サイバーセキュリティ特別相談窓口:先に結論と確認日時
サイバーセキュリティ特別相談窓口は、経済産業省と中小企業庁が2026年10月27日に設けた、中小企業・小規模事業者向けの無料の相談口です。置かれた先は、各都道府県の「よろず支援拠点」と、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の「IT経営サポートセンター」です。
中小企業庁のミラサポplus、国のチラシ、神奈川産業振興センター、中小機構、IPA(情報処理推進機構)、警察庁のページを、2026年11月4日 22時時点で確認しました。
- 費用:国の案内は、特別相談窓口を無料としています。よろず支援拠点は「相談は何度でも無料」、IT経営サポートセンターは「1回60分、何度でも利用可能」な無料のオンライン相談です。
- 神奈川:神奈川県よろず支援拠点(運営は神奈川産業振興センター)が、電話番号と相談時間(平日9時〜17時)を案内しています。通常の相談は、申込フォームから1回60分で、オンラインも選べます。
- 範囲:確認した案内に並ぶのは、「何から対策を行えばよいのかわからない」といった相談です。調査や復旧を請け負うとは書かれていません。事故のあとの報告と初動は、漏えい報告の記事にあります。
状況は変わりえます。最新は各機関のページで読み直してください。
目次
何が設けられたか:2つの窓口と、情報を届ける仕組み
ミラサポplusに載る経済産業省・中小企業庁の案内によると、背景は、企業などへの相次ぐサイバー攻撃で、大規模な情報漏えい被害等が多数生じていることです。2026年10月27日に特別相談窓口を設置し、あわせてプッシュ型の情報提供を開始すると書いています。
プッシュ型は、待つのではなく、こちらへ情報を届ける方式です。たとえるなら、回覧板のようなものです。案内には、商工団体、金融機関、税理士といった支援機関を通じて届けるとあります。顧問の税理士や取引のある金融機関から案内が来る場合があります(当社の読み)。
置かれた先は、どちらもほかの相談も受けている機関です。神奈川のよろず支援拠点は2014年6月2日の開設で、IT経営サポートセンターはDX・AI活用・情報セキュリティの無料のオンライン相談として案内されています。
国のチラシ(ミラサポplusに掲載のPDF)は、「まずは自社の対策状況の確認を」と書き、IPA(情報処理推進機構)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」と、診断ツール「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」を挙げています。たとえるなら、相談の前の健康診断です。
自社に関係があるか:当てはまりを見る3つ
案内は、窓口を中小企業・小規模事業者向けとしています。神奈川県よろず支援拠点は、NPO法人や社会福祉法人等、創業予定の方も対象に挙げています。IT経営サポートセンターのQ&Aは、利用の条件に「中小企業者であること」などを挙げています。従業員数の下限は、確認した案内に書かれていません。
相談の材料になりやすい場面を、当社の整理で3つ挙げます。
- 取引先から求められた:セキュリティの確認票や、対策の報告を求められた。
- 情報を預かっている:顧客や従業員の情報を、パソコンやクラウドに置いている。
- 担当が決まっていない:兼任の担当者が1人で、何から手を付けるか決まっていない。
1つでも当てはまれば、聞きたいことのメモを作ります。連絡する人は、経営者か総務かを先に決めます。
特別相談窓口2つの違い:よろず支援拠点とIT経営サポートセンター
| 項目 |
よろず支援拠点 |
IT経営サポートセンター |
| どんな窓口か |
国が全国に設置した無料の経営相談所(全国本部のページ) |
中小機構が運営するIT・情報セキュリティの相談窓口 |
| 向く人(チラシ) |
具体的に何をやってよいか分からない方/経営全般の悩みとあわせて相談したい方 |
IT・情報セキュリティを専門家に相談したい方 |
| 相談の方法 |
