ホームページは自作か外注か|経営者の時給で考える損益分岐点
ホームページを用意しようと決めたとき、最初に立ちはだかるのが「自作(DIY)にするか、外注にするか」という分かれ道です。自作は、費用が年に1万〜2万円台で収まるかわりに、自分の時間を数十時間単位で差し出します。外注は、まとまったお金を払うかわりに、その時間を買い戻します。並べて書くと、お金と時間をどちらで払うかの選択に見えます。ところが3年後・5年後に本当に差がつくのは、金額でも作業時間でもなく、もう1つ別の要素です。
この記事では、ホームページの自作と外注を「制作費いくら対いくら」ではなく、経営者自身の時給と公開から90日後も更新が続くかという2つの変数を入れた損益分岐点として計算します。使う数字はすべて計算式ごと載せますので、自社の条件に置き換えて計算し直せます。自作で十分な会社の条件も、売り込みを混ぜずに正直に書きます。なお、制作費の詳しい相場表は別の記事に譲り、ここでは判断の仕方だけを扱います。
先に、答えの形だけ置きます
自作か外注かは、次の1本の不等式で決まります。
自作の費用 + 自作にかかる時間 × あなたの時給 vs 外注の費用 + 外注でも残る時間 × あなたの時給
この記事の前提を入れると、両者が並ぶのは時給およそ3,450円(5年で判断・更新を続ける場合)。ところが90日で更新が止まる前提に変えると、同じ計算が時給6,800円まで跳ね上がります。数字を動かしているのは制作費ではなく、続ける気があるかどうかです。
ホームページの自作と外注は「金額の比較」では決まらない|動くのは3つの資源
自作と外注の比較が難しいのは、見積書に載る数字と、実際に動く数字がずれているからです。見積書に載るのは「お金」だけ。けれども実際には、お金・時間・続ける力という3つの資源が同時に動きます。3つのうち、見積書に書けるのは1つだけ。これが、比較がいつまでも終わらない理由です。
総務省の令和6年通信利用動向調査では、常用雇用者100人以上の企業のホームページ開設率は93.2%です。ただし調査の対象は100人以上の企業に限られ、従業員が数人から数十人の会社は集計の外です。よその平均を基準にできない以上、自社の数字で決めるしかありません。
1つ目の「お金」は分かりやすい資源です。自作なら、レンタルサーバーと独自ドメインの費用が主な支出になります。たとえばエックスサーバーが公開している料金表では、スタンダードプランが36か月契約で月990円(税込)、初期費用は0円で、12か月以上の契約なら対象の独自ドメインが1つ無料になる特典も案内されています。つまり年1万2,000円前後から運用できる計算です。外注はここに制作費と毎月の保守費が乗ります。
2つ目の「時間」は請求されないので見落とされる
2つ目は時間です。ここが厄介なのは、誰からも請求されないこと。自分の時間は財布からお金が出ていかないので、無料の資源だと錯覚しやすいのです。たとえるなら、自宅の駐車場に停めている車の維持費のようなもので、毎月の駐車場代が発生しないぶん「タダで置いている」と感じてしまう。実際にはその面積を別の用途に使えたはずなのに、金額として見えないから計算に入らない。ホームページの自作でも、まったく同じことが起きます。
3つ目の「続ける力」が、3年後の差をつくる
そして3つ目が「続ける力」です。ホームページは、作った瞬間が完成ではなく開始です。営業時間が変わった、料金を改定した、サービスを1つやめた——こうした変更を反映し続けられるかどうかで、3年後の姿はまったく違うものになります。自作は、自分が止めた瞬間に止まります。外注は、相手がいるぶん止まりにくい。この差は初年度にはほとんど見えず、2年目から効いてきます。
この3つを同時に扱うために、以下では時間と続ける力を金額に換算し、1本の式に押し込みます。まずは換算のレートにあたる「経営者の時給」から決めます。
第1項|経営者の時給を3通りで出す
自作か外注かを金額で比べるには、自分の1時間をいくらと見なすかを決めなければ計算が始まりません。ところが多くの方は、自分の時給を一度も計算したことがないまま「自分でやれば無料」と判断しています。ここでは、出し方を3通り示します。いずれも電卓ひとつで出せます。
①役員報酬ベース|いちばん保守的な数字
年間の役員報酬を、自分の年間労働時間で割ります。年600万円で、週45時間・年間53週相当を働いているなら約2,400時間ですから、時給は2,500円。これは自分が受け取る金額から逆算した数字なので、いちばん低めに出ます。手元の数字ですぐ出せます。
