2026.08.12 · 18分で読める

AIでホームページは作れるか|任せられる範囲と、公開後に残る仕事


会社のホームページを用意するとき、これまでは打ち合わせから公開まで数週間かかるのが普通でした。制作会社と話し、原稿を出し、デザインを確認し、直して、ようやく公開する。いま、AIホームページ作成ツール(英語ではAI website builderと呼ばれます)に会社名と業種を打ち込むと、文章も写真も配置も入った1本のサイトが数分で出てきます。同じ「ホームページができた」なのに、かかった時間は数週間と数分。この差をどう受け止めればいいのかが、この記事の主題です。

先に立場をはっきりさせます。私たちはAIの活用そのものを仕事にしています。ですから「AIでは作れない」とは言いません。実際に作れます。Wixの公式ページは、AIがページやセクション、ビジュアルを即座に生成すると説明していますし、Squarespaceの公式ページも、ブランドに合わせた文章と画像、デザイン案を生成すると書いています(いずれも2026年8月6日確認)。ここは争点ではありません。

争点は別の場所にあります。ホームページは、作った瞬間に終わる仕事ではなく、公開した瞬間に始まる仕事だからです。ドメインの名義、書いてある内容の責任、情報の更新、問い合わせへの返信、安全の維持。これらはAIが「生成」できるものではなく、誰かが「引き受ける」ものです。本記事では、公式ドキュメントで確認できる生成範囲と、公開後に残る5つの仕事を、1本の線で分けて示します。

先に、線を1本引いておきます

AI側に置けるもの|文章の下書き、写真やイラスト、ページの構成、配色とレイアウト、スマホ表示の対応、初期のSEO設定。ここは短時間で形になります。

あなた側に残るもの|ドメインとアカウントの名義、書いた内容の責任、情報の更新、問い合わせへの返信、安全とデータの持ち出し。ここは公開後もなくなりません。

この線をどこに引くかを決めてから道具を選ぶと、選び方を大きく外しません。順番が逆になると、道具は手に入ったのに運用が回らない状態になります。

同じ「できた」でも、時計の進み方が違う

従来の作り方で時間の大半を占めていたのは、実は手を動かす作業ではありません。決めることです。誰に向けたサイトなのか、料金をどう見せるのか、写真は撮り直すのか、問い合わせの窓口はどこにするのか。打ち合わせが数回に分かれるのは、この「決める」が一度では終わらないからです。

AIに任せる作り方は、この決めごとの多くを業種ごとのよくある型で先に埋めた状態から始まります。だから速い。飲食店と言えば飲食店らしい構成が、士業と言えば士業らしい構成が、最初から並んでいます。白紙から書き始めるのと、下書きに赤を入れるのとでは、進む速さがまるで違うのと同じ理屈です。

ここが比較の要点です。AIが短くしたのは「ゼロから形になるまでの時間」であって、「公開後に毎月流れる時間」ではありません。引っ越しにたとえるなら、家具の搬入が1日で終わっても、その部屋で暮らす時間は毎日続きます。搬入の速さと暮らしやすさは別の話です。

作る時間は縮む、運用の時間は縮まない 従来の作り方は打ち合わせ・原稿からデザイン・修正を経て公開まで数週間かかり、AIに任せる作り方は入力と調整で数時間から数日で公開に至る。一方で公開後に続く更新・問い合わせ・表記の確認・安全の帯は、どちらの作り方でも同じ長さで続くことを示すタイムライン比較図 作る時間は縮む。運用の時間は縮まない 従来の作り方 打ち合わせ・原稿 デザイン・修正 公開 合計すると数週間かかることが多い AIに任せる 入力 調整 公開 数時間から数日で公開まで届く 公開後 更新/問い合わせ/表記の確認/安全 どちらの作り方でも、同じ長さで続く 短くなったのは左側だけ。右側の帯は誰かが持つ AI Lab OISHI

「速い」の中身を3つに分解する

速くなるのは、初稿ができるまで文章の下書き画像の用意の3つです。ここは実感として大きい。一方で速くならないのも3つあります。自社の事実を集めること(正しい料金、営業時間、対応エリア、資格や許認可)、誰に何を言うかを決めること、そして公開後の運用です。

