ホームページのサーバー移転ガイド|ドメインそのまま・メールを止めない全手順
ホームページのサーバー移転そのものは、慣れていれば三十分で終わります。問題が起きるのは、そのあとの七十二時間です。金曜の夕方に切り替えて、三十分後には自分のパソコンで新しいサーバーのサイトが表示され、土曜も日曜も何ごともなく過ぎ、月曜の朝になって「先週送った見積依頼、見ていただけましたか」という電話が入る——移転の失敗は、たいていこの順番でやってきます。表示が壊れる事故はすぐ気づけますが、メールが静かに消える事故は、誰かが電話をくれるまで気づけないからです。
この記事では、その七十二時間を無事に通過するための手順を、経営者の方がそのまま業者や社内に指示できる形で並べます。ポイントは、世の中で「サーバー移転」と呼ばれている作業が実は三つの別作業だということ。Google自身も手順書を二つに分けて公開しています。まずどれに当てはまるかを見分け、そのうえでメールを止めないための確認手順に進みます。手順は2026年7月26日に当社ドメインで実際にコマンドを流して確認しました。なお、業者との解約交渉や次の依頼先の選び方はこの記事の範囲外で、ここでは技術的な作業だけを扱います。
読む前に、三つだけ答えてください
Q1. サイトのアドレス(URL)は変わりますか? → 変わるなら、いちばん手間のかかる型です。301リダイレクトとアドレス変更ツールの章まで必ず読んでください。
Q2. ドメインの契約先(管理会社)は変えますか? → 変えるなら、認証コードと期限のルールが絡みます。
Q3. そのドメインでメールを使っていますか? → 使っているなら、MXレコードの章が本記事でいちばん重要です。
三つとも「いいえ」なら、作業は驚くほど単純です。ひとつでも「はい」があるなら、該当する章を読んでから日程を決めてください。
「サーバー移転」と呼ばれる作業は、実は三つある
相談を受けるとき、「サーバーを移転したい」という一言の中身が人によってまるで違います。整理すると、次の三つのどれかです。
①同じURLのまま、サーバーだけを変える。アドレスは今までどおりで、サイトの置き場所だけが新しい会社に移ります。いちばん多いのがこの型です。②ドメインの管理会社を変える。いわゆる「ドメイン移管」で、サイトの置き場所は動きません。動くのは契約先だけです。③URLそのものが変わる。会社名の変更などでドメイン名を取り替える場合がこれにあたります。
この三つを混ぜて考えることが、混乱のいちばんの原因です。Googleは公式ドキュメントをURLが変わらない移転とURLが変わる移転の二本立てで用意しており、やるべきことが別物であることを検索エンジン側からもはっきり示しています。まずは自分がどれなのかを、次の図で確定させてください。
三つが同時に起きることもあります。制作会社を替えると同時にサーバーもドメイン管理会社も移す、というケースです。そのときの鉄則はひとつで、一度に全部を変えないこと。①サーバーを移して落ち着いてから、②ドメインの管理会社を移す、という順番にします。同時にやると、何かが表示されなくなったときに原因が三つの候補に散らばり、切り分けだけで半日が消えます。
住所・案内所・建物|ドメイン、DNS、MXを一度で理解する
ここから先の話が通じるように、五つの言葉だけ押さえます。専門用語は覚えなくてよいので、対応する日常のものだけ頭に入れてください。
ドメインは住所です。「example.co.jp」という文字列そのもので、名刺にも検索結果にも載る、会社の看板にあたります。サーバーは建物です。ホームページのデータが実際に置いてある場所で、ここを変えるのが今回の移転です。DNSは住所と建物を結ぶ案内所のようなもので、「example.co.jpの実体はどのサーバーか」を全世界に案内しています。その案内所が出している掲示は二枚あり、Aレコードが「ホームページはこの建物へ」、MXレコードが「郵便物はこの窓口へ」と書かれた一枚です。
ここで、移転の事故のほとんどが生まれる分かれ道を説明します。サーバーを切り替える方法には二通りあり、ネームサーバーごと新しい会社に変えるやり方と、今の会社の管理画面でAレコードだけを書き換えるやり方があります。前者は案内所そのものを新しい会社の建物に移すのに相当するため、掲示物が全部いったん白紙になり、新しい会社の初期設定が貼られます。つまりメールの届け先を書いた掲示も、黙って書き換わります。レンタルサーバー各社の公式手順が最後の最後にネームサーバー変更を置いているのは、ここが後戻りしにくい一手だからです。
