2026.08.10 · 19分で読める

ホームページ制作に補助金は使えるか|「実質タダ」の前に公募要領で確認する4つのこと


ホームページ制作を検討していると、ほぼ必ず一度は聞く言葉があります。「補助金が使えるので、実質タダで作れますよ」。この説明は、完全な嘘ではありません。ただ、2026年8月6日時点で公開されている公募要領を一字ずつ読んでいくと、この一言が成り立つために省略されているものが、驚くほどたくさんあることが分かります。省略されているのは細かい注意書きではなく、いくら出るのか・いつ着手できるのか・そもそも自分が対象なのかという、判断の骨格そのものです。

本記事では、ホームページ制作の費用に関係する2つの制度——小規模事業者持続化補助金と、旧IT導入補助金から名称が変わったデジタル化・AI導入補助金2026——について、公開されている公募要領を実際に読んだ範囲で整理します。狙いは「使えます」と煽ることでも「無理です」と切り捨てることでもなく、あなたの会社の条件で本当に対象になるのかを、自分で判定できる状態にすることです。補助金の条件は年度ごと・公募回ごとに変わるため、本記事の数字はすべて版数と調査日つきで記載します。

この記事が扱う範囲(2026年8月6日調査)

小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募/公募要領 第8版(2026年7月21日公表・初回公開は2026年5月27日)

デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠(旧IT導入補助金)/公募要領 2026年5月15日改訂版

■ 自治体独自の助成制度は地域ごとに条件が大きく異なるため、本記事では扱いません。お住まいの自治体の公式ページでご確認ください。

「補助金で実質タダ」が成り立たない3つの理由

最初に、いちばん誤解されている部分から解きます。小規模事業者持続化補助金は、確かにウェブサイトの費用を対象にしています。第20回公募の公募要領(第8版・2026年7月21日公表)には、補助対象経費の区分として「③ウェブサイト関連費」があり、販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム等の開発・構築・更新・改修・運用に要する経費と定義されています。ここまでは営業トークのとおりです。

問題は、その直後に2行だけ添えられている条件です。同要領には「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。」「当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。」と書かれています。この2行が、実務上の結論をほぼ決めてしまいます。

補助率は2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)です。ウェブサイト関連費として受け取れる補助金の上限が30万円だとすると、そこから逆算できる対象経費はおよそ45万円(この計算は、消費税を除いた対象経費ベースです)。つまり、ホームページ制作費が45万円を超えた分は、金額がいくら大きくなっても補助金の側は増えません。100万円のサイトを作っても、200万円のサイトを作っても、この区分から出るのは30万円が天井です。たとえるなら、どれだけ大きな鍋で煮込んでも、注ぎ口が細ければ一度に出せる量は決まっている、という話です。

ホームページ制作費と補助金の関係 制作費が45万円までは補助率2/3で補助金が増えるが、補助金交付申請額の上限30万円に達した後は制作費が増えても補助金は増えず、自己負担だけが増えることを示す図 制作費が増えても、補助金は増えない ウェブサイト関連費の補助金上限は30万円(税込) 制作費 45万円のとき 補助金 30万円 自己負担 15万円 制作費 100万円のとき 補助金 30万円 自己負担 70万円 制作費 200万円のとき 30万円 自己負担 170万円 補助率2/3から逆算すると、補助金が効くのは制作費45万円まで 出典: 小規模事業者持続化補助金 第20回公募要領 第8版(2026年7月21日公表)/2026年8月6日確認 AI Lab OISHI

理由1|補助金は後払いで、自己負担が必ず残る

同要領の冒頭「注意事項」には、補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いであると明記されています。制作会社への支払いは先に全額発生し、補助金が入るのはその後、しかも対象経費の一部だけです。手元のキャッシュで見れば、少なくとも一時的には全額を立て替えることになります。

理由2|審査があり、必ず通るわけではない

同じ注意事項に、本補助金は審査があり、不採択になる場合があるとはっきり書かれています。実際の数字も公表されています。中小企業庁は2026年7月29日、第19回公募について申請のあった16,576件のうち7,819件を採択したと発表しました。単純計算で採択率は約47%。おおよそ2件に1件が採択されなかったということです。営業の場面でこの割合が説明されることは、あまり多くありません。

理由3|審査で減額されることもある

さらに注意事項には、審査の結果次第では申請している補助金申請額から減額、または全額対象外となる場合もあると記載されています。採択・金額・入金時期の3つは、いずれも申請の時点では確定しません。

