その設定、本当に学習に使われていませんか|契約の種類別に確かめる手順
「うちがChatGPTやGeminiに入れている情報は、学習に使われていませんか」——この質問に、社内の誰かが即答できるでしょうか。答えが「たぶん大丈夫です」で止まるなら、確かめる場所がまだ決まっていない、ということになります。
この確認がやりにくいのは、答えが「情報の種類」ではなく「契約の種類」で変わるからです。同じ製品名でも、個人で登録したアカウントと会社が契約したアカウントでは、公式ページの記載も、見に行く場所も違います。
この記事は、2026年8月16日に確認した公的資料と各社の公式ページだけを土台に、確かめる手順を契約の種類別に整理します。確認できなかったことは「確認できなかった」と書きます。
先に、3つの問いに短く答えます
問1「まず何を確かめるのか」|情報の仕分けより先に、そのアカウントの契約の種類です。公的資料の条件節も「学習に使われる予定がある場合には」となっています。
問2「どこを見るのか」|個人向けはアプリの設定画面、法人向けは契約書面と管理コンソールです。
問3「オフにすれば終わりか」|終わりません。3社とも、設定を外しても残る扱いを公式ページに書いています。
「入れていい情報」から決めようとすると、必ず止まる
社内で生成AIの扱いを整えようとすると、最初の議題はたいてい「何を入れてよくて、何を入れてはいけないか」になります。個人情報は入れない、機密情報は入れない。ここまでは全員が同意しますが、「では、見積書は機密ですか」で止まります。線が引けないまま、議論だけが長くなります。
公的資料を読むと、行き詰まりの理由が見えてきます。線引きの条件が、情報の種類だけでは書かれていないのです。個人情報保護委員会は2023年6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、事業者に向けて次のように書いています。
本人の同意を得ることなく生成AIサービスに個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。そのため、当該生成AIサービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。(個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」より要約して引用)
求められているのは、判断ではなく確認という動作です。「気をつけましょう」ではなく「確かめてください」と書いてあります。この資料は2023年6月のまま更新されていませんが、失効したわけではなく、2026年3月公表のAI事業者ガイドラインが参考文献として挙げています。
公的資料は、確認という作業を先に置いている
もう一段はっきり書かれているのが、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」です。最新版は第1.2版で、2026年3月31日に公表されました(第1.0版は2024年4月で、おおむね1年に1回のペースで改定されています)。自社でAIを使う企業に当てはまるのは主に第5部で、その別添(付属資料)に、線引きの条件そのものが書かれています。
例えば、生成AIサービスの利用にあたって、入力する機密情報が生成AIサービスの提供者においてAIの学習データとして利用されることが予定されている場合には、機密情報を含むプロンプトを入力しないよう留意する
(個人データについても、同意を得られていない個人データを含むプロンプトを入力しないよう留意する、と同じ構造で書かれています)
注目したいのは条件節です。「学習データとして利用されることが予定されている場合には」——入力の可否を考える前に、そのサービスが学習に使う設定かどうかが置かれています。情報の種類だけでは決まらない、という構造が公的文書に明記されています。
宅配便にたとえるなら、中身が割れ物かを考えるだけでは足りず、その便がどう扱われるのかを知る必要がある、という話です。中身の判断と運ばれ方の確認は、別の作業です。
公的資料は、中小企業の実態にも触れています
同じ別添の「機密情報の流出」という項目には、次の記述があります。
生成AI系サービスでは利用障壁が下がっていることから、特に、企業のルール等が未整備の場合、企業による管理の外で、従業員が業務に業務外利用者向けの生成AIを用い、リスクの高い使用をする恐れもある
企業は、特に機密情報を処理するにあたっては、代わりにそのようなサービス又はアプリケーション(ビジネス利用を想定した対話型生成AI)を使用することが推奨される
この資料では、消費者向けサービスが「業務外利用者向け」と表現されています。言い換えると、公的資料が想定する最大の穴は会社が把握していないアカウントでの業務利用です。ここが点検手順の出発点になります。
土台にしている公的資料はもう2つあります。IPAとAIセーフティ・インスティテュートの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」(2026年4月2日公開)は「クラウドAIに営業秘密は教えない」と示しています。デジタル庁の「生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(DS-920)」は行政機関向けで、2.0版は2026年6月公表、施行は2026年9月1日。この記事の時点ではまだ適用が始まっていません。
契約の種類で、見る場所が変わる
