない作業は、来月も存在しません。
| 確認する項目 | どこを見るか | 古いままだと起きること |
|---|---|---|
| 営業時間・定休日 | サイトと地図サービスの両方 | 来店機会を失い、理由も分からない |
| 電話番号・住所 | フッターと会社概要ページ | 連絡がつかず、他社に流れる |
| 料金・プラン表記 | 料金ページとキャンペーン欄 | 現場での説明トラブルの火種になる |
| 問い合わせフォーム | 自分でテスト送信して受信確認 | 問い合わせが丸ごと消える |
| 採用情報 | 募集要項の年度と締切日 | 応募意欲が下がる要因になる |
| CMS・拡張機能 | 管理画面の更新通知 | 改ざんや情報漏えいのリスクが残る |
| バックアップ | 最新バックアップの取得日付 | 障害時に元へ戻せない |
この15分を12回積み上げても、年間3時間に相当します。サイトの作り直しに数十万円をかける前に、まずこの3時間を確保する。それが、いちばん安い投資です。
年に1回だけ、30分もらう作業
毎月15分では扱えない、年1回でよい作業もあります。5つだけ挙げます。
- 契約の棚卸し:ドメインとサーバーの契約更新日、支払い方法(カードの有効期限)、そして名義。とくに名義は、社内の誰の名前で登録されているかを紙に書いて残しておきます
- 証明書の自動更新:SSL証明書が自動更新になっているか、通知先のメールアドレスが今も生きているか。有効期間の短縮が進むほど、手動での更新運用は現実的でなくなります
- 土台の版を確認:PHPのバージョンがサポート期限内か、CMSのメジャー更新に追随できているか。サーバー会社の管理画面から確認できます
- バックアップから戻す練習:取れているかではなく、戻せるかを年に1回だけ試します。消火器と同じで、いざという時に使えなければ置いてある意味がありません
- 全ページの棚卸し:不要になったページ、終了したキャンペーン、リンク切れ。ページを消すこと自体はSEO上の裏技ではありませんが、実態と違うページを残さないという意味では十分に価値があります
年1回の作業は、毎月の点検と同じ日に重ねると忘れません。たとえば「毎年4月の点検日だけは45分」と決めておく方法です。
続かない理由を、根性ではなく仕組みで潰す
ここまで読んで「やることは分かった、でも続く気がしない」と思われたなら、その感覚は正しいです。続かない理由は意志の弱さではなく、たいてい次の3つのどれかに当てはまります。
理由1:誰の仕事か決まっていない
「気づいた人がやる」は、実務上「誰もやらない」と同じ意味です。担当者を1人決めて、その人の月次業務のリストに入れてください。決まっていること自体が大事です。休んだ月のために、代わりの人も1人決めておくと堅くなります。
理由2:触り方が分からない、触ると壊れそう
管理画面のURL、IDとパスワードの保管場所、更新手順を書いた1枚のメモ。この3点がないだけで、更新は止まります。自社の運用を仕組みにしていった記録でも書きましたが、手順を人の頭からファイルへ出すことが第一歩です。属人化したまま「頑張る」は、いちばん脆い設計です。
理由3:頼む先がなく、頼むと有料
小さな文言修正のたびに見積もりが必要だと、更新はほぼ確実に止まります。自社で直せるようにするか、細かい修正を追加費用なしで頼める形にするか、どちらかを選ぶ必要があります。私たちが提供している月額制のホームページ制作サービスでは、文言や写真の修正を回数無制限で受け付け、サーバー・保守・バックアップを月額に含める形にしています。これは「更新の心理的コストをゼロに近づけないと、サイトはいずれ必ず放置される」という前提から決めた設計です。
文章づくりそのものが負担なら、下書きをAIに任せる手もあります。お知らせの3行や、よくある質問の回答文くらいなら、要点を箇条書きで渡すだけで形になります。AIに業務ツールを作らせる考え方や、問い合わせ対応をAIで設計する話と同じで、人がやるべきは「何を伝えるか」を決めることで、それを文章に整える作業は任せられます。
私たちの見解|放置は怠慢ではなく設計の問題
日々AIと自動化で自社の運用を回している立場から言えば、ホームページが放置されるのは、経営者の意識が低いからではありません。更新しないことのコストが、更新することのコストより安く見える設計になっているからです。更新には手間と費用がかかり、効果は見えにくい。一方で、放置のコストは請求書として届きません。この非対称がある限り、精神論では絶対に勝てません。
だから直すべきは意識ではなく、天秤の両側です。更新の側のコストを下げる(手順を固定する、15分に区切る、修正を無料で頼める契約にする)。放置の側のコストを見えるようにする(点検日を予定表に入れ、古い記載を毎月言語化する)。この2つをやれば、続きます。