②粗利ベース|会社にとっての実力値
年間の粗利(売上から仕入や外注費を引いた額)を、自分の年間労働時間で割ります。粗利1,200万円を2,400時間で割れば時給5,000円。役員報酬ベースより高く出るのは、会社に残る利益や社員の給与の原資まで含んでいるからです。中小企業庁の中小企業実態基本調査(令和6年調査・令和5年度決算実績)では、1企業当たりの売上高が2.1億円、従業者数が9.7人という平均像が示されています(日本商工会議所の記事による紹介/二次情報)。ただし業種で構造がまったく違うため、平均値を借りるより自社の決算書から出したほうが精度は上がります。
③機会費用ベース|同じ3時間を営業に使ったら
3つ目が、判断をいちばん大きく動かす数字です。ホームページの調整に使う3時間を、そのまま既存のお客様への訪問に使ったとします。1件の商談から受注に至る確率が2割、受注1件あたりの粗利が30万円なら、期待できる粗利は6万円。3時間で6万円ですから、時給は2万円に相当します。言い換えれば、その3時間は「2万円で買った3時間」ということです。
3つのうちどれが正しいという話ではありません。大事なのは、自分がいまどの数字で判断しているかを自覚することです。「自分でやれば無料」という判断は、時給をゼロ円と置いたのと同じ意味になります。実際にはゼロではないので、その前提のまま比較すると、必ず自作が有利に見えます。
第2項|自作にかかる本当の時間を数える
次に、時間のほうを数えます。ここで多くの見積もりがずれるのは、自作でも外注でも同じだけかかる作業を、自作だけの負担として数えてしまうからです。たとえば「うちの強みは何か」を言葉にする作業や、載せる写真を選ぶ作業は、外注しても自社でやることになります。比較したいのは差分だけですから、共通する部分は両方に同じだけ計上しておきます。
| 作業 | 自作の時間 | 外注でも残る時間 |
|---|---|---|
| 目的とページ構成を決める | 4時間 | 3時間 |
| 原稿を書く(会社概要・サービス・FAQ) | 12時間 | 8時間 |
| 写真を用意する | 5時間 | 4時間 |
| サーバー・ツールの選定と初期設定 | 6時間 | 0時間 |
| デザインとレイアウトの調整 | 14時間 | 2時間 |
| スマートフォン表示の確認と修正 | 5時間 | 1時間 |
| フォーム・地図・SSLなどの設定 | 5時間 | 0時間 |
| 公開前チェックと手直し | 4時間 | 2時間 |
| 初期構築の合計 | 55時間 | 20時間 |
| 公開後の更新(月1回の想定・年間) | 36時間 | 12時間 |
初期構築の差は35時間。1日8時間で換算すると、丸4日以上を自作に振り向ける計算です。ここで注目していただきたいのは、時間がかかるのがデザイン作業(14時間)と原稿(12時間)に集中している点です。ツールの操作そのものは、思われているほど時間を食いません。時間を食うのは決めることのほうです。どの写真を使うか、どの言葉を選ぶか、どの順番で並べるか。この「決める時間」は、道具が便利になっても短くなりません。
更新の時間は毎年かかり続ける
そしてもう1つ、初期構築より重要なのが更新時間です。月1回の更新に3時間かかるなら、年36時間。これが2年目も3年目も続きます。初期構築は1回きりですが、更新は積み上がる。5年で180時間ですから、初期構築の3倍を超えます。自作の本当のコストは、作るときではなく、続けるときに発生する——ここが計算の要になります。
損益分岐点を1本の式にする|逆転する時給はいくらか
材料がそろいましたので、式に入れます。比較の前提は次のとおりです。自作はサーバーとドメインで年1万3,000円。外注は、5〜10ページ程度の会社案内サイトを30万円で制作し、保守を月5,000円(年6万円)で契約する想定を置きます。この金額帯は、Web幹事のまとめ(二次情報)が示す「小規模なサイトは50万円以下」「管理費は数千円から5万円程度」という範囲の中に収まる置き方です。
| 判断する期間 | 自作の総額 | 外注の総額 | 逆転する時給 |
|---|---|---|---|
| 1年で判断 | 13,000円+91時間×時給 | 360,000円+32時間×時給 | 約5,900円 |