もうひとつ、TTLという言葉だけ覚えてください。案内所の掲示には「この案内は何秒間そのまま信じてよい」という有効期限がついており、これがTTLです。イメージとしては、駅前の掲示板に貼られた案内が、次に貼り替えられるまで各地の窓口で使い回される時間です。TTLが二十四時間なら、切り替えても最大一日は古い案内で動く人が残ります。だから移転の前にこれを短くしておきます。
①ホームページのURLはそのままでサーバーを変える|Google公式に沿った七手順
いちばん多い型です。Googleの公式手順を実務の順番に並べ直すと、次の七つになります。
- 新しいサーバーにサイト一式を用意して、全機能を試す。表示だけでなく、問い合わせフォームの送信、SSLの鍵マーク、会員ページのログイン、予約機能まで触ります。多くのレンタルサーバーには、切り替え前に本番と同じ内容を確認できる動作確認用のURLがあります。
- 検索エンジンが新サーバーを見られるか確かめる。Search ConsoleのURL検査ツールで、新しい置き場所にGooglebotが到達できるかを見ます。
- 移転の一週間以上前に、TTLを数時間程度まで下げる。Googleの公式ドキュメントは、TTLを控えめに低い値、たとえば数時間まで下げることを、移転の少なくとも一週間前に行うよう案内しています。
- テスト用の目隠しを外す。準備中に入れたrobots.txtの拒否指定やnoindexの記述を消します。この消し忘れが、移転後に検索結果からページが消える最頻の原因です。
- DNSを新サーバーに向ける。ここが切り替えの瞬間です。
- 新旧両方のサーバーのログを見る。アクセスが旧から新へ移っていく様子を、二つのログで確認します。
- 旧サーバーへのアクセスがゼロになってから停止する。Googleは「何日で切ってよい」という数字を出しておらず、アクセスが実際にゼロになるまで待つよう求めています。
サーバー移転でSEOはどうなるか
移転後の検索順位について、先に不安を消しておきます。Googleは、移転直後にクロールの頻度が一時的に落ち、その後数日かけて戻っていく(移転前より高くなることもある)のは正常な動きだと説明しています。順位が落ちたように見えたときにまず疑うべきは、検索エンジンではなくサイト側の消し忘れです。noindexが残っている、画像や読み込みファイルのパスが切れている、SSL証明書が新サーバーに入っていない——SEO上の実害を生むのは、この種の単純な取りこぼしです。なお、この型では次章以降で出てくるアドレス変更ツールは使いません。住所が変わっていないので、届け出るものが無いからです。
メールを止めないMX確認手順|移転でいちばん多い事故
ここが本記事の中心です。サイトの表示が壊れれば誰かがすぐ気づきますが、メールの事故は静かに進みます。届かないメールは受信箱に「無い」だけで、送った側にもエラーが返らないことが多いからです。以下の四つを順番に実行してください。
ステップ1|今のMXレコードを控える
変更する前に、今の状態を記録します。パソコンに詳しい方なら、ターミナルで「dig MX 自社ドメイン」と打つだけです。詳しくない方は、ブラウザで使えるDNS確認ツール(Googleが公開しているAdmin Toolboxなど)に自社ドメインを入れれば同じ結果が見られます。参考までに、当社ドメインで2026年7月26日に実行した結果を挙げると、メールの届け先としてGoogle系のサーバーが優先度つきで五件、ネームサーバーが五台、送信元を証明するSPFの記述が一件、という内容が数秒で表示されました。この画面をそのまま保存しておけば、万一おかしくなったときに元へ戻せます。
この一手間を飛ばすと、事故が起きた瞬間に「もともと何だったか」を誰も言えなくなります。控えを取るのは、引っ越し前に部屋の写真を撮っておくのと同じです。
ステップ2|メールの使い方を棚卸しする