もうひとつ。ホームページを「作る仕事」と「保つ仕事」は別物だと、はっきり分けて考えたほうがいいと思っています。作るのはプロジェクトで、終わりがあります。保つのは業務で、終わりがありません。両者を同じ予算・同じ担当・同じ気分で扱おうとすると、たいてい後者が消えます。地域のDX状況を統計から読み解いた記事でも触れましたが、道具を持っているかどうかより、持った道具が動き続けているかどうかで差がつきます。
自社サイトの状態をどう診ればいいか分からない、という段階でも構いません。無料相談で、いまのサイトのどこから手をつけるべきかを一緒に整理します。
まとめ
- 放置は静止ではありません:証明書、CMS、PHP、契約、外部サービス。触らなくても、時間の側が状態を変えていきます
- 実害は4方向:信用・機会損失・安全・表示。このうち3つは、社内にいる限り気づけません
- SEOの誤解を捨てる:日付だけの変更や大量削除で順位は上がりません。効くのは、書いてある事実が正しいことです
- 更新は4階建て:立て直しは1階(安全)と2階(事実保全)から。ブログは後回しで構いません
- 月15分で足ります:事実の突き合わせ3分、動作確認4分、安全確認4分、ひとつ足すのに4分。年3時間で、ずれに気づける状態を保てます
今日できることを1つだけ挙げるなら、スマホで自社サイトを開き、営業時間と電話番号が実際と合っているかを見ることです。それだけで、放置はもう終わっています。次に、カレンダーの来月同日に「サイト点検15分」と入れてください。始めるのに必要なのは、予算でも技術でもなく、15分の枠だけです。
よくある質問
Q1. ホームページを放置する最大のデメリットは何ですか?
4方向の実害のうち、いちばん高くつくのは機会損失です。営業時間・料金・電話番号などが実際と違っていると、見込み客は静かに離れていきますが、その理由を教えてくれる人はいません。帳簿にも記録にも残らないため、対策が後回しになり続けます。次に重いのが信用面で、キャリタスが2025年卒業予定の大学4年生1,030名に行った調査では、採用ホームページのデザインや情報が古いと関心や志望度が下がると答えた学生が87.8%に上っています。
Q2. ホームページを更新すれば検索順位は上がりますか?
更新すれば上がる、という説明は正確ではありません。Googleの公式ドキュメントでは、実質的な変更がないのに日付だけを新しくすることは推奨されておらず、サイトを新鮮に見せる目的で大量のコンテンツを追加したり削除したりしても順位は上がらないと明記されています。新しさが強く効くのはニュース性の高い話題で、更新が止まって主に変わるのは検索エンジンの巡回頻度です。順位のためではなく、書いてある情報を正しく保つために更新する、と考えるのが実務的です。
Q3. 忙しくて時間が取れません。最低限どこだけ見ればいいですか?
3つに絞るなら、1つ目は営業時間・電話番号・住所などの基本情報が実際と合っているか、2つ目は問い合わせフォームから自分でテスト送信して受信できるか、3つ目はCMSと拡張機能の更新状況とバックアップの日付です。この3つで、機会損失と安全面の実害の大半をカバーできます。慣れれば5分ほどで終わります。
Q4. 制作会社に頼まないと更新できません。どうすればいいですか?
小さな文言修正のたびに見積もりが必要な状態だと、更新はほぼ確実に止まります。まず、管理画面のURL・アカウント情報の保管場所・更新手順を1枚にまとめて社内で保管してください。そのうえで、文言や写真の修正を追加費用なしで頼める形にするか、自社で直せる仕組みに寄せるか、どちらかを選ぶのが現実的です。更新のたびに費用と手間がかかる設計のままでは、意志の強さで解決するのは難しくなります。
参照元・出典
本記事は2026年8月時点で公開されている資料をもとに作成しました。統計・仕様に関する記述は、以下の公表元で内容を確認しています。
- 一次:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成(Google 検索セントラル公式ドキュメント)
- 一次:検索結果のランキング|Google 検索の仕組み(Google公式)
- 一次:大規模なサイト所有者向けのクロール バジェット管理ガイド(Google 検索セントラル公式ドキュメント)
- 一次:Google 検索での公開日の指定について(Google 検索セントラル公式ドキュメント)
- 一次:Ballot SC-081v3: Introduce Schedule of Reducing Validity and Data Reuse Periods(CA/Browser Forum公式)
- 一次:Supported Versions(PHP公式)
- 一次:安全なウェブサイトの運用管理(IPA 独立行政法人 情報処理推進機構)
- 一次:景品表示法(消費者庁)
- 一次:営業時間を編集する(Google ビジネス プロフィール ヘルプ)
- 一次(調査元の公表資料):2025年卒 採用ホームページに関する調査(株式会社キャリタス/キャリタスリサーチ・2024年7月公表)
- 一次(調査元の公表資料):State of WordPress Security in 2026(Patchstack)