AIは料理を作る速度をとても上げてくれますが、冷蔵庫の中身を勝手に増やしてはくれません。自社の事実は社内にしかなく、それを渡さなければ、出てくるのは「その業種のよくある会社」の説明になります。自作と外注のどちらで進めるかを迷っている段階なら、経営者の時給で考える自作と外注の損益分岐点も合わせて読むと、時間の使い方の観点が揃います。

AIがホームページを作れる範囲は、公式ドキュメントに書いてある

推測で語る必要はありません。ツールを提供している会社が自分で説明しています。Wixの公式ページには、AIが業種に合わせたロジックと文章、質の高いビジュアルを組み込んだサイトを生成し、ページやセクション、ビジュアルを即座に作れると書かれています。Squarespaceの公式ページも、ブランドに合わせた文章と画像、デザイン案を生成し、検索を意識した文章と構造を作ると説明しています(いずれも2026年8月6日確認)。

同時に、そのページには公開のための条件も書かれています。無料で始められる一方で、独自ドメインの接続は有料プランの機能とされ、年間プランなら1年分のドメインが付く、という説明が並びます。つまり「無料で作れる」と「会社の顔として公開する」の間には、契約という一段があります。

もう一点、見落とされがちな記述があります。Squarespaceの公式ページは、AIビルダーの目的は利用者の創造性を引き出すことであって置き換えることではない、という趣旨を明記しています。作り手側も「完成品」ではなく「出発点」として位置づけているということです。ここを読み違えると、出てきた瞬間の状態を最終形だと思い込みます。

AIでサイトを作る3つの型

やり方は大きく3つに分かれます。どれを選ぶかで、公開までに自分でやることが変わります。

やり方の型 出てくるもの 公開までに自分でやること 合いやすい場面
サイト作成サービスのAI機能 そのまま公開できる状態のサイト プラン契約/独自ドメインの接続/文言と数字の確認 数ページの会社案内を早く出したい
対話型AIにHTMLを書かせる ページのファイル一式 サーバー契約/アップロード/SSL設定/フォームの用意 既にサーバーがある/構成が特殊
制作の一部にAIを使う 下書きの文章と画像素材 事実の確認/表現の調整/全体の設計判断 事業の説明が型に当てはまらない

3つに共通するのは、どの型を選んでも公開の手続きは人が行うことです。契約に同意し、支払い方法を登録し、ドメインをつなぐ。ここはAIが代わりに押せないボタンで、いわば車の鍵と同じ位置づけです。エンジンの性能がいくら上がっても、鍵を回すのは持ち主になります。

公開後に残る5つの仕事

ここからが本題です。生成が終わった瞬間に、性質の違う5種類の仕事が立ち上がります。どれも派手ではありませんが、放置すると効いてくるものばかりです。

AIが生成できるものと、公開後に残る仕事 公開という線を挟んで、上側にAIが生成できる文章の下書き・写真やイラスト・ページ構成・配色とレイアウト・スマホ表示の対応・初期のSEO設定を、下側に公開後に残るドメインの名義・表記の責任・情報の更新・問い合わせ対応・安全とデータ管理を配置した範囲構造図 AIが生成できるもの/公開後に残る仕事 AIが速いのは公開まで。公開後の仕事は減らない AIが生成できるもの(公開まで) 文章の下書き 写真・イラスト ページ構成 配色とレイアウト スマホ表示の対応 初期のSEO設定 ここで公開する 公開後に残る仕事(AIは代われない) ドメインの名義 表記の責任 情報の更新 問い合わせ対応 安全とデータ管理 この記事が扱うのは、下半分です AI Lab OISHI

残る仕事① ドメインとアカウントの名義

まず土地の話です。ドメインについてJPRS(日本レジストリサービス)は、登録者はそのドメイン名を所有するのではなく、一定期間使用する権利を持つという考え方が一般的だと説明しています。つまり買い切りの土地ではなく、期限つきの借地に近い。だから実務で効くのは、誰の名前で登録されているか、更新料を誰が払っているか、この2点です。