次に、そのドメインでメールをどう使っているかを一覧にします。項目は五つです。アカウントの一覧とパスワードの管理者、各アカウントの使用容量、転送設定(別のアドレスへ自動で流している設定が意外と残っています)、自動応答、そしてSPFレコードです。SPFは「このドメインのメールは、この送信サーバーから出ます」という宣言で、いわば差出人の身分証です。移転で送信サーバーが変わるのにSPFが古いままだと、送ったメールが相手の迷惑メール判定に引っかかりやすくなります。DKIMは封筒の封印、DMARCは封印が破られていたときの扱いを決めた指示書にあたるもので、設定している場合は同じように移転先で入れ直しが必要です。
ステップ3|受信方式(POPかIMAPか)を確認する
メールソフトの設定を開き、受信方式を確認します。IMAPならメールの本体はサーバー上にあり、パソコンの画面はその写しを見ているだけです。POPはサーバーから端末に取り込む方式で、「サーバーにメッセージのコピーを残す」がオフになっていると、受信済みのメールはそのパソコンの中にしか存在しません。この状態で旧サーバーを解約しても過去メールは消えませんが、逆にパソコンが壊れたら全部消えます。移転はこの状態を洗い出す良い機会でもあるので、あわせて確認しておいてください。
ステップ4|旧サーバーを二週間は残す
切り替えたあと、しばらくは旧サーバーにもメールが届き続けます。案内所の古い掲示を持ったままの窓口が世界中に残っているためで、これが完全に入れ替わるまでには数日かかることがあります。だから、新旧の両方で受け取れる期間を必ず作ります。手順としては、切り替えの前に新サーバー側で同じメールアドレスを全部作り、パソコンやスマートフォンには新旧両方の設定を並べて登録しておきます。そして旧側に新しいメールが届かなくなり、サイトのアクセスログも空になってから解約します。
なお、「サイトだけ引っ越して、メールは今のままにする」という選び方もできます。ネームサーバーは新しい会社に変えたうえで、MXレコードだけ元の値に手で書き戻す方法です。メールの移行は失敗したときの痛みが大きいので、同時に動かす必然性がないなら、この分離は現実的な選択肢になります。
②ドメイン管理会社を変える|認証コードと期限のルール
二つ目の型です。これはサイトを一切動かさない作業で、変わるのはドメインの契約先と請求先だけです。言い換えれば、部屋はそのままで管理会社(大家)だけが替わるようなもので、住所も建物も動きません。ただし、独自のルールがいくつかあります。
「.jp」で終わるドメインの場合。日本のJPドメインはJPRSの指定事業者変更という手続きになります。流れは、今の管理会社に認証コード(AuthCode)を発行してもらい、それを新しい管理会社に渡して申請し、JPRSから今の管理会社を通じて登録者本人に意思確認が行われる、という順番です。認証コードは引っ越しの委任状のようなもので、本人または委任を受けた人であることを確認するために使われます。JPRSの案内では認証コードの有効期間は発行から三十五日間で、期限が切れたら取り直しになります。また、ロックがかかっている場合は先に解除が必要です。
「.com」などのドメインの場合。こちらはICANNの移転ポリシーが適用されます。実務で引っかかりやすいのは期間の制限です。ICANNの規定は「登録から六十日以内」「前回の移管から六十日以内」の申請を管理会社が拒否できるという構造で、移管できない前提で日程を組んでください。さらに、登録者情報(名前・組織・メールアドレス)を変更すると、原則としてその完了から六十日間の移管ロックがかかります(事業者によっては事前に辞退できる規定もあるため、変更前に確認してください)。「制作会社名義になっていたドメインを自社名義に直してから、他社へ移そう」と考えると、名義変更の直後に二か月待たされる形になります。順番を逆にするか、二か月の待ちを日程に織り込んでください。
移管でいちばん多い落とし穴は、DNS設定が引き継がれないことです。管理会社が変わると、その会社のDNSの初期状態から始まることがあり、Aレコードもメールの設定も自分で入れ直す必要が出ます。だから移管の前に、現在のDNS設定を一行残らず控えておきます。ここでもステップ1の「控えを取る」が効いてきます。
