「MCP対応」とは何か|AIにつなげる仕事のツールと、始める前の注意
「MCP対応」は、AIとつなげられるという意味
AI の新しい製品やニュースで、「MCP対応」という言葉を見かけることが増えました。会計ソフトや業務アプリの発表にも出てきます。
意味を一言でいうと、「AI と、その製品をつなぐための共通の差し込み口に対応した」ということです。対応していれば、Claude や ChatGPT などの AI から、その製品のデータを読んだり、操作を頼んだりできるようになります。
ただし、画面の上で「MCP」という文字を見ることはほとんどありません。この記事では、MCP が何か、各社の画面でどう呼ばれているか、日本の中小企業が使うツールでどこまで対応が進んでいるか、そしてつなぐ前に決めておくことを整理します。仕組みの詳しい説明は3月の MCP 入門記事にあります。
この記事を読むとわかること
- 「MCP対応」が何を意味するか
- Claude・ChatGPT・Copilot・Gemini の画面での呼び名
- freee・kintone・Sansan など日本のツールの対応状況
- つなぐ前に決めておく安全面の3つのこと
目次
MCPとは:AIの共通の差し込み口
MCP は Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル)の略です。公式サイトは「AI アプリを外部のシステムにつなぐための、オープンな標準」と説明しています。つなぐ先には、ファイルやデータベースのようなデータ、検索や計算のような道具、決まった手順の仕事が含まれます。
公式サイト自身が使っているたとえが分かりやすいので紹介します。MCP は「AI アプリのための USB-C ポートのようなもの」です。USB-C ならメーカーが違っても同じ差し込み口でつながるように、MCP に対応していれば、どの AI からでも同じ方法でツールにつなげられます。
生まれたのは2024年11月で、Anthropic が公開しました。2025年12月には、Linux Foundation の下にある Agentic AI Foundation へ寄贈されています。この財団は Anthropic・Block・OpenAI が共同で立ち上げ、Google・Microsoft・AWS なども支援しています。いまは特定の会社のものではない、中立の規格です。
規格そのものも更新が続いていて、2026年7月28日に新しい版が出ました。ただ、これは主に作る側の変更で、使う側の操作が大きく変わるものではありません。
画面では別の名前で出てくる
「MCP対応」を探して画面を見ても、たいてい「MCP」とは書いてありません。各社とも、利用者向けには別の名前を付けています。いわば同じコンセントを、家電メーカーごとに「電源」「差し込み」「プラグ」と呼んでいるような状態です。
Claude では「コネクタ」です。Claude のヘルプによると、一覧から選ぶコネクタに加えて、URL を貼って追加する「カスタムコネクタ」は無料・Pro・Max・Team・Enterprise のどのプランでも使え、無料プランは1つまでです。Team と Enterprise では、組織のオーナーが追加し、各自が接続します。
ChatGPT では「アプリ」です。いまは設定の「プラグイン」の中に並んでいます。Google ドライブや Slack のような一覧のアプリは幅広いプランで使えます。自社や他社の MCP サーバーを自分で URL からつなぐのは「開発者モード」で、Web 版だけです。書き込みまで使えるプランは、ヘルプでは Business・Enterprise・Edu と案内されていますが、開発者向けの文書は Plus・Pro も対象に挙げていて、案内が揃っていません。自分の画面で確かめてください。
Microsoft 365 Copilot では「ソース」(英語の画面では Sources)です。Copilot Chat の設定から、管理者が有効にした外部サービスを接続します。Microsoft 自身が出しているものは初期状態で有効、他社のものは管理者の承認が必要です。
Gemini アプリでは「カスタムアプリ」という名前で、MCP のサーバーをつなぐ機能がありますが、Google のヘルプによると、2026年9月時点では米国在住・18歳以上・個人アカウント・英語のみという条件付きです。
日本の仕事のツールの対応状況
中小企業にとって大事なのは、ふだん使っている仕事のツールが対応しているかです。この1年ほどで、日本のツールの公式対応がかなり増えました。