AIツールでサイトを作ると、ドメインもそのサービス経由で取得する流れになることが多くなります。年間プランに1年分のドメインが付く形は分かりやすい反面、1年後の更新をどうするか、他社へ移すときに誰が手続きするかが、契約時には見えにくいという弱点があります。借りている店舗の賃貸契約が誰の名前になっているか分からないまま営業しているようなもので、平時は何も起きませんが、辞めるときと移るときに必ず表面化します。

合わせて確認したいのがアカウントです。管理画面のログインが担当者個人のメールアドレスになっていると、その人が退職した時点で会社が入れなくなります。会社のメールアドレスで登録し、パスワードの保管場所を決める。この2つで大半の事故は防げます。解約したときに何が手元に残るかは、「所有権」を7つに分解した記事で詳しく整理しています。

残る仕事② 表記の責任

ここが、AIで作る場合にいちばん見落とされる部分です。サイトに載せた表示の責任は、掲載した事業者が負います。AIが書いたから、では通りません。

消費者庁は優良誤認表示について、故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても景品表示法により規制されると明記しています。さらに、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められ、期間内に提出できない場合や根拠と認められない場合には、不当表示とみなされる仕組み(不実証広告規制)も設けられています。

AIは「業界トップクラス」「圧倒的な実績」「効果的」といった強い言い回しを、頼まなくても自然に書きます。文章としては滑らかですが、その根拠を持っているのは会社側だけです。言い換えれば、AIは看板の文字をきれいに書いてくれる職人で、看板に名前を出すのはあなた。文字が美しくても、書かれた内容の責任は店に残ります。

AIが書いた一文は、誰の責任になるか AIが文章を生成し、確認されないまま公開され、表示の責任は事業者に残るという三段の流れと、その根拠になる景品表示法・特定商取引法・個人情報保護法の3つの観点を示した図 AIが書いた一文は、誰の責任になるか AIが強い言い回しの文章を書く 根拠を確かめないまま公開する 表示の責任は事業者に残る 景品表示法 誤った表示でも 規制の対象 特定商取引法 販売するなら 氏名・住所・電話 個人情報保護法 フォームなら 利用目的の公表 AI Lab OISHI

関わる決まりは景品表示法だけではありません。サイト上で商品やサービスの申込みを受けるなら、特定商取引法にもとづき事業者の氏名(名称)・住所・電話番号などの表示が求められます。問い合わせフォームで氏名やメールアドレスを受け取るなら、個人情報保護法のガイドライン(通則編)が示すとおり、利用目的をあらかじめ公表しているか、取得後すみやかに本人へ通知または公表する必要があります。

もう一つ、AIが生成した文章や画像が既存の作品に似ていないかという論点もあります。生成AIと著作権の考え方は文化庁が公表している資料に整理されており、事業者向けのチェックリストも公開されています。全部を読み込む必要はありませんが、ロゴ・写真・キャッチコピーの3つだけは公開前に見比べると決めておくと現実的です。

残る仕事③ 情報の更新

AIで作ったサイトは、公開初日がいちばん整っています。そして何もしなければ、その日で時計が止まります。半年後には営業時間が変わり、料金が変わり、担当者が入れ替わっているのに、サイトだけが去年の会社を紹介し続ける。これは制作方法とは関係なく起きますが、AIで作った場合は「自分で作った実感」が薄いぶん、直す担当が決まりにくいという別の弱点が加わります。

更新の文章づくり自体はAIに任せられます。ただし「何を更新すべきか」は社内にしかない情報です。夏季休業の日程も、値上げの時期も、新しく取った資格も、AIは知りません。イメージとしては、優秀な代筆者はいるが、伝えるべき出来事を集めてくるのは自分、という分担になります。

更新を続ける仕組みとして管理画面(CMS)が要るかどうかは、更新の頻度と担当者で決まります。この判断はホームページにWordPressは必要かを扱った記事で、誰が・何を・何回更新するかという物差しにまとめました。

残る仕事④ 問い合わせ対応

ホームページを作る目的の多くは、最後は問い合わせに行き着きます。ところがAIで一気に作ったサイトほど、フォームのテスト送信をしないまま公開されがちです。自動で組み上がったので「動いているはず」と感じてしまうためです。

確認することは3つだけです。実際に自分で送信してみる届いたメールが迷惑メールに入らないか見る誰が何日以内に返信するかを決める。電話を引いただけで、鳴っても誰も出ない状態を避ける作業に相当します。とくに3つ目は道具の問題ではなく運用の問題で、決めていない会社ほど「反応がない」と感じます。