| 3年で判断 | 39,000円+163時間×時給 | 480,000円+56時間×時給 | 約4,100円 |
| 5年・更新が続く | 65,000円+235時間×時給 | 600,000円+80時間×時給 | 約3,450円 |
| 5年・90日で更新停止 | 65,000円+64時間×時給 | 365,000円+20時間×時給 | 約6,800円 |
いちばん下の行だけ前提が違います。90日で更新が止まる場合は、自作の更新時間を9時間(3か月ぶん)で打ち切り、外注も保守契約を続けない前提にしています。保守を解約するぶん、サーバーとドメインの費用(5年で65,000円)は自社負担に切り替わるものとして、外注の総額は300,000円+65,000円=365,000円としました。
期間が長くなるほど、低い時給でも外注が安くなる
表を縦に読むと、直感に反する動きが見えます。判断する期間を1年から5年に延ばすと、逆転する時給が5,900円から3,450円へ下がる。つまり長い目で見るほど、安い時給でも外注が有利になるのです。理由は単純で、制作費は最初の1回だけなのに、自作の作業時間は毎年発生し続けるから。イメージとしては、車を買うか毎回タクシーに乗るかの比較に似ています。1回の移動ならタクシーが安く、5年乗るなら購入が安い。ホームページでは、購入にあたるのが外注のほうです。
90日で更新が止まると、答えがひっくり返る
いちばん下の行を見てください。90日で更新が止まる前提にすると、逆転ラインは6,800円まで上がります。時給6,800円は、年2,400時間働くとして年収換算で1,600万円を超える水準。ここまで高く自分を評価する経営者は多くありませんから、更新しないなら自作が圧倒的に安いという結論になります。
これは外注を否定する話ではありません。逆です。更新しないつもりなら、外注に払っているお金の半分は使われないまま消えていくということです。保守費とは、直したいときに直してもらう権利を買うお金。直さないなら、その権利は行使されません。だからこそ、自作か外注かを決める前に「90日後も更新するのか」を先に決める必要があります。費用対効果の考え方そのものは業務システムへの投資と同じ構造で、AI投資の費用対効果を測る方法でも回収期間の置き方を整理しています。
第3項|「90日後も更新が続くか」を先に判定する
なぜ90日なのか。公開直後の1か月は、誰でも直します。誤字を見つけた、写真を差し替えたい、この文言が硬い——作ったばかりのものには手を入れたくなるからです。問題は、その熱が冷めたあとです。私たちがこの記事で分かれ目として仮に置いているのが90日です。公開直後の熱がおおむね3か月で一巡するため、そこを越えられるかを目安にしました。統計にもとづく数字ではなく、判断を先に済ませるために引いた線だとお考えください。
作る前にできる「90日更新テスト」
続くかどうかは、公開してみないと分からない——と思われがちですが、作る前に確かめる方法があります。次の3つを、いま試してみてください。
- ネタを12個書き出す:これから3か月で載せたいことを、箇条書きで12個。出てこないなら、更新する材料そのものがまだありません
- 1本だけ実際に書く:そのうち1つを、400字程度の文章にしてみる。かかった時間を計ってください。それが更新1回あたりの実コストです
- 予定表に入れる:毎月の更新日を、3か月ぶん先にカレンダーへ入れる。入れられない忙しさなら、その前提で設計を変えます
3つとも通れば、自作でも続く見込みがあります。1つでも詰まったなら、更新を人に任せる設計を検討してください。ただし時給が3,450円に届かない場合は、まず1ページだけ自作して90日試すほうが、お金も判断材料も安く手に入ります。この判定は、ダイエットを始める前に「3か月ぶんの献立を書けるか」を確かめるようなものです。意志の強さではなく、材料と時間がそろっているかを見ています。
更新しない前提で設計するという選択肢もある
正直に書きますが、更新が続かない会社は珍しくありません。それ自体は失敗ではなく、単に優先順位の問題です。その場合は、更新しなくても情報が古くならない構成にするのが正解になります。具体的には、キャンペーン情報やお知らせ欄を置かず、事業内容・実施できること・連絡先・地図といった「変わらない情報」だけで組む。名刺のようなもので、住所と電話番号が正しければ、毎月書き換える必要はありません。この設計なら、自作でも十分に成立します。