拠点ごとに違う。神奈川の通常の相談は、申込フォームから1回60分、オンライン可 |
オンライン(Zoom)、1回60分。予約サイトで日時を選ぶ |
| 費用と回数 |
何度でも無料 |
無料、何度でも利用可能 |
| 助言の内容(チラシ) |
IT活用や情報セキュリティを含む経営課題に対応。必要に応じて専門家・関係機関を案内 |
情報セキュリティ対策、リスクの整理、情報資産管理、管理体制等。中立的な立場のIT専門家が対応 |
| できないこと(公式の記載) |
神奈川の留意事項:行政手続き・融資手続き・助成金の申請手続きの実務代行は行わない |
センター全体のQ&Aで対象外:PCやネットワークのトラブル解決や導入、特定の製品・サービスの評価や推奨、ITベンダーの斡旋、補助金の申請支援 |
たとえるなら、よろず支援拠点は「何科にかかればよいか分からないときの総合受付」、IT経営サポートセンターは「ITと情報セキュリティの専門外来」のようなものです(当社のたとえ)。
当社の整理では、取引先の求め、費用、社内の体制といった経営の話から始めるならよろず支援拠点、使っているシステムや管理の仕組みを専門家と整理したいならIT経営サポートセンターです。どちらも無料と案内されているため、まず1つを使い、足りなければもう1つを試します。
迷ったときは、話したいのが経営の判断かシステムの中身か、平日に1時間オンラインで話せる人がいるか、先に保守の委託先へ聞くことがないかを見ます(当社の整理)。
神奈川での連絡先:神奈川県よろず支援拠点と、オンライン予約
神奈川県では、公益財団法人神奈川産業振興センターが、経済産業省から委託を受けて神奈川県よろず支援拠点を運営しています。同センターは2026年10月27日に、よろず・ワンストップ相談窓口で特別相談窓口を設置しました。
同センターの総合相談窓口のページには特別相談窓口の一覧があり、インボイス制度、台風、米国の自動車関税などに続いて、サイバーセキュリティ特別相談窓口が載っています。終了日は、確認した案内に出ていません。
- 連絡先:電話は045-633-5071で、特別相談窓口の案内は、相談時間を平日9時〜17時としています。
- 場所:横浜市中区尾上町5-80、神奈川中小企業センタービルの8階(受付8階)です。2026年9月28日に4階から移っており、古い案内には4階とあります。
- 呼びかけ:「サイバーセキュリティに対して不安を有している」「何から対策を行えばよいのかわからない」といった方は、連絡するよう案内しています。
- 通常の相談の流れ:拠点の公式サイトでは、相談予約のフォームで申し込み、1回60分、オンライン可、何度でも無料です。
特別相談窓口の案内ページ自体には、費用、回数、予約の要否の記載がありません。通常と同じ流れかも分からないため、最初の連絡で確かめます。
IT経営サポートセンター:予約サイトで日時を選ぶ
中小機構のページによると、相談は無料・1回60分・オンラインで、何度でも利用できます。特定のITツールやベンダーに偏らない中立的な立場から助言すると書いています。Q&Aによると、面談はZoomで、ブラウザからも参加できます。経営者以外も利用できますが、可能なら経営層の出席を求めています。予約は次の4段階です。
同センターのページには、情報セキュリティの緊急の相談用として、「サイバーセキュリティ特別相談窓口(経営相談ホットライン)」の電話(平日9時〜17時、03-5860-1869)も載っています。「緊急」の範囲と対応の中身は、案内に説明がありません。
相談の前に用意する4つ(当社の整理)
IT経営サポートセンターのQ&Aは、事前の準備は「特にありません」としています。そのうえで、予約フォームに悩んでいる点を具体的に書くと、相談がスムーズになると書いています。以下の4つは当社の整理で、窓口が求めるものではありません。
- 聞きたいことを1〜3行で書く。例は「取引先から確認票が届いたが、何から答えるか」「ホームページの管理を委託先に任せきりで不安」などです。複数あるときは、優先順位の高い順に並べます。