問い合わせの一次受けをAIに任せる選択肢もあります。ただしその場合も、答えの内容が正しいかを確認するのは事業者側です。ここでも②の責任の話が戻ってきます。

残る仕事⑤ 安全と、ツールが終わる日

サイト作成サービスを使う場合、サーバーの安全はサービス側が見ます。そのぶん自社に残るのはログインの管理です。パスワードの使い回しをやめ、二段階認証を有効にする。守る対象がサーバーからアカウントへ移った、と考えると分かりやすくなります。

もう一つが継続性です。道具は自分の都合と関係なく変わります。料金体系が変わることもあれば、サービス自体が終わることもある。ここで効いてくるのが、「作り直せるもの」と「取り返せないもの」を分けておくという考え方です。デザインも文章も作り直せます。取り返しがつきにくいのは、ドメイン、問い合わせの履歴、そしてこれまで貯めたアクセスの記録です。

だから確認するのは1点。文章・画像・問い合わせデータを、後から取り出せる形で持てるか。契約前に一度聞いておくだけで、将来の選択肢が残ります。費用を5年単位で見比べる考え方は、初期費用型と月額型を5年総額で比べた記事にまとめています。

AIで作ったホームページは、検索で不利になるか

気にする方が多い論点なので、公式ドキュメントで確かめます。結論から言えば、作り方がAIであること自体を理由に不利になる、という説明はありません

GoogleはAI生成コンテンツに関するガイダンスで、制作方法ではなく内容の品質で評価するという考え方を示しています。一方、Googleのスパムポリシーの「大量生成されたコンテンツの不正使用」には、生成AIツールなどを使ってユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成することが、例として明記されています(2026年8月6日確認)。

2026年5月には、Googleが生成AI機能に向けた最適化のガイドを公開しました。そこでは、SEOの基本は引き続き有効であること、AI向けの特別なファイル(llms.txtなど)は不要で有無が表示や順位に影響しないこと、生成AIのために特別な書き方をする必要はないこと、生成AI検索のために特別な構造化データも要らないことが説明されています。やることが増えたのではなく、やることは変わっていないという整理です。

AIの使い方は、どこで線を越えるか AIで下書きして人が事実を確認する使い方は問題なし、AIの文章をそのまま公開するのは要注意、大量のページを作って放置するのはスパム扱いの領域になるという段階を、緑から赤へのグラデーション帯で示した図 AIの使い方は、どこで線を越えるか 見られているのは作り方ではなく、価値の有無 AIで下書きし 人が事実を確認 AIの文章を そのまま公開 大量のページを 作って放置 問題なし 要注意 スパム扱いの領域 公式のスパムポリシーには、生成AIで価値を付加せずに 大量のページを作ることが例として挙げられている AI Lab OISHI

実務に落とすと単純です。AIで下書きを作り、自社の事実を入れ、人が確認してから公開する。これは線の内側にあります。ちょうど、電卓を使って計算するのが反則ではないのと同じように、道具を使うこと自体は問われません。問われるのは、答えを確かめずに提出したときです。

むしろ検索の面で効いてくるのは、AIが型どおりに書いた説明を、そのまま出すかどうかです。同じ業種の会社が同じツールを使えば、似た文章が並びます。その中で読まれるのは、その会社にしかない事実——対応エリア、実際の工程、断っている仕事、料金の考え方です。AIが生成した骨組みに、この4つを足すだけで別物になります。

AIで進めやすい会社と、人の手を挟むと早い会社

どちらが優れているかという話ではありません。同じ道具でも、条件によって進みやすさが変わるという話です。

AIで進めやすいのは、次のような場合です。ページ数が少なく会社案内が中心である。売っているものが言葉で説明しやすい。更新を自分で操作する人が社内にいる。まずは最低限の受け皿を早く用意したい。開業直後で、名刺に載せるURLが先に要る。こうした条件が重なるなら、AIで作って走りながら整えるほうが早く前に進みます。