自作で十分な会社の条件|正直に書きます
私たちはホームページ制作を提供している側ですが、すべての会社が外注すべきだとは考えていません。次の条件に多く当てはまる場合、自作で十分に目的を達成できます。売り込みを混ぜずに、そのまま書きます。
自作で十分な会社の6条件
- 時給を計算しても3,450円に届かない:創業直後などで、まだ時間より現金のほうが希少な段階
- ホームページから直接の売上を期待していない:会社名で検索されたときの「実在の証明」が主な目的
- パソコンの操作に苦手意識がない:表計算ソフトで請求書を作れる程度で十分です
- 載せる情報が5ページ以内に収まる:会社概要・サービス・お問い合わせ・アクセス程度の構成
- 予約や決済をサイト上で完結させる必要がない:電話とメールで受けられる業態
- 作る楽しさを感じられる:これは軽く見えて重要です。楽しめる人は続きます
とくに1番と2番が重なる場合は、迷わず自作で始めてよい局面です。創業期は現金のほうが貴重で、55時間を差し出す余裕もあります。ホームページに使う30万円を、最初の在庫や広告費に回したほうが事業は前に進みます。
検索での見つかりやすさを心配される方も多いのですが、基本的な部分は自作でも対応できます。Googleは検索エンジン最適化スターターガイドを日本語で公開しており、内容が伝わるページタイトルを付ける、画像に説明を添える、スマートフォンで読める状態にするといった基礎は、道具を問わず実施できます。順位を約束できる方法は存在しませんので、まずは自社名で検索したときに正しく出てくる状態を目標にするのが現実的です。
外注に切り替えたほうがいい条件
逆に、次のどれかに当てはまるなら、外注に切り替えたほうが結果的に安くなる可能性が高くなります。金額ではなく、構造の問題として並べます。
- ホームページ経由の問い合わせが売上に直結している:止まっている期間がそのまま機会損失になります。時給ではなく失注額で計算する場面です
- 90日更新テストの3つが通らず、しかも料金や在庫のように載せる情報が動き続ける:続かない前提で自作すると、古い情報が載ったまま残ります
- 法令で表示が必要な情報がある:資格・許認可・料金表示など、間違いが行政指導につながる情報を扱う場合
- 予約・決済・会員機能が必要:お金や個人情報を扱う機能は、事故の影響が大きくなります
- 社内に担当者を置けない:担当者が退職した瞬間に更新できなくなる体制は、自作の弱点が最も出るところです
- 時給が5,000円を超えている:3年で見れば(逆転は約4,100円)すでに外注のほうが安く、初年度だけを見るなら自作が安い水準です
いちばん多いのは3番目と5番目の組み合わせです。「詳しい人が1人だけいる」状態は、その人が異動や退職をした瞬間に更新が止まります。会社の鍵を1人だけが持っている状態のようなもので、平常時は問題なく回るのに、いなくなった途端に誰も中へ入れなくなる。社内の体制で判断する考え方は、中小企業のAI内製と外注の判断軸でも同じ構造として整理しています。
なお外注を選ぶ場合、制作費が小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の対象になることがあります。ただしウェブサイト関連費だけでは申請できず、この経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です(第20回公募要領 第8版・2026年7月21日公表で確認)。対象経費も上限も公募回ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。
ホームページを自作するか外注するか|5つの質問で決める判断フローチャート
ここまでの内容を、上から順に答えるだけの形にまとめます。
図のいちばん下に置いた「1ページだけ自作して90日試す」が、現実的にはいちばん使いやすい選択肢です。いきなり10ページを作ろうとすると55時間の壁にぶつかりますが、1ページなら15〜20時間ほどで形になります。まず1ページを公開し、90日間だけ運用してみる。続けられたなら自作を広げればよく、止まったなら「自分では続かない」という事実が実測で分かります。迷っている時間より、90日の実測のほうが正確です。
第三の道|「作るのは外注、書くのは自分」の分け方