名前が挙がる2つの補助金|守備範囲はまったく違う

ホームページの話でよく名前が挙がるのが、小規模事業者持続化補助金と、かつてのIT導入補助金です。この2つは並べて紹介されがちですが、制度の作りは別物で、ホームページ制作費の扱いも違います。

まず前提の確認から。IT導入補助金は、令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変更されています。事務局のお知らせ(2026年1月23日)では、デジタル化の推進とAI活用の重要性をより広く周知するための変更と説明されています。「IT導入補助金で作れます」という説明を今も見かけたら、どの制度を指しているのかを確認したほうが安全です。

2つの補助金の守備範囲の違い 小規模事業者持続化補助金はウェブサイト関連費という区分を持つのに対し、デジタル化・AI導入補助金2026は登録済みITツールの導入費用のみを対象としており、ホームページ制作費という費目を持たないことを示す比較図 2つの制度の守備範囲 同じ「補助金」でも、対象にしているものが違います 小規模事業者 持続化補助金 一般型 通常枠 第20回 対象者:小規模事業者 従業員5人以下または20人以下 HP費用:計上できる 「ウェブサイト関連費」の区分 その区分の上限:30万円 単独では申請できない 補助率:2/3 全体の補助上限は50万円 窓口:商工会・商工会議所 事業支援計画書の発行が必要 デジタル化・ AI導入補助金2026 通常枠(旧IT導入補助金) 対象者:中小企業・ 小規模事業者等 HP費用:費目がない 登録ITツールの導入費用のみ 補助額:5万〜450万円 プロセス数によって区分 補助率:1/2以内 要件を満たせば2/3以内 窓口:IT導入支援事業者 登録済みの事業者と組んで申請 「ホームページを作る」話が載るのは、左の制度だけ 出典: 各制度の公募要領(2026年8月6日確認) AI Lab OISHI

デジタル化・AI導入補助金2026には「ホームページ制作費」という費目がない

デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠の公募要領(2026年5月15日改訂版)を読むと、補助対象経費は「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」と定義されています。補助の対象になるのは、事務局の審査を経て登録されたソフトウェアやクラウドサービス、それに付随するオプションや役務であって、ホームページの制作費という費目そのものは、この枠組みに入っていません。

言い換えれば、この制度は「登録された商品カタログの中から選ぶ」形式だということです。カタログに載っている予約システムや顧客管理ソフトを導入する話なら対象になり得ますが、デザインやコーディングを依頼して自社サイトを作る話は、カタログの外側にあります。

なお同要領は、補助対象外となる経費として「補助金申請、報告に係る申請代行費」を明示しています。申請の手続きを誰かに代行してもらう費用は、補助金では見てもらえないということです。この点は小規模事業者持続化補助金も同様で、第20回公募要領の対象外経費に「補助金応募書類・実績報告書等の作成・送付・手続きに係る費用」が挙げられています。ITツール導入という角度から制度を見たい場合は、AI導入に使える補助金を整理した記事をご覧ください。

あなたは対象になるか|4つの確認と判定フロー

ここからが本題です。制度の説明を読むより先に、自分がそもそも土俵に上がれるのかを確認したほうが早く結論が出ます。第20回公募要領をもとに、判定を4つの質問に整理しました。

確認1|従業員数で「小規模事業者」に入るか

第20回公募要領では、業種ごとに次の基準で小規模事業者かどうかを判断するとされています。

業種 常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下

見落とされやすいのが上の行です。小売業や飲食サービス業、士業事務所などは「5人以下」。従業員6人の小売店は、この制度の枠から外れます。「中小企業なら使えるはず」という感覚と、制度の線引きはかなり違います。なお要領には、常時使用する従業員に日雇労働者や試用期間中の者は含まれず、会社役員や同居の親族従業員も含まれないと書かれています。境界線の近くにいる方は自己判断せず、地域の商工会・商工会議所に確認してください。

確認2|ホームページ以外に申請する経費があるか

第20回公募要領の補助対象経費は、①機械装置等費 ②広報費 ③ウェブサイト関連費 ④展示会等出展費 ⑤旅費 ⑥新商品開発費 ⑦借料 ⑧委託・外注費 の8区分です。このうち②広報費と③ウェブサイト関連費は、いずれも「のみによる申請はできません」と明記されています。