人の手を挟むと結果的に早いのは、次のような場合です。業種特有の表示ルールがある(医療、士業、金融、不動産、人材など)。事業の説明が型に当てはまらず、業種名だけでは伝わらない。写真や図そのものが商品である。社内に手を動かす人がいない。この場合、AIが出した型どおりの原稿を直す時間のほうが、最初から相談して作る時間より長くなることがあります。

大切なのは「AIか人か」ではなく、どこまでAI・どこから人、という線をどこに引くかです。次のチェックリストは、道具を選ぶ前に紙に書いて決めておくと迷いが減る項目です。

AIで作る前に、紙に書いて決める7つ ドメインの名義、管理画面のログイン用メールアドレス、AIが書いた表現の確認担当、問い合わせフォームのテスト送信、更新の時間と担当、データの保管、サービス終了時に持ち出すものという7つの決めごとを並べたチェックリスト図 AIで作る前に、紙に書いて決める7つ ドメインは自社名義で取るか。更新料は誰が払うか 管理画面のログインは会社のメールアドレスにするか AIが書いた数字と強い表現を、公開前に誰が確認するか 問い合わせフォームのテスト送信を、誰がいつやるか 更新は月に何分、誰の予定表に入れるか 文章と画像と問い合わせ記録を、取り出せる形で持てるか サービスが終わったとき、何を持ち出すか 7つとも、道具を決める前に答えを出せる問いです AI Lab OISHI

この7つは、月額制のサービスを検討する場合でも同じように効きます。契約形態そのものを審査する視点は、月額制ホームページ制作の選び方に整理しました。

「どのAIを使えばいいか」は目的の順で決まる

ホームページに限らず、文章でも画像でも業務の自動化でも、寄せられる問いはいつも「結局どれを使えばいいのか」に行き着きます。

答えの出し方には順序があります。道具の性能から入ると、ほぼ外します。比較記事の点数が高いものを選んでも、自社の運用に合わなければ使われません。順序はこうです。

  1. 出したいものを1文で書く——「5ページの会社案内を今月中に公開する」のように、量と期限まで書きます。
  2. 更新する人の名前を挙げる——名前が出なければ、自分で更新する前提の道具は選ばない、という判断になります。
  3. 責任を負う範囲を決める——表記の確認、問い合わせの返信、安全の管理を、社内と社外でどう分けるか。
  4. 持ち出せるかを確かめる——文章・画像・データを後から取り出せる形にできるか。
  5. 費用は5年で見る——月額の安さではなく、5年間の合計と、途中でやめたときに残るもので比べます。

この順に決めていくと、選ぶべき道具はかなり絞られます。逆に言えば、1から4が決まっていない状態でツールを比較しても、判断材料が足りないということです。地図を持たずに交通手段だけ比べているような状態で、速い乗り物を選んでも目的地には近づきません。

私たちは月額制のホームページ制作を提供していますが、ここでも同じ順序で相談を受けています。AIを使うかどうかは手段の話で、先に決めるのは1から5です。制作の中でAIを使うこと自体は当たり前になっていて、私たち自身も文章の下書きや画像の検討に日常的に使っています。使うか使わないかではなく、どこまで任せ、どこから人が見るかの線引きを言葉にできているかどうかが差になります。

私たちの見解|安くなったのは「作る」だけ

ここからは、日々サイトを作り、運用している立場からの見解を3つ書きます。

1つ目は、AIが安くしたのは「作る」であって、「決める」と「引き受ける」ではないこと。制作費が下がったという話題は多いのですが、下がったのは工程の一部です。誰に何を伝えるかを決めることも、表示の責任を負うことも、公開後に更新を続けることも、値段は変わっていません。むしろ作る部分が速くなったぶん、決めることと引き受けることの比重が上がりました。

2つ目は、いちばんもったいないのは「作れたのに止まる」ケースだということ。数分で公開まで届いたのに、3か月後には誰も開かなくなっているサイトを見かけます。原因は品質ではなく、次にやることが決まっていないことです。作るコストが下がったのだから、その浮いた時間を「続ける設計」に回すのが自然な使い方だと考えています。

3つ目は、AIを使うかどうかは、もう論点ではないということ。数年のうちに、何らかの形でAIが関わっていないサイト制作のほうが珍しくなります。そのとき差がつくのは、AIの有無ではなく、線引きを説明できるかどうかです。「この文章はAIの下書きに社内で事実を入れた」「この写真は撮影した」「料金表は毎月確認している」——こう言える状態が、読む人にとっての信頼になります。