自作か外注かは、ゼロか百かではありません。工程ごとに分ければ、費用と時間の両方を抑えられます。分け方の目安は、時間がかかるのに自分にしかできない作業は自分で、時間がかかるのに誰がやっても同じ作業は任せる。この基準で先ほどの表を仕分けると、こうなります。
- 自分でやる:目的とページ構成を決める、原稿を書く、写真を選ぶ(合計21時間・自社にしか出せない情報)
- 任せる:サーバー設定、デザイン調整、スマートフォン対応、フォームやSSLの設定(合計30時間・誰がやっても結果が同じ作業)
- どちらでもよい:公開前チェックと手直し(4時間・制作側の確認と自社の最終確認で分担します)
この分け方をすると、外注費は下がり、しかも中身は自社らしいものになります。制作会社に「うちの強みを引き出してください」と丸投げすると、ヒアリングと確認の往復で結局は自分の時間を使うことになりますから、原稿だけ先に用意しておくのは合理的です。文章づくり自体を仕組み化する考え方は、中小企業のマーケをAIで回す設計ガイドにまとめています。
どちらを選んでも、この3つだけは自社名義にしておく
自作でも外注でも、あとから進路を変えられるようにしておくための最低条件があります。第一に独自ドメインを自社名義で取得すること。ドメインは会社の住所にあたるもので、名義が他社になっていると引っ越しのたびに許可が要ります。第二に原稿と写真の元データを自社のフォルダに残すこと。第三にサーバーやツールの契約者を自社にすることです。この3つがそろっていれば、自作から外注へも、外注から別の会社へも、身軽に移れます。
私たちの見解|自作は止めません。止めるべきは中途半端な外注です
ホームページ制作を提供している立場から言うと、いちばん避けたいのは「自作で十分だった会社が、必要のない外注をしてしまうこと」ではありません。更新しない前提のまま外注し、毎月の保守費だけが引き落とされ続けることです。使われない権利にお金を払い続けている状態で、これは自作より高くつきます。
この記事の計算で使った前提を、自社サービスにも当てはめて開示します。私たちが提供している月額制のホームページ制作は、初期費用0円・月額11,000円(税込)からで、契約の縛りはありません。5年間の総額は660,000円。修正のご依頼を受けて私たちが反映するため、お客様側に残るのは原稿の確認と写真の差し替えだけになり、初期20時間・年6時間程度を見込んでいます。この前提で先ほどの式を解くと、逆転する時給は約3,200円。納品型の想定(3,450円)と大きくは変わりません。方式を変えても、分かれ目は結局あなたの時給のところに戻ってきます。
条件も先に開示します。ドメインは最初からお客様名義で取得し、解約時にはサイトのデータをお渡しします(1年以上ご利用の場合は無料)。ネットショップ・予約決済・会員機能・多言語対応は承っていません。この記事の判定で「外注が向いている」に当てはまり、なおかつ必要な機能が対応範囲に収まる場合だけ、選択肢に入れてください。当てはまらない場合は自作で始めるほうが、事業としては正しい判断になります。判断に迷う段階でしたら、無料相談で一緒に数字を置いてみることもできます。
まとめ
- 比較すべきは3つの資源:見積書に載る「お金」だけでなく、請求されない「時間」と、3年後に差が出る「続ける力」まで並べて比べる
- まず自分の時給を出す:役員報酬ベース・粗利ベース・機会費用ベースの3通り。「自分でやれば無料」は時給ゼロ円と置いたのと同じ意味になる
- 自作は初期55時間+年36時間:本当のコストは作るときではなく、続けるときに毎年発生する
- 逆転ラインは時給3,450円(5年・更新を続ける前提)。判断する期間が長いほど、低い時給でも外注が有利になる
- 90日で更新が止まるなら6,800円:続ける気があるかどうかで、分かれ目は2倍動く。順番としては、自作か外注かより先に決める
- 迷ったら1ページだけ自作して90日試す:ドメイン名義・原稿データ・契約者名を自社にしておけば、あとからどちらへも移れる
自作と外注は、優劣ではなく、いまの自社にとってどちらの資源が希少かという問題です。現金が希少なら自作、時間が希少なら外注。この記事の式に自社の数字を入れれば、その答えは30分で出ます。まずは電卓を出して、自分の時給を1回だけ計算してみてください。そこから先の判断は、驚くほど速く進みます。
よくある質問
Q1. ホームページは自作と外注、どちらが安いですか?