もうひとつ、移管の前に必ず確認すべきことがあります。ドメインの登録者名義が誰になっているかです。名義が制作会社になっていると、契約先の変更もネームサーバーの変更も、自社の意思だけでは実行できません。私たちが提供している月額制のホームページ制作では、ドメインは最初からお客様名義で取得する方針にしています。都合の悪い話も書いておくと、契約から一年未満でデータを持ち出す場合のみ制作費の残額(最大66,000円・利用月ごとに5,500円ずつ減額)を清算いただく設計で、一年を過ぎればお渡しは無料です。契約前にこの条件を書面で確認しておくことが、将来の移転の自由度をそのまま決めます。外部の業者に自社の重要な権限を預けるときの見極め方は、外部ベンダーの審査の型の考え方がそのまま応用できます。
③URLが変わる移転|301リダイレクトと180日・1年
三つ目の型は、アドレスそのものが変わる移転です。手間もリスクもこれが最大で、Googleが別の手順書を用意しているのもこのためです。
核になるのは301リダイレクトです。ちょうど郵便局に転送届を出すように、旧アドレスに来た人を新アドレスへ自動的に送り届ける仕組みで、Googleは301や308といった恒久的な転送を使うよう案内しています。設定のコツは三つ。旧URLと新URLをページ単位で一対一に対応づけること、転送の連鎖を三〜五回より深くしないこと、そして関係のないページをまとめてトップページへ飛ばさないことです。最後の一つは、検索エンジンから「中身の無いページ」と見なされる原因になります。
次に、Search Consoleのアドレス変更ツールで移転を届け出ます。使う前提として、旧サイトと新サイトの両方でSearch Consoleの所有権が確認できていること、301の設定が済んでいることが必要です。注意点として、このツールが使えるのはドメインが変わる移転だけです。同じドメイン内でのパス変更、www の有無の変更、そしてHTTPからHTTPSへの切り替えには使えません。
そして期間の話です。アドレス変更ツールを使うと、旧サイトの各種シグナルが新サイトへ引き継がれますが、その効果は180日間です。180日を過ぎると、Googleは旧サイトと新サイトを無関係なサイトとして扱うようになります。一方でリダイレクト自体は、Googleの公式手順でできるだけ長く、一般には最低一年維持するよう案内されています。「180日でツールの役目は終わるが、転送は一年以上そのままにしておく」と覚えてください。あわせて、新しいサイトマップを提出し、各ページの正規URL指定(canonical)を新URLに直し、新サーバーが増えたアクセスに耐えるかも確認します。
切り替え当日の順番と、戻し方
当日にやることを、実行順で並べます。所要は準備が済んでいれば一時間程度です。
まず日時を選びます。サーバー各社の公式手順も、サイトとメールの利用が少ない時間帯を選ぶよう案内しています。金曜の夕方は避けてください。何かあったときに、対応できる人が二日間いなくなります。おすすめは火曜か水曜の午前です。次に直前のバックアップを取ります。取るのは四点で、ファイル一式、データベース、DNS設定の控え、メールデータです。この四点が手元にあれば、最悪の事態でも作り直せます。
そのうえで、新サーバー側でメールアドレスを全部作り、端末に新旧両方の設定を入れ、DNSを切り替えます。切り替え後は、自分のスマートフォンの回線(会社のWi-Fiとは別の経路)からサイトを見る、フォームからテスト送信する、各メールアドレスに外部から一通ずつ送って新旧どちらに届くかを見る——この三つを実際にやってください。パソコン一台の表示だけで「問題なし」と判断するのが、いちばん危ない終わり方です。
戻し方も先に決めておきます。同一URLの移転なら、旧サーバーを消していない限り、DNSを元に戻せば数時間で元の状態に帰れます。TTLを事前に下げてあるのは、まさにこの「戻れる速さ」のためでもあります。逆にいえば、旧サーバーを早々に解約してしまうと、戻る道が消えます。移転で本当に取り返しがつかなくなるのは、切り替えの失敗ではなく、控えを持たないまま古い環境を消したときだけです。
設定の確認を人手だけで回すのが不安なら、AIに読み上げさせる方法もあります。実機で試した記録はサーバー運用を自然言語で確認する検証記事にまとめました。
| よくある事故 | なぜ起きるか | 予防と、起きたときの対処 |