自社の場合はどこまでAIに任せられるのか、判断がつかないときは無料相談で一緒に整理させてください。ご用意いただきたいのは見積書ではなく、更新を頼まれる人の名前と、直近1年で変わった情報のリストの2つだけです。

まとめ

AIは、ホームページ制作の入口をとても広げました。広がったぶん、入った先で何を引き受けるのかを先に決めておく価値も上がっています。作れるかを心配するより、公開した翌月に誰が何をするかを1枚の紙に書くほうが、結果的に近道になります。

よくある質問

Q1. AIだけでホームページは作れますか?

公開できる形のサイトを作るところまでは、AIだけでも到達できます。サイト作成サービスのAI機能は、業種を伝えるだけで文章・写真・ページ構成・配色を生成すると各社の公式ページで説明されています(2026年8月6日確認)。ただし公開そのものには、料金プランの契約と独自ドメインの接続という手続きが伴い、ここは人が判断して契約する部分です。さらに公開後には、ドメインとアカウントの名義、書いた内容の責任、情報の更新、問い合わせへの返信、安全とデータの持ち出しという5つの仕事が残ります。これらはAIが生成できるものではなく、誰かが引き受けるものです。「作れるか」の答えは作れる、「終わるか」の答えは終わらない、と分けて考えると判断を誤りにくくなります。

Q2. AIで作ったホームページは検索で不利になりますか?

作り方がAIであること自体を理由に不利になる、という説明はGoogleの公式ドキュメントにはありません。GoogleはAI生成コンテンツに関するガイダンスで、制作方法ではなく内容の品質で評価するという考え方を示しています。一方でスパムポリシーの「大量生成されたコンテンツの不正使用」には、生成AIツールなどを使ってユーザーにとっての価値を付加せずに大量のページを生成することが例として明記されています。つまり線引きは、AIを使ったかどうかではなく、読む人にとっての価値があるかどうかです。AIで下書きを作り、自社の事実を入れて人が確認してから公開する進め方は、この線の内側にあります。

Q3. AIが書いた文章に間違いがあった場合、責任は誰にありますか?

サイトに掲載した表示の責任は、掲載した事業者が負います。消費者庁は優良誤認表示について、故意に偽って表示した場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても景品表示法により規制されると説明しています。また、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を求められ、期間内に提出できない場合には不当表示とみなされる仕組みも設けられています。AIは「業界トップクラス」「効果的」といった強い言い回しを自然に書きますが、その根拠を持っているのは会社側だけです。公開前に、数字と比較表現と実績に関する記述を誰が確認するかを決めておくのが現実的な備えになります。

Q4. 無料のAIツールだけでホームページを済ませても大丈夫ですか?

試す段階では有効です。ただし無料の範囲では、独自ドメインの接続が有料プランの機能とされているのが一般的で、会社の顔として使うなら結局はプラン契約が必要になります。もう一点、無料で始めた場合ほど「誰の名義で登録されているか」が曖昧になりがちです。ドメインは登録者が所有するものではなく一定期間使用する権利だとJPRSが説明しており、名義と更新料の支払い者が実務上の要になります。無料で試し、続けると決めた時点で、ドメインを自社名義に整え、管理画面のログインを会社のメールアドレスに変え、データを取り出せるかを確認する。この3つを済ませておくと後戻りが少なくなります。

参照元・出典

本記事は2026年8月6日に調査した公開情報にもとづきます。AIによるホームページ作成は情勢の変化が速い領域のため、各サービスの機能・料金は必ず公式ページの最新表示をご確認ください。行政資料・公式ドキュメント・レジストリの公表情報を一次として扱っています。なお、本記事で社名を挙げているのは、利用者自身が操作する自作型のサイト作成ツールと、行政・公的機関・レジストリに限っています。ホームページの制作を代行する事業者の社名・サービス名・URLは記載していません。

一次ソース(行政・公的機関)

一次ソース(公式ドキュメント・レジストリ)

調査対象(AIサイト作成ツールの公式ページ・2026年8月6日確認)

← Blog一覧へ