つまり「ホームページを作りたい」という一点だけでは申請の形になりません。展示会に出る、機械を入れる、新商品を開発する——そうした販路開拓の取組があり、その一部としてサイトを作る、という組み立てが要件になります。ホームページは主役ではなく、計画の一部として位置づけられていると考えると、要領全体の設計が読みやすくなります。

ひとつ正直に書いておくと、広報費とウェブサイト関連費の2つだけを組み合わせた申請が要件を満たすかは、第8版の要領を読む限り明示されていません。それぞれ「のみ」を禁じているだけです。解釈が分かれうる部分なので、その組み合わせで考えている方は、申請前に事務局または商工会・商工会議所へ直接ご確認ください。

確認3|着手を2027年春まで待てるか

これが実務上いちばん効いてくる条件です。詳細は次章で扱いますが、第20回公募のスケジュールでは採択発表は2027年3月頃の予定とされ、さらに交付決定は採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があると要領に記載されています。そして補助対象外経費には「交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの」が挙げられています。

確認4|30万円で足りる範囲の計画か

最後は金額です。ウェブサイト関連費から出る補助金の上限は30万円。ここを超える部分は自己負担になります。見落としやすいのが全体の枠との関係です。この制度の補助上限は全体で50万円(インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円の上乗せあり)。上乗せがない場合、ウェブサイト関連費で30万円を使うと、他の経費に回せる補助金は残り20万円です。全体の予算感を先に持っておきたい方は、ホームページ制作の費用相場を5年総額で比較した記事で、初期費用型と月額型の総額の違いを確認しておくと、補助金がカバーできる範囲の実感が持てます。

ホームページ制作費に小規模事業者持続化補助金を使えるかの判定フロー 対象者の範囲という前提と、従業員数、他経費の有無、着手時期、金額規模の4つの分岐で、補助金の申請を検討できるかどうかを判定するフローチャート 判定フロー|持続化補助金を検討できるか 0. そもそも制度の対象者か 医師・歯科医師・助産師、医療法人・学校法人などは対象外 対象外の形態 申請できない 1. 従業員数は基準内か 商業・サービス業5人以下/その他20人以下 超えている 対象外 2. ほかの経費も申請計画に入るか 機械装置・展示会出展・新商品開発など HPだけ 申請できない 3. 着手を2027年春まで待てるか 交付決定前の発注・契約・支払いは対象外 待てない 自費で進める 4. 補助金30万円で足りる規模か 対象経費に直すとおよそ45万円まで 超える 差額は自己負担 前提と4つの確認を通れば、申請を検討できる 次は商工会・商工会議所へ相談し、経営計画の作成へ 判定は第20回公募要領 第8版(2026年7月21日公表)の記載にもとづく 公募回ごとに条件が変わるため、申請前に最新版の確認が必要です AI Lab OISHI

「ウェブサイト関連費」の壁と、対象にならない費用

ウェブサイト関連費という区分は、名前の印象より対象が広く、同時に落とし穴も多い区分です。

まず広いほうから。第20回公募要領の「対象となる経費例」には、商品販売のためのウェブサイト作成や更新、効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策、サイトに掲載する宣材写真の制作費用、商品・サービスを販売するための画像や動画の作成費用などが挙げられています。オフラインを含むシステム開発や顧客管理システムの構築も同じ区分です。自社サイトやECサイトで使う写真・動画の制作費は、広報費ではなくこちらで計上するよう要領が指定しています。

次に落とし穴です。「対象とならない経費例」には、実務でつまずきやすいものが並びます。

補助対象にならない費用のチェックリスト 交付決定前の発注、申請代行費、コンサルティング費用、運用に至らなかったサイト、他社のためのサイト、既存ソフトの更新料、通信費など、補助対象外となる費用の一覧 この費用は、補助の対象になりません 見積書に入っていても、補助金では見てもらえない項目 交付決定より前に発注・契約・支払いをしたもの 前払いも含む。急いで先に契約すると、その時点で対象外になります 申請書類・実績報告書の作成や手続きにかかる費用 いわゆる申請代行費。2つの制度とも対象外と明記しています ウェブサイトに関するコンサルティング・アドバイス費用 制作費とは別建てで請求される「戦略設計費」等は確認が必要です 補助事業期間内に運用に至らなかったサイト・LP 作っただけで公開が間に合わないと、費用が宙に浮きます 他社の商品を宣伝するためのサイト制作費 自社の販路開拓につながるかどうかが基準になります 既に導入しているソフトウェアの更新料 今のツールの継続利用料は、新しい取組とは見なされません インターネット利用料金などの通信費 毎月の回線費用は、区分を問わず対象外に挙げられています AI Lab OISHI