ここから実務の話です。確認を始めるとき、最初にやるのは製品ごとの調査ではありません。アカウントを契約の種類で3つに分けることです。
3つ目が難物です。禁止令を出しても、本人が「これは業務ではない」と考えていれば申告は出てきません。「使っていた人を探す」のではなく「会社契約に寄せるために、いま使っているものを教えてほしい」という聞き方に変えると、集まる情報が変わります。外部ベンダーの見極め方はAIベンダーのセキュリティを見極める設計で整理しています。
個人向け|ChatGPTの学習をさせない設定はどこにあるか
個人で登録したアカウントは、設定画面を開けばその場で確認できます。問題は、項目名が各社で違うことです。
※ 上図は2026年8月16日時点の各社公式ページの記載です。設定名は変わることがあります。
ChatGPT|止めたい人が止める書き方になっています
OpenAIの個人向け利用規約(2026年1月1日発効)には「使用停止(オプトアウト)」という見出しで、モデルの学習に自分のコンテンツを使うことを望まない場合は手順に従って使用停止を要求できる、と書かれています。つまり何もしなければ、いまの状態が続くという設計です。
経路は、学習利用を止める手順を案内した公式ヘルプによれば、プロフィールから設定に入り、Data Controlsの中のImprove the model for everyoneをオフにするというものです。この設定はアカウント全体に適用されること、履歴を残す設定と学習の設定は別であることも記載されています。Data Controls の各項目を説明したヘルプもあわせて公開されています。
ひとつ断っておきます。上記の項目名と経路は公式ヘルプの記載にもとづくもので、逐語の引用ではありません。設定名は改定されることがあるため、実際の画面を開いて確かめてください。
Claude|利用者が選ぶ方式。ただし初期値は確認できていません
Anthropicのプライバシーセンターは、消費者向けで学習に使う場合として、利用者が許可を選んだ場合、安全性レビューで印が付いた場合を挙げています(更新日は2026年3月16日)。経路は、自分の名前からSettings、次にPrivacy、その中のHelp Improve our AI modelsです。
ここで正直に書きます。この設定の初期値がオンなのかオフなのかは、公式ページ上に明記を確認できませんでした。確認できたのは、利用者が選ぶ方式であること、既存の利用者は2025年10月8日までに選択が必要とされたことまでです。「初期状態でオフのはず」という前提は置かないほうが安全です。保持期間は、学習に使うことを許可した場合は識別情報を外した形式で最長5年、会話を削除した場合は30日以内と書かれています。
Gemini|警告文が、そのまま書いてあります
個人向けGeminiアプリのヘルプには、レビュー担当者に見られたくない情報や、Googleが機械学習を含むサービス改善に使うことを望まない機密情報は入力しないでほしい、という趣旨の一文が置かれています(更新日は2026年8月10日)。項目名はGemini Apps ActivityとKeep Activityで、オンのときはチャットが人間のレビュー担当者の確認対象になります。保持は既定で18か月、一時チャットは72時間です。
法人向け|見るのは画面ではなく契約書面
会社が契約したアカウントになると、確認先が変わります。トグルスイッチを探しても見つかりません。約束が書かれている場所が、画面ではなく契約書面に移るからです。それが読み取れるのが、OpenAIの個人向け利用規約です。
当社の事業者用取引規約は、ChatGPT Enterprise、当社のAPI、並びに企業及び開発者向けサービスの使用について定めています。(OpenAI 利用規約・2026年1月1日発効)
個人向けの規約を最後まで読んでも、法人向けの条件は出てきません。いわば、店頭の掲示とは別に、取引先向けの契約書が存在する状態です。ここも正直に書きます。この記事の調査では、その事業者用取引規約の本文を取得できませんでした。そのため本記事では「OpenAIの法人向けは既定で学習に使わない」という言い方をしません。
もうひとつ、同じ規約には、組織が所有するメールアドレスで作ったアカウントが組織のビジネスアカウントに追加される場合があり、移行後は組織の管理者がアクセスや制限・削除を管理できるようになる、とも書かれています。会社のドメインで登録したアカウントは、個人のものとして完結しない可能性があります。
Claudeの商用向けは、記載がはっきりしています
Anthropicの商用向け(Claude for Work / Team / Enterprise / API)については、次の記載があります(更新日は2026年3月16日)。
We will not use your chats or coding sessions to train our models, unless you choose to participate in our Development Partner Program
(チャットやコーディングセッションをモデルの学習には使いません。Development Partner Program に参加を選んだ場合を除きます)