出ていく現金だけで比べれば、自作が安くなります。サーバーと独自ドメインを自分で契約する場合、年1万2,000円前後から運用できるためです。ただし自作には自分の作業時間がかかります。この記事の前提(初期55時間・更新は年36時間・外注は制作30万円と保守月5,000円)で計算すると、5年間の総額が並ぶのは経営者の時給がおよそ3,450円のときでした。自分の時間をそれより高く見積もる場合は外注が安く、それより低く見積もる場合は自作が安いことになります。判断が変わるのは金額ではなく、時間の値づけです。
Q2. ホームページの自作にはどれくらい時間がかかりますか?
会社案内として最低限の内容(会社概要・サービス・お問い合わせ・アクセス)をそろえる場合、この記事では初期構築に合計55時間を目安として置いています。内訳は、目的と構成を決める4時間、原稿を書く12時間、写真の用意5時間、ツールやサーバーの初期設定6時間、デザイン調整14時間、スマホ表示の確認5時間、フォームやSSLなどの設定5時間、公開前チェック4時間です。ここに公開後の更新が加わります。慣れ具合で前後しますので、自社の状況に合わせて置き換えてください。
Q3. 自作したホームページでも検索で見つけてもらえますか?
見つけてもらうための基本的な作業は、自作でも実施できます。Googleは検索エンジン最適化スターターガイドを公開しており、ページの内容を正しく伝える、分かりやすいタイトルを付ける、スマートフォンで読める状態にする、といった基礎はツールの機能でも対応できる範囲です。ただし検索結果の順位は多くの要因で決まるため、自作か外注かだけで決まるものではありません。順位を約束できる方法は存在しないという前提で、まずは会社名や店舗名で検索したときに正しく表示される状態を目指すのが現実的です。
Q4. 途中まで自作して、あとから外注に切り替えられますか?
切り替えられます。むしろ、原稿と写真を自分でそろえてから相談するほうが、依頼の中身が具体的になります。切り替えを楽にするために、自作の段階で3つだけ押さえておいてください。第一に独自ドメインを自分の名義で取得しておくこと、第二に原稿と写真の元データを手元のフォルダに残しておくこと、第三にサーバーやツールの契約者を自社名義にしておくことです。この3つがそろっていれば引き継ぎで困る場面はほとんどなく、逆に業者名義になっていると移るときに手間が増えます。
参照元・出典と、この記事の作り方
この記事の数字は、次の資料と自社の実際の契約条件をもとに組み立てました。作成日は2026年8月3日です。時間の目安(初期55時間など)は統計値ではなく、比較の土台として置いた前提値です。制作費の詳しい相場や、CMSを使うかどうかの判断は、この記事では扱っていません。
- 令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)/総務省・一次資料:常用雇用者100人以上の企業のホームページ開設率93.2%(前年比0.2ポイント増)。調査の対象は100人以上の6,040企業(有効回答2,330企業)
- 料金プラン比較/エックスサーバー・公式:スタンダードプランは36か月契約で月990円(税込)、初期費用0円、12か月以上の契約で対象独自ドメインが無料
- ホームページ作成費用の料金相場/Web幹事・二次情報:小規模なサイトは50万円以下、管理費は数千円から5万円程度という記載
- 検索エンジン最適化スターターガイド/Google検索セントラル・一次資料
- 小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)商工会地区の事務局サイト・一次資料:ウェブサイト関連費のみの申請は不可。商工会議所地区は別の事務局サイトが窓口です
- 中小企業実態基本調査の結果/日本商工会議所の記事・二次情報:1企業当たり売上高2.1億円、従業者数9.7人(令和6年調査・令和5年度決算実績)
比較や判断の考え方でつまずいた場合は、中小企業のAI導入パートナーの選び方で扱っている「判断軸を先に決めてから候補を見る」という手順も、そのまま応用できます。