この中でとくに危ないのが、上から4番目の「補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ」です。制作が遅れて公開が期限に間に合わなければ、費用そのものが対象から外れます。補助金を前提に発注する場合、価格交渉より先に公開日を契約書に書き込むほうが、守るべきものを守れます。

もうひとつ、金額が大きい場合の注意点があります。要領には、ウェブサイトおよびシステムを50万円(税抜き)以上の費用で作成・更新する場合、それは「処分制限財産」に該当し、一定の期間(通常は取得日から5年間)は処分が制限されることがある、と記載されています。いわば5年間の「置いておく約束」です。ただし目的の遂行に必要な改良や機能強化は「処分」に該当しないとも書かれており、日々の更新までは縛られません。

契約書のどこを見るべきかについては、制作会社の選び方と契約書に現れる危険サインの記事にまとめています。補助金の話が絡むと判断が急ぎがちになるので、契約条件の確認はむしろ普段より丁寧にしておきたいところです。

お金が動く順番|申請から入金までの時間軸

補助金の話でいちばん誤解が生まれるのが、時間の感覚です。「補助金が使える」と聞くと、割引券のようにその場で値引きされるイメージを持ちがちですが、実際の順番はまったく違います。第20回公募のスケジュールを要領の記載どおりに並べてみます。

小規模事業者持続化補助金 第20回公募のスケジュール 2026年11月の申請受付開始から2027年3月頃の採択発表、交付決定を経て制作着手、2028年3月の事業実施期限、そして実績報告後の入金までの流れを示すタイムライン 申請から入金まで|第20回公募の場合 2026年12月4日 商工会・商工会議所の事業支援計画書 発行受付締切 2026年12月15日 17:00 申請受付締切(受付開始は11月5日・電子申請のみ) 2027年3月頃(予定) 採択発表。ここではまだ発注できません 採択から概ね1〜2か月 交付決定。この日からようやく発注・契約ができます 交付決定〜2028年3月31日 補助事業実施期間。公開・運用開始までを終える必要あり 事業終了後 実績報告→補助金額の確定→請求→入金(後払い) 制作費の支払いは、入金よりずっと先に発生します 立て替えの期間をどう乗り切るかまで含めて計画してください 出典: 第20回公募要領 第8版(2026年7月21日公表)/2026年8月6日確認 予定は変更される場合があります AI Lab OISHI

読み取ってほしいのは、2026年12月に申請すると、制作に着手できるのは2027年の春以降になるという点です。入金はさらに後で、思い立ってから1年近くかかります。

「今すぐホームページが必要」という状況は、この時間軸と噛み合いません。採用や出店などで急いでいるなら、補助金と切り離して考えたほうが健全です。補助金は、走り出しを早くする道具ではなく、すでにある計画を少し軽くする道具です。

なおデジタル化・AI導入補助金2026の通常枠は、これより回転が速い設計です。事務局のスケジュールページでは、1次締切が2026年8月25日17時、交付決定日が2026年10月7日(予定)、事業実施期間が交付決定から2027年3月31日17時(予定)と公表されています。ただし前述のとおり、こちらはホームページ制作費という費目を持ちません。速さと対象範囲は両立していないのが実情です。

「実質0円」型の提案を、要領の言葉で読み解く

「補助金で実質0円」という提案が成立するには、いくつもの条件を同時にクリアする必要があります。にもかかわらず、こうした案内は現実に出回っています。だからこそ、要領そのものが警戒を促しているという事実を知っておく価値があります。

第20回公募要領の「補助対象外となる経費」には、次の趣旨の記載があります。購入額の一部または全額に相当する金額を口座振込や現金で申請者へ払い戻すことにより、証憑に記載の金額と実質的に支払われた金額が一致しないものは対象外。そして補助事業者の自己負担額を減額または無償とするような販売方法(キャッシュバックを含む)や、一部の利害関係者に不当な利益が配賦されるような行為は、本事業全体を通じて補助金交付の目的に反する行為とみなす、と続きます。