既定では使わず、自分から参加を選んだ場合に例外がある、という書き方です。ただし同じページは続けて、高評価・低評価などのボタンで明示的に報告した場合や、ほかの方法で明示的に学習に参加を選んだ場合は、その素材を学習に使うことがある、とも書いています。例外はこの1つだけではありません。2025年8月28日公表の消費者向けの条件変更も、商用向けは対象外と明記されています。実際の条件は、自社が結んだ書面で確かめてください。
| サービス | 契約の種類 | 見る場所 | 画面や書面での呼び名 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 個人向け | アプリ内の設定 | 設定 → Data Controls →「Improve the model for everyone」をオフ |
| ChatGPT | 法人向け・API | 契約書面(規約とは別文書) | 「事業者用取引規約」が企業・開発者向けを定めると規約に明記 |
| Claude | 個人向け | アプリ内の設定 | Settings → Privacy →「Help Improve our AI models」をオフ |
| Claude | 商用(Work / Team / Enterprise / API) | 公式ヘルプと契約 | 既定で学習に使わない。例外は Development Partner Program への参加と、高評価・低評価などで明示的に報告した場合 |
| Gemini | 個人向けアプリ | Googleアカウントの設定 | 「Gemini Apps Activity」「Keep Activity」をオフ、または一時チャット |
| Gemini | Google Workspace 内 | 管理コンソールと利用規約 | 管理者がアクセス制御・監査ログ・Vaultを管理。学習不使用は規約に記載 |
※ 上表は2026年8月16日時点の各社公式ページの記載です。項目名・条件は改定されることがあります。
同じ「Gemini」でも、扱いがほぼ逆になる
製品名だけでは判定できない、という話の実例が Gemini です。個人向けアプリとGoogle Workspace内のGeminiでは、公式ページの書きぶりがほぼ逆になっています。
| 確認したいこと | 個人向け Gemini アプリ | Google Workspace 内の Gemini |
|---|---|---|
| 学習への利用 | 機密情報は入力しないよう促す注意書きがある | 顧客の事前の許可や指示なしには学習に使わない、と記載 |
| 人間によるレビュー | 設定がオンのとき、レビュー担当者が確認する対象になる | 許可なくドメイン外で人間のレビューを受けることはない、と記載 |
| 確認する場所 | 本人がアカウントのアクティビティ設定を開く | 管理者が管理コンソールと監査ログを見る |
| ページの更新日 | 2026年8月10日 | 2026年8月14日 |
※ 上表は2026年8月16日時点の各社公式ページの記載にもとづきます。
Workspace側の原文は、次のように書かれています。
Workspace does not use customer data for training models without customer’s prior permission or instruction.
(Workspaceは、顧客の事前の許可または指示なしに、顧客データをモデルの学習には使用しません)
ひとつ条件があります。この内容は、対象となるGoogle Workspace のエディションを利用している場合に適用され、個人のGoogleアカウント向けの機能は対象外です。同じ会社の中で両者が混在していれば、扱いは別々になります。
たとえるなら、同じ看板の店でも直営店とそうでない店では決まりが違う、という状態です。社内で確認するときは「何を使っているか」ではなく「どのアカウントでログインしているか」まで聞く必要があります。
オフにしても残る扱いがある
設定をオフにすれば終わり、とはなっていません。3社とも、例外を公式ページに書いています。
※ 上図は2026年8月16日時点の各社公式ページの記載です。
Claudeの記載がいちばん詳しいです。安全性レビューで印が付いた会話は、利用ポリシーの検知や執行の改善のために使われることがあるとされ、高評価・低評価のボタンを押した場合は、関連する会話全体を保護された領域に最長5年保存すると書かれています。Geminiは、Keep Activityをオフにしても72時間は保持され、人間がレビュー済みのチャットは最大3年保持されるとの記載です。
ここから線が見えてきます。「学習に使わない」と「保存されない」は別の話だということです。学習の設定は、水を貯めるかどうかではなく、どこへ流すかを切り替える弁のようなものだと考えると、区別がつきます。
時間の向きも注意点です。Anthropicの公式ヘルプは、設定をオフにすると今後の会話は学習に使わないとしたうえで、すでに開始されている学習には引き続き含まれる、と書いています。この設定は蛇口を閉める操作に相当するもので、すでに流れた分を戻すものではありません。
7つの点検手順と、記録の残し方
ここまでの内容を、順番に実行できる形に落とします。
1番から3番|台帳を作り、画面をその場で記録する
台帳は紙でも表計算でも構いません。列は「サービス名」「誰が使っているか」「会社契約か個人登録か」「支払いは誰か」の4つで足ります。請求書に載っていないサービスは会社が把握していない可能性が高いので、支払いの列が効きます。