|---|---|---|
| メールが届かない | ネームサーバー変更でMXレコードが新サーバーの初期値に上書きされた | 事前にMXを控える。起きたら控えた値をDNSに書き戻す |
| 検索結果からページが消える | テスト中のnoindexやrobots.txtの拒否設定を消し忘れた | 切り替え前に必ず外す。起きたら削除してSearch Consoleで再申請 |
| 鍵マークが消える・警告が出る | SSL証明書が新サーバーで発行されていない | 切り替え後に新サーバーで発行し直す。反映まで数十分待つ場合あり |
| フォームの通知が来ない | 送信サーバーが変わり、SPFの記述が古いままで弾かれた | SPFを新しい送信元に更新。テスト送信を移転当日に必ず実施 |
| 過去のメールが見られない | POP受信で端末にしか無い状態のまま、旧サーバーを解約した | 解約前にメールデータを書き出す。受信方式を事前に確認しておく |
私たちの見解|移転を難しくしているのは技術ではない
ここからは、自社のサイトと業務システムを日々自分たちで運用している立場からの見解です。サーバー移転の相談を受けていて感じるのは、詰まる場所がほとんど技術の外側にあるということです。
第一に、移転の難易度は「事前情報がどれだけ手元にあるか」でほぼ決まります。ドメインの管理画面のIDとパスワード、サーバーの管理画面、メールアカウントの一覧、DNSの現状。この四点が揃っていれば、作業自体は一日で終わります。揃っていない場合、その調査だけで数週間かかることがあります。つまり移転を楽にする準備は、移転を決める前——契約した日から始まっています。今この記事を読んでいて、四点のうち一つでも「どこにあるか分からない」があるなら、移転の予定が無くても今日確認しておく価値があります。
第二に、一度に変えないこと。サーバー、ドメイン管理会社、URL、CMS、デザイン——移転を機に全部を刷新したくなりますが、同時に動かすほど原因の切り分けが難しくなります。一つずつ変え、数日の観察期間を置く。遠回りに見えて、これがいちばん速い進め方です。AI導入でも同じ失敗の型が繰り返されており、導入がうまくいかない典型パターンで挙げた「一度に全部やろうとして頓挫する」構図とまったく同じです。
第三に、ドメインの名義が最大の生命線です。サイトのデータもデザインも、最悪は作り直せます。しかし、ドメインを他人名義で押さえられていると、住所そのものを失うことになり、名刺も検索結果もメールアドレスも一度に無効になります。移転の技術的な手順よりずっと手前で、名義の確認をしてください。私たちがホームページ制作でドメインを最初からお客様名義にしているのは、この一点が取り返しのつかない唯一の場所だと考えているからです。業者に何をどこまで任せるかの判断軸はパートナー選びの三つの判断軸にまとめています。移転の可否判断や段取りで迷ったら、無料相談でお気軽にご質問ください。
まとめ
- 三分岐で考える:①同一URLでサーバーだけ変更、②ドメイン管理会社の変更、③URL変更。Googleも手順書を二本立てにしており、やることが根本的に違います
- メールが最大の事故源:ネームサーバーを変えるとMXレコードも書き換わります。事前に控える・棚卸しする・受信方式を確認する・旧サーバーを二週間残す、の四手順で防げます
- 同一URLなら順位の心配は小さい:クロール頻度の一時的な低下は正常な動き。実際に順位を落とすのはnoindexの消し忘れやSSLの未設定です
- 移管には期限のルール:JPドメインは認証コードが発行から35日間有効。.comなどは登録・前回移管・登録者情報変更から60日間は原則として移管できません
- URL変更なら180日と1年:アドレス変更ツールのシグナル転送は180日間、301リダイレクトはできるだけ長く、一般に最低1年維持します
- 戻る道を残す:旧サーバーを消さない限り、DNSを戻せば元に帰れます。取り返しがつかなくなるのは、控えを持たずに古い環境を消したときだけです
移転は、正しい順番でやれば怖い作業ではありません。逆に、順番を飛ばすと静かに壊れます。まずは三分岐の図で自社の型を確定させ、次にメールの四手順を実行してください。
よくある質問
Q1. サーバー移転をすると検索順位は下がりますか?