- 使っているものを一覧にする。パソコンとスマートフォンの台数、メール・ファイル共有・会計などのクラウド、ホームページ、保守の委託先です。誰が使い、誰が管理するかを添えると、状況が伝わりやすくなります。IPAのガイドラインの付録に、資産管理台帳のサンプル(Excel)があります。たとえるなら、持ち物リストです。
- 取引先から求められたことを集める。質問票、契約書のセキュリティの条項、取引先の依頼メールです。契約に秘密保持の定めがあるときは、取引先名を出せるかを先に確かめます。SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)の話が出ていれば、SCS評価制度の記事にあります。
- 出る人と、出す情報の範囲を決める。経営者か総務か、委託先も同席するかです。神奈川県よろず支援拠点の留意事項は、伝えた内容(個人情報を含む)が、中小企業庁や中小機構、全国のよろず支援拠点などで共有されると書いています。パスワードや個人情報の実物は渡さず、項目と件数で伝えます。
パスワードの管理はパスワード管理の記事、機器の更新は脆弱性まとめの記事にあります。相談で何が得られるかは、窓口の専門家との話の中身で決まります。
相談当日の進め方と、相談のあとに決めること
相談の進め方は窓口ごとに違うため、以下は当社の整理です。最初に、会社の概要(業種、人数、拠点)、困っていること、使っているもの、取引先の求め、回答の期限を順に伝えると、話が整理しやすくなります。メモは、窓口が挙げた「次にやること」と「その理由」を分けて取ります。
1回60分と案内されているIT経営サポートセンターなどでの使い方の例を挙げます(当社の整理)。最初の5分で会社の概要と聞きたいことを伝え、次の35分で状況を確かめながら助言を受け、最後の20分で「次にやること」と宿題の優先順位を確かめます。配分は目安で、窓口が決めたものではありません。
相談のあとに社内で決めることは、3つです。
- 誰が:窓口で出た宿題の担当者です。兼任の担当者が多いときは、期限を伝えて分けます。
- いつまでに:取引先への回答日など、動かせない期限から逆算します。
- いくらまで:有料の対策を勧められたときの上限と、決める人です。紹介された専門家や民間サービスは、紹介先ごとに見積を取ります。
窓口の助言は、決めるための材料です。実行する範囲と順番を決めるのは、会社です。
ほかの窓口との使い分け:備えの相談と、事故のあとは別
| 状況 |
まず連絡する先 |
公式に書かれていること |
| 何から対策すればよいか分からない |
特別相談窓口(よろず支援拠点、IT経営サポートセンター) |
国のチラシ:何をやってよいか分からない方、IT・情報セキュリティを専門家に相談したい方が対象です。 |
| ランサムウェアの画面が出た、ウイルスを検知した |
社内の責任者と保守業者、警察、IPAの企業組織向け相談窓口 |
IPA:初動対応の相談(応急処置案の助言、専門業者一覧の紹介など)をメールで受け付け、事案の調査や解析は対応していません。警察庁:通報・相談のオンライン窓口があります。 |
| 個人データが漏れたかもしれない |
個人情報保護委員会への報告 |
期限と手順は、漏えい報告の記事にあります。 |
| 見守りや保険までまとめたい |
サイバーセキュリティお助け隊サービス |
IPA:民間の事業者が提供するサービスです。国のチラシ:相談窓口、システムの異常の監視、緊急時の対応支援、簡易サイバー保険などをまとめ、利用料の補助(上限5万〜150万円、補助率は中小企業1/2・小規模事業者2/3、最大2年分)があります。 |
補助の数字は国のチラシの記載です。条件は、補助金の公募要領で確認します。
警察庁のページは、サイバー事案の通報・相談・情報提供を受けるオンライン窓口を案内し、被害届は最寄りの警察署等へ連絡するよう書いています。IPAの企業組織向けの窓口は、初動の助言や専門業者の紹介などをメールで受け付け、届出は別の受付です。
たとえるなら、特別相談窓口は健康相談の窓口で、警察やIPAの初動の相談は救急にあたります(当社のたとえ)。ただし、境目ははっきり分かれません。IT経営サポートセンターには、前述の緊急相談の電話もあります。