個人登録のアカウントは、本人に設定画面を開いてもらいます。大事なのは、口頭の報告で終わらせないことです。画面をそのまま記録に残してください。設定名は改定されることがあり、「オフにしました」という報告だけでは、何をオフにしたのかが後から分かりません。
4番から6番|書面の場所を控え、例外を現場に伝える
会社契約の場合は、契約書面のどこに書いてあるかを控えます。文言を写す必要はなく、「どの文書の、どの項目に書いてある」が分かれば十分です。管理者がいる場合は、管理コンソールの設定と監査ログの有無も確認しておくと、後から「誰が何を使ったか」を追えます。
そして、先ほどの例外は、使う人が知らなければ回避できません。「便利だったので高評価を押した」という操作が別の扱いにつながるため、管理側だけが知っている状態は、確認していないのと同じです。
7番|半年ごとに見直す理由
参照した各社のページの更新日は、2026年3月16日、2026年8月10日、2026年8月14日と散らばっています。数か月単位で書き換えが起きているということです。半年ごとに台帳を開き、更新日が変わったページだけを読み直せば回ります。業務でどのツールを使うかという手前の整理がまだなら、無料枠で仕事を半分にする使い方25選で用途から入る方法をまとめています。
ルールを作る作業と、確かめる作業は別
この記事の位置づけを整理します。社内ルールを文書として作る作業——何を書くか、誰が承認するか、形骸化をどう防ぐか——は、生成AIの社内ガイドライン作成ガイドで扱っています。ルールを作る話は、そちらをご覧ください。入力してよい情報の分類や出力物の扱いまで、文書の作り方としてまとめてあります。
この記事が扱っているのは、その手前の確認作業です。いま自社が使っているアカウントと契約が、実際に学習利用を外せているかを1つずつ点検する——ここだけに絞っています。
- ルールを作る側(既存記事)——文書に何を書くか。判断基準を決め、社内に配る
- 確かめる側(この記事)——いまの状態を測る。契約と設定の実態を台帳にする
確認を先にやるほうが速く進みます。実態が分かる前にルールを書くと、現場で使われているサービスが漏れたり、すでに満たしている項目に紙を増やしたりしがちだからです。健康診断の結果を見てから食事を決めるのに相当する順番です。相談先の選び方は、中小企業のAI導入パートナーの選び方で3つの判断軸として整理しています。
私たちの見解|確認は、不安より安く済む
1つ目は、この領域が「確認できる形」になっている、ということ。設定の項目名も、保持の期間も、例外の条件も公式ページに書いてあります(この記事でも2か所は確認できませんでしたが、大半は読めば分かります)。それでも確認が止まりがちなのは、難しいからではなく、確認する場所が契約の種類で変わることが知られていないからだと考えています。
2つ目は、いちばん大きな穴が技術ではなく管理の外側にある、ということ。これは私たちの意見ではなく、AI事業者ガイドラインの別添が書いていることです。禁止令を出しても、把握できていないものは止められません。台帳を作るほうが、規程を1本増やすより先に効きます。
3つ目は、記録が次の改定に効く、ということ。日付・画面名・確認した人を残しておけば、次回は差分だけを見ればよくなります。
どのAIを業務のどこに使うかという手前の設計は、中小企業のAIツール選びの3軸にまとめました。サービス内容と料金は料金ページに記載しています。台帳づくりから一緒に進めたい場合は、無料相談でご相談ください。ご用意いただきたいのは、いま業務で使っているAIの名前と、それぞれの支払い元の2つだけです。
まとめ
- 条件:AI事業者ガイドライン第1.2版(2026年3月31日公表)の別添は、機密情報や個人データを含むプロンプトについて「学習データとして利用されることが予定されている場合には」入力しないよう留意する、と書いています
- 要請:個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月2日)は、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を「十分に確認すること」を求めています
- 分類:会社が契約して管理/個人で登録/会社が把握していない、の3つに分けてから確認します
- 個人向け:ChatGPTは「Improve the model for everyone」、Claudeは「Help Improve our AI models」、Geminiは「Gemini Apps Activity」「Keep Activity」(2026年8月16日時点の各社公式ページの記載)
- 法人向け:見るのは画面ではなく契約書面です。OpenAIの個人向け規約には、事業者用取引規約が企業・開発者向けを定める旨が明記されています
- 逆転:同じGeminiでも個人向けアプリとWorkspace内では公式記載がほぼ逆です。製品名ではなく、どのアカウントでログインしているかを確認します
- 例外:Claudeは高評価・低評価を押した会話を最長5年保存、Geminiは人間がレビュー済みのチャットを最大3年保持すると記載しています
この確認作業は、新しい仕組みを買う話ではありません。すでに契約しているものについて、書いてあることを読み、画面を開き、記録に残す。地味な代わりに、外部から説明を求められたときにそのまま出せる形が残ります。台帳の1行目から始めてみてください。
よくある質問
Q1. 設定を「学習に使わない」にすれば、入力する情報を気にしなくてよくなりますか?