これは重い一文です。要領は「自己負担が実質ゼロになる売り方」そのものを、制度の目的に反するものとして名指ししているということだからです。まるで、割引を前提にした値札を店側があらかじめ禁じているようなもの。「実質タダになります」という言葉が出てきた瞬間、その提案がこの記載とどう整合するのかを尋ねてよい理由が、ここにあります。

もうひとつ、要領の冒頭「注意事項」にも該当する記載があります。事業計画の検討にあたって第三者の支援を受ける場合、提供するサービスの内容と乖離した「高額なアドバイス料金」を請求される業者等に注意するよう促されています。さらに、支援料金の支払いの有無にかかわらず、その相手方と支援に係る金額(着手金・成功報酬その他名目を問わず)を申請時に記載しない場合は、虚偽の報告として不採択・交付決定取消となると明記されています。不正受給があった場合には、交付決定の取消・返還命令に加え、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処せられることがあるとも書かれています。手続きを誰に任せていても、申請の名義は自社のものだということです。

補助金の話が出たときに、その場で聞いておきたい5つ

  • どの制度の、いつの公募要領の話ですか:制度名と公募回、版数まで答えられるかを確認します。
  • 採択されなかった場合、契約はどうなりますか:白紙に戻るのか、自費で続けるのか。書面で確認します。
  • 着手はいつになりますか:交付決定前の発注は対象外です。公開希望日と噛み合うかを確かめます。
  • 申請支援の費用はいくらで、どこに計上されますか:申請代行費は補助対象外と明記されています。
  • 自己負担は最終的にいくら残りますか:総額から補助金見込額を引いた数字を、その場で書いてもらいます。

補助金を前提にしないホームページ計画の立て方

ここまでの整理から導かれる結論は、シンプルです。補助金は「使えたら使う」ものであって、計画の前提には置かない。採択率が約半分で、着手が半年先で、上限が30万円である以上、そこに事業の判断を預けるのは重心が高すぎます。では前提を置かずにどう考えるか。判断材料を3つに絞ると、話が進みやすくなります。

1|今の予算で無理なく作れる範囲を決める

先に総額の上限を決めてしまう方法です。初期費用をまとめて払う形と、月額で分けて払う形では、手元のキャッシュの動き方がまったく違います。初期費用の負担を軽くしたい場合の考え方は、月額制ホームページ制作の選び方の記事で、契約前に確認すべき項目とあわせて整理しています。

2|自分でやる部分と任せる部分を分ける

全部を外注しなくても、ホームページは形になります。原稿と写真を自社でそろえて、設計と構築だけを任せる。あるいは最初は小さく作って、反応を見てから増やす。どこまで自分でやるかの損益分岐点は、自作か外注かを経営者の時給で考えた記事で計算方法を示しています。補助金で30万円を取りに行く手間と、自社でできる部分を切り分ける手間を、同じ天秤に載せてみる——これは意外と有効な比較です。

3|終わり方の条件を、始める前に決めておく

ドメインの名義は誰か、解約したときにデータは戻ってくるのか、次の会社に引き継げる形で渡してもらえるのか。詳しくは解約後のデータとドメインの扱いを7つに分解した記事にまとめています。処分制限財産の話でも触れたとおり、補助金を使ったサイトは数年単位で持ち続ける前提になります。持ち続けられる形になっているかは、契約前に確かめる価値があります。

参考として、当社の条件も開示しておきます

「自己負担がいくら残るかを最初に数字にしてください」と書いた以上、自分たちの条件も出しておきます。AI Lab OISHIが提供している月額制のホームページ制作サービスは、初期費用0円・月額11,000円(税込)からで、お支払いの開始はサイト公開日からです。最低契約期間は設けておらず、次回更新日の前日までにご連絡いただければ解約でき、違約金はありません。ドメインは最初からお客様の名義で取得します。データの引き渡しは12回のお支払い完了後は無料、それ以前は制作費の残額(最大66,000円)の清算をお願いしています。

補助金の申請支援は行っていません。申請代行費が補助対象外である以上、そこを商材にすると、お客様の自己負担がかえって増えるためです。制度を使いたい場合は、地域の商工会・商工会議所が最初の相談先になります。この制度は、そもそも商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組むことが要件のひとつとされ、事業支援計画書(様式4)の発行も必要です。いわば最初から伴走者が制度に組み込まれているということです。