事故が疑われるときは、窓口へ電話する前に、社内の責任者と保守業者へ連絡します。そのうえで窓口に相談する場合は、対応の範囲を最初に聞きます。事故の前に経営者が決めることは、ランサムウェア対策の記事にあります。
確認できなかったこと
公式の案内で確認できた点と、できなかった点です。「書かれていない」ことは、「ない」ことではありません。
| 項目 |
書かれていたこと |
書かれていなかったこと |
| 費用・回数 |
国の案内:無料。チラシと拠点の公式サイト:何度でも |
神奈川産業振興センターの特別相談窓口の案内ページには、費用と回数の記載がない |
| 方法・予約 |
中小機構:オンライン・予約サイト。神奈川の通常の相談:申込フォーム・60分・オンライン可 |
ミラサポplusの案内本文に、方法・予約・問い合わせ先の記載がない。サイバーの特別相談でも通常と同じ流れか |
| 対応の範囲 |
助言、リスクの整理、専門家・関係機関の案内 |
調査や復旧の請け負い。緊急相談の電話が受け付ける内容 |
- 経済産業省のサイトの発表ページ本文は、自動の取得ができず、確認できていません。ミラサポplusに載る、経済産業省・中小企業庁の案内を読んでいます。
- お助け隊サービスの個別の価格と、補助金の公募の状況は、確認していません。
最初にやる3つ
- 聞きたいことを1〜3行で書き、使っているものの一覧を作る。
- 神奈川県よろず支援拠点(電話 045-633-5071、平日9〜17時)に電話するか、IT経営サポートセンターの予約サイトで日時を選ぶ。まず1つで足ります。最初の連絡では、費用・回数、予約の要否、対応の範囲を聞きます。
- 事故が疑われたときの連絡先(責任者・保守業者・警察・IPA)を、A4の1枚に書いて共有する。
よくある質問
従業員が数人の会社でも使えますか。
経済産業省・中小企業庁は、窓口を中小企業・小規模事業者向けと案内しています。IT経営サポートセンターのQ&Aは、利用の条件を「中小企業者であること」などとしています。従業員数の下限は、確認した案内に書かれていません。
費用はかかりますか。
国の案内は、特別相談窓口を無料としています。よろず支援拠点は「何度でも無料」、IT経営サポートセンターは1回60分のオンライン相談を何度でも無料で利用できます。窓口から紹介される専門家や民間サービスの費用は、紹介先ごとに確認します。
事故が起きたかもしれないときも、この窓口に連絡しますか。
確認した案内に、調査や復旧を請け負うという記載はありません。まず社内の責任者と保守業者へ連絡し、警察やIPAに相談します。個人データが漏れた可能性があるときは、報告の期限を漏えい報告の記事で確認します。
取引先からセキュリティの確認票が届きました。窓口に持ち込めますか。
国のチラシによると、IT経営サポートセンターの相談内容は、情報セキュリティ対策、リスクの整理、情報資産管理、管理体制などです。よろず支援拠点は「IT活用や情報セキュリティを含む経営課題に対応」とあります。確認票は、それらを整理する材料として持参します(当社の整理)。回答の代行までするかは書かれていないため、予約のときに聞きます。
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは何が違いますか。
特別相談窓口は無料の相談です。お助け隊サービスは、IPAの説明では民間の事業者が提供するサービスで、国のチラシは相談窓口、システムの異常の監視、緊急時の対応支援、簡易サイバー保険などをまとめたものと説明しています。利用料の補助もあります。
まとめ
特別相談窓口は、よろず支援拠点とIT経営サポートセンターに置かれた、無料の相談口です。神奈川では、神奈川県よろず支援拠点(電話 045-633-5071、平日9〜17時)へ電話するか、IT経営サポートセンターの予約サイトを使います。聞きたいことと、使っているものの一覧を持って、最初の1回を取ります。
参照元・出典
本記事は 2026年11月4日 22時の確認時点のものです。