URLが変わらないサーバー移転であれば、検索結果に載っている住所そのものは変わりません。Googleの公式ドキュメントは、移転直後にGooglebotのクロール頻度が一時的に下がり、その後数日かけて戻っていく(移転前より高くなることもある)のは正常な動きだと説明しています。順位が落ちたように見えても、まず疑うべきはサイト自体の不具合です。移転前に使ったテスト用のnoindex指定やrobots.txtの拒否設定を消し忘れる、画像やCSSのパスが切れる、SSL証明書が新サーバーで入っていない——実際に順位を落とすのはこの種の消し忘れです。URLごと変える移転の場合は話が別で、301リダイレクトとSearch Consoleのアドレス変更ツールの設定が必須になります。
Q2. 移転中にホームページやメールは止まりますか?
手順どおりに進めれば、ホームページが表示されない時間はほぼ作らずに済みます。新しいサーバーにサイトを丸ごと用意してからDNSを切り替えるので、どちらを見ても同じサイトが表示される状態を経由するためです。危ないのはメールのほうで、ネームサーバーを新しい会社に変えると、メールの届け先を指定するMXレコードも新サーバーの初期値に置き換わります。旧サーバーだけでメールを受けていた場合、切り替えた瞬間から新サーバーの空の受信箱に配達され、送信者にはエラーも返りません。移転前にMXレコードを控え、切り替え後も旧サーバーを二週間ほど残すことで、この事故は防げます。
Q3. ドメインはそのままで、サーバーだけ変えられますか?
できます。ドメインは住所、サーバーは建物にあたるもので、住所を持ったまま建物だけを建て替えるのがこの作業です。Googleもこの型を「URLが変わらない移転」として、URLが変わる移転とは別の手順書で扱っています。必要なのは、ドメインを管理している会社の管理画面でネームサーバーかDNSレコードを新しいサーバーに向け直すことだけです。ドメインの契約先を変える必要はありません。ただしドメインの登録者名義が制作会社になっていると、この変更を自社だけでは実行できません。移転を考えるより前に、まず名義と管理画面のIDが自社の手元にあるかを確認してください。
Q4. 旧サーバーはいつ解約していいですか?
Googleの公式手順は、旧サーバーのログを見て、そこへのアクセスがゼロになったことを確認してから停止するよう求めています。何日で切ってよいという数字は示されていません。実務では、DNSの切り替えから最低二週間は旧サーバーを契約したまま残すのが安全です。理由はメールで、切り替え後もしばらくは古い案内を持ったサーバーから旧側へメールが届き続けます。旧サーバーにメールが届かなくなったことと、アクセスログが空になったことの二つを確認してから解約してください。加えて、解約前にファイル一式・データベース・メールデータを手元にダウンロードしておくと、後から戻す必要が出ても対応できます。
参照元・出典と、この記事の調べ方
本記事は2026年7月26日に、以下の一次資料(Google・JPRS・ICANN・サーバー事業者の公式ドキュメント)を直接読んで作成しました。あわせて同日、当社ドメインでDNSの確認コマンドを実行し、MXレコード・ネームサーバー・SPFレコードの取得と、旧アドレスから正規アドレスへの301転送を実際に確認しています。手順の数値(TTLの目安、35日、60日、180日、1年)は下記の記載に基づく、記事公開時点の内容です。制度は改定されるため、実行前に各リンク先をご確認ください。