freee は2026年3月、会計・人事労務・請求書などの操作を AI から行える MCP サーバーを公開しました。3月27日の発表では、freee が自社でサーバーを動かすリモート版について、「Claude.ai の設定画面から URL を追加するだけで利用を開始できます」と案内しています。7月からは Claude のコネクタの一覧にも載っています。たとえば freee につなぐと、仕訳の下書きや財務の分析を会話で頼めるようになります。
kintone は、サイボウズが公式の MCP サーバーを無償のオープンソースで公開しています。ただしこちらは自分のパソコンに入れて使う「ローカル版」で、公式ページには API のサポート窓口の対象外とも書かれています。
Sansan は2025年11月から、名刺などのデータを Microsoft Copilot や Claude から検索・分析できる MCP サーバーのトライアル提供を始めています。マネーフォワード クラウド会計も2026年3月26日から、リモート版の MCP サーバーを全プランで提供しています。Microsoft 365 Copilot の接続先の一覧にも、マネーフォワードの名前が載っています。サーバーの管理画面を AI から操作する Xserver の例はXserver MCP の記事で紹介しました。
ここで区別しておきたいのが、「公式」と「第三者」です。MCP のサーバーは誰でも作れるので、有名なツールの名前が付いていても、提供元とは関係のない人が作ったものがあります。リモート版は URL を貼るだけ、ローカル版はパソコンへの導入が必要という違いもあります。
つなぐ流れ(freee の例)
freee を Claude につなぐ場合を並べます。freee は2026年7月から、Claude のコネクタの一覧(Anthropic の審査を経たもの)に載っています。① Claude の画面左の「カスタマイズ」→「コネクタ」を開く ② 一覧で freee を選んで追加する ③ freee にログインする、の3段です。一覧に無いツールだけ、提供元の公式ページで URL を確かめ、「カスタムコネクタを追加」から貼ります。無料プランで URL から追加できるのは1つまでなので、一覧にあるものは一覧から入れるのが確実です。たとえるなら、一覧は審査を通った鍵屋の名簿で、URL の追加は名簿に無い鍵屋に自分で頼むようなものです。つなぐ道は、AI の一覧、提供元が公開する URL、パソコンに入れるローカル版の順に、手間と自己責任が増えます。
つなぐ前に決めておく3つのこと
MCP でつなぐと、AI はツールの中のデータを読み、操作もできるようになります。便利な反面、いわばつないだ人と同じ鍵束を AI に預けることになります。AI が触れられるのは、つないだアカウントで見られる範囲までです。管理者のアカウントでつなぐと、会社全体のデータがその範囲に入ることがあります。つなぐ前に、次の3つを決めておいてください。
1つ目は、公式かどうかを確かめることです。Claude の開発者向け文書は、一覧(ディレクトリ)に載るコネクタは Anthropic の審査を経る一方、URL を入力して追加するカスタムコネクタは Anthropic の審査なしと説明しています。Google のヘルプも「他社の MCP サーバーを Google は管理・監視・保護しない。監督の責任は利用者にある」と書いています。一覧に同じツールがあるなら、一覧から入れるのが確実です。
2つ目は、URL を取り違えないことです。freee は発表の中で、「誤った URL を追加すると情報漏洩の可能性があるため取り間違えにご注意ください」と注意しています。検索結果や第三者のまとめからコピーせず、提供元の公式ページから写すのが確実です。
3つ目は、AI にどこまで書き込みを許すかを決めることです。ChatGPT のヘルプは許可の段階として「毎回確認」「読み取りを許可」「低リスクの操作を許可」「すべての操作を許可」を挙げ、すべてを許可する設定には高い危険が伴うと書いています。開発者モードの説明では、信頼できないサーバーは「プロンプトインジェクション」(外から紛れ込んだ文章で AI を操る攻撃)の危険を高めるので、信頼できるサーバーだけをつなぐよう求めています。Claude でも、ツールを使う前に許可を求められます。Anthropic のヘルプは、「常に許可」を押すのは、監督なしで動かしてよいと信頼できるサーバーとツールに限るよう求めています。Team・Enterprise では、オーナーが読み取りだけに制限することもできます。最初は読み取りだけから始め、慣れてから書き込みを広げるのが順番です。