そうはなりません。AI事業者ガイドライン第1.2版の別添は、入力する機密情報がAIの学習データとして利用されることが予定されている場合には、機密情報を含むプロンプトを入力しないよう留意する、と書いています。学習利用を外すことは、この条件をひとつ外す作業にあたりますが、それで判断が終わる書き方にはなっていません。実際、各社の公式ページには、設定をオフにしても残る扱いが明記されています。Claudeは高評価・低評価のボタンを押した会話について、関連する会話全体を最長5年保存するとしています。Geminiは、設定をオフにしても72時間は保持されると書かれています。
Q2. 会社として契約していない、社員が個人で登録したアカウントを業務で使っています。どこを見ればよいですか?
見る場所はアプリ内の設定画面ですが、本人しか開けません。会社側からは設定も履歴も確認できないため、どのアカウントが業務で使われているかを洗い出す作業が先に来ます。AI事業者ガイドライン第1.2版の別添は、企業のルール等が未整備の場合、企業による管理の外で、従業員が業務に業務外利用者向けの生成AIを用い、リスクの高い使用をする恐れもある、と書いています。同じ資料は、機密情報を処理するならビジネス利用を想定した対話型生成AIの使用が推奨される、とも書いています。
Q3. 社内で「Geminiを使っている」と聞きました。これだけで学習に使われるかどうか分かりますか?
分かりません。同じGeminiという名前でも、個人向けのGeminiアプリとGoogle Workspace内のGeminiでは、公式ページの記載がほぼ逆になっています。個人向けアプリのヘルプには、レビュー担当者に見られたくない機密情報は入力しないでほしい、という趣旨の注意書きがあります。一方、Workspaceの管理者向けページには、顧客の事前の許可や指示なしに顧客データをモデルの学習に使わない、と書かれています。判定に必要なのは製品名ではなく、どのアカウントでログインしているかです。
Q4. 個人向けのClaudeは、初期状態で学習に使わない設定になっていますか?
本記事の調査では、初期値がオンかオフかを明記した公式の記載を確認できませんでした。確認できたのは、利用者が選ぶ方式であること、新規の利用者はサインアップ時に選択すること、既存の利用者は2025年10月8日までに選択が必要とされたこと、までです。したがって、初期状態ならオフのはずという前提は置かず、実際に設定画面を開いて確認してください。経路は、自分の名前からSettings、次にPrivacy、その中のHelp Improve our AI modelsです。
参照元・出典
本記事は2026年8月16日に確認した公開情報にもとづきます。設定名は改定されるため、変更前にリンク先の最新の記載をご確認ください。行政資料と各社の公式ページのみを一次として扱い、法的な判断ではなく、公表資料に何と書かれているかを整理したものです。
公的機関の資料
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会・2023年6月2日)
- AI事業者ガイドライン(総務省・掲載ページ)
- AI事業者ガイドライン 第1.2版 別添(付属資料・PDF)
- AI利用者のためのセキュリティ豆知識(IPA/AIセーフティ・インスティテュート・2026年4月2日)
各社の公式ページ
- 利用規約(OpenAI・2026年1月1日発効)
- How do I turn off model training to stop OpenAI training models on my conversations?(OpenAI ヘルプセンター)
- What are the Data Controls settings?(OpenAI ヘルプセンター)
- Is my data used for model training?(Anthropic・2026年3月16日更新)
- How do I change my model improvement privacy settings?(Anthropic)
- How do you use personal data in model training?(Anthropic・2026年3月16日更新)
- Updates to Consumer Terms and Privacy Policy(Anthropic・2025年8月28日)
- Gemini Apps Privacy Hub(Google・2026年8月10日更新)
- Generative AI in Google Workspace Privacy Hub(Google・2026年8月14日更新)