私たちの見解|補助金は動機にせず、後押しに使う

今回、2つの制度の公募要領を最初から通して読み直して、あらためて感じたことが3つあります。

1つ目は、制度そのものは正直に書かれている、ということ。ウェブサイト関連費の上限も、単独申請ができないことも、交付決定前の発注が対象外であることも、要領には隠さず書いてあります。読みにくくはありますが、書いてないわけではない。「聞いていない」の多くは、実際には「読まれていない」だったのだと思います。

2つ目は、補助金を動機にすると、順番が逆になりやすいということ。本来は「販路を開拓したい→そのためにサイトが要る→制度が使えるか調べる」の順です。それが「補助金が取れるらしい→何かに使わなければ→サイトにしよう」に反転すると、公開後に更新されないサイトができあがります。要領が売上高・売上総利益の増加見込みを計画に書かせているのは、この反転を防ぐためだと読めます。

3つ目は、いちばん大きなコストは金額ではなく時間だということ。30万円という金額と、半年から1年という時間を並べたとき、どちらが自社にとって重いかは業種によって変わります。急ぎでないなら制度を使う価値は十分にありますし、急ぐなら使わない判断も同じくらい合理的です。どちらを選んでも間違いではない——ただ、選んだことに気づかないまま流されるのは、避けたいところです。

自社の従業員数や業種で対象になるのか、今の見積書のどこが対象外に当たりそうか。そういう整理の段階でよければ、無料相談をご利用ください。

まとめ

よくある質問

ホームページ制作の費用に、補助金は使えますか?

小規模事業者持続化補助金では、ホームページやECサイトの開発・構築・更新・改修・運用に要する経費を「ウェブサイト関連費」という区分で計上できます。ただし第20回公募の公募要領(第8版・2026年7月21日公表)には、ウェブサイト関連費のみによる申請はできず必ずほかの経費と一緒に申請すること、そしてこの経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)であることが明記されています。つまり制度としては使えますが、ホームページの費用だけを丸ごとまかなう設計にはなっていません。制度の内容は年度や公募回ごとに変わるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

「補助金を使えば実質0円で作れます」という説明は正しいですか?

小規模事業者持続化補助金の第20回公募要領(第8版・2026年7月21日公表)は、補助金は後払いであり補助事業の遂行にあたって自己負担が必要であること、そして審査があり不採択になる場合があることを注意事項として明記しています。さらに補助対象外となる経費の項目には、補助事業者の自己負担額を減額または無償とするような販売方法(キャッシュバックを含む)は本事業全体を通じて補助金交付の目的に反する行為とみなす、という記載があります。0円になる前提で契約を進めるのではなく、採択されなかった場合にどうするかを先に決めておくことをおすすめします。

従業員が10人います。小規模事業者持続化補助金の対象になりますか?

業種によって変わります。第20回公募の公募要領(第8版)では、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員の数が5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下が小規模事業者の範囲とされています。従業員10人の小売業や飲食サービス業であれば範囲外、製造業であれば範囲内という分かれ方になります。なお常時使用する従業員には、会社役員や同居の親族従業員は含まれないと要領に記載されています。自社の業種判定に迷う場合は、地域の商工会・商工会議所にご相談ください。

IT導入補助金でホームページを作れますか?

IT導入補助金は令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変更されています。デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠の公募要領(2026年5月15日改訂版)では、補助対象経費はIT導入支援事業者が提供しあらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用と定められており、ホームページの制作費という費目そのものは補助対象経費の枠組みに含まれていません。予約や顧客管理などのソフトウェアを導入する話と、ホームページを作る話は、この制度では別のものとして扱われます。

申請してから、実際にホームページの制作に着手できるのはいつですか?

小規模事業者持続化補助金の第20回公募は、申請受付が2026年11月5日から12月15日17時まで、採択発表は2027年3月頃の予定と公募要領に記載されています。さらに交付決定は採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があるとされ、補助対象外となる経費には交付決定前に発注・契約・購入・支払いを実施したものが挙げられています。したがって補助金を使う前提で進める場合、着手できるのは2027年の春以降になる見込みです。今すぐ公開したい事情があるなら、補助金と切り離して考えたほうが計画は立てやすくなります。

参照元・出典

本記事は2026年8月6日に、以下の公的資料を参照して作成しました。制度の内容は年度・公募回ごとに変更されます。申請にあたっては必ず最新版の公募要領をご確認ください。法律・税務上の助言ではありません。

本記事の金額・期日・要件は、上記資料の内容を2026年8月6日時点で確認したものです。当社以外の制作会社の社名やサービス名は、比較の公平性を保つため一切記載していません。

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