外から紛れ込んだ文章で AI が操られる仕組みは、社外の文書に埋まった指示の記事で説明しています。
社員がそれぞれ勝手につなぎ始めると、どのツールが AI につながっているか誰も把握していない、という状態になりがちです。シャドー AI の記事で書いた問題と同じ形です。安全面の点検項目はAI セキュリティのチェックリストにまとめています。
よくある質問
「MCP対応」とはどういう意味ですか。
AI と外部のツールやデータをつなぐための共通の規格、MCP(Model Context Protocol)に対応しているという意味です。公式サイトは MCP を「AI アプリのための USB-C ポートのようなもの」と説明しています。
MCP はどこの会社のものですか。
2024年11月に Anthropic が公開し、2025年12月に Linux Foundation の下にある Agentic AI Foundation へ寄贈されました。いまは特定の会社のものではない、中立の規格として運営されています。
画面のどこに「MCP」と書いてありますか。
多くの場合、書かれていません。Claude では「コネクタ」、ChatGPT では「アプリ」や「プラグイン」、Microsoft 365 Copilot では「ソース」、Gemini アプリでは「カスタムアプリ」という名前で出てきます。
freee や kintone も AI とつなげられますか。
どちらも公式の MCP サーバーを出しています。freee はリモート版があり、Claude のコネクタの一覧から追加して freee にログインすれば使えます。kintone は自分のパソコンに入れるローカル版です。使えるプランや手順は、それぞれの公式ページで確かめてください。
つなぐときに気をつけることは何ですか。
公式かどうか、URL を取り違えていないか、書き込みをどこまで許すかの3つです。最初は読み取りだけから始め、信頼できるサーバーだけをつなぐようにしてください。
まとめ
1|「MCP対応」は、AIとつなげられるという意味 AI と仕事のツールをつなぐ共通の差し込み口に対応している、ということです。
2|画面では別の名前 Claude はコネクタ、ChatGPT はアプリやプラグイン、Copilot はソース。Gemini アプリは米国・英語などの条件付きです。
3|日本のツールも対応が進んだ freee はリモート版、kintone はローカル版、Sansan はトライアル。公式か第三者かを必ず確かめます。
4|つなぐ前に3つを決める 公式かどうか、URL の取り違え、書き込みの範囲。最初は読み取りだけから始めるのが安全です。
参照元・出典
- Model Context Protocol「What is MCP?」(2026年9月27日確認)— MCP の定義、USB-C のたとえ
- Anthropic「Donating the Model Context Protocol and establishing the Agentic AI Foundation」(2025年12月9日公開・2026年9月27日確認)— Agentic AI Foundation への寄贈、共同設立と支援の企業
- Claude ヘルプ「カスタムコネクタ」(2026年9月27日確認)— 使えるプラン、無料プランは1つまで、Team・Enterprise での追加方法
- ChatGPT ヘルプ「Connected apps in ChatGPT」(2026年9月27日確認)— 許可の段階と、すべてを許可する設定の危険
- Google ヘルプ(Gemini のカスタムアプリ)(2026年9月27日確認)— 利用の条件、他社サーバーの監督の責任
- freee「リモート MCP サーバーの提供開始」(2026年3月27日公開・9月27日確認)— URL を追加するだけで使えること、URL の取り違えへの注意
- cybozu developer network「kintone MCP サーバー」(2026年9月27日確認)— 公式のローカル版
- Sansan「MCP サーバーのトライアル提供」(2025年11月21日公開・2026年9月27日確認)— トライアル提供と対応する AI
本記事の内容は 2026年9月27日に確認した時点のものです。対応状況や使えるプランは変わることがあるため、つなぐ前に各社の公式ページで最新の記載をご確認ください。