2026.04.25 · 19分で読める

GPT-5.5完全解説【2026年4月】料金2倍・API未提供でも今触るべき3つの理由

GPT-5.5完全解説【2026年4月】料金2倍・API未提供でも今触るべき3つの理由

2026年4月24日午前3時29分(日本時間)、OpenAIがGPT-5.5を正式発表しました。公式ブログ「Introducing GPT-5.5」の目玉は3つ。Terminal-Bench 2.0で82.7%というSoTA達成、事実誤答率のGPT-5.4比23%改善、そして1MトークンのContext window。一方でAPI料金は入力$5・出力$30(100万トークンあたり)と、6週間前に登場したGPT-5.4のちょうど2倍。API提供は「近日公開」で、発表当日のルートはChatGPT UIとCodexアプリ経由のみでした。

料金2倍でAPI未提供、それでも触る価値はあるのか。本記事では一次ソースを突き合わせ、「GPT-5.4から切替すべきか」「他モデルと並行運用すべきか」を運用者目線で判断できる形にまとめます。Codex経由で触った感触と今すぐ触るべき3つの理由まで。

目次

  1. GPT-5.5とは何か:2026年4月24日発表の全体像
  2. GPT-5.4から6週間の衝撃:リリースサイクル加速の意味
  3. Terminal-Bench 82.7%の実力:SoTAの中身を数字で読む
  4. Claude Opus 4.7との対決:Agentic Codingの王座争い
  5. 料金体系の解剖:$5/$30とGPT-5.5 Pro $30/$180
  6. 「2倍値上げ」は正当化できるか:実コスト試算
  7. ChatGPT提供状況:Plus/Pro/Business/Enterpriseの差
  8. APIはいつ解放されるか:Codex経由の暫定ルート
  9. Context 1M tokensの活用術:長文処理の新地平
  10. 日本語性能の現状:公式ベンチがないという事実
  11. 事実誤答率23%改善の意味と残る制限
  12. 企業導入の判断軸:GPT-5.4から切り替えるべきか
  13. 筆者の実運用所感:Codex経由で触って見えたこと
  14. 今後の展望:API解放・mini/nano・Free展開予測
  15. まとめ:今触るべき3つの理由
  16. FAQ:よくある質問

GPT-5.5とは何か:2026年4月24日発表の全体像

GPT-5.5はOpenAIが2026年4月24日(日本時間)に公開した最新のフロンティアモデルです。OpenAI公式ブログによれば、前世代であるGPT-5.4の強みを引き継ぎつつ、エージェント的長時間タスク事実性の2軸で大きくスコアを伸ばしたとされています。発表はサンフランシスコ時間4月23日午前11時29分に行われ、同時刻にChatGPTのPlus/Pro/Business/Enterpriseで段階的にロールアウトが始まりました。

モデルラインナップは「GPT-5.5」(標準版)と「GPT-5.5 Pro」(長時間思考・高難度タスク向け)の2種類。GPT-5.5 ProはChatGPTのPro/Business/Enterpriseプラン加入者のみが利用できます。Freeプランには今回のアップデートでGPT-5.5は開放されず、Freeは引き続きGPT-5.3をベースに1日数回程度のやり取りを想定した運用となります。

位置付けを直感的に表現すれば、GPT-5.4が「3時間クラスのプロジェクト支援担当」だとすれば、GPT-5.5は「20時間クラスの長期プロジェクトを最後までやり切る担当」。OpenAIはこれを「Expert-SWE(20時間級の長時間ソフトウェア工学タスク)でGPT-5.4を明確に超えた」と表現しています。

GPT-5系列の加速リリース GPT-5.4発表から僅か6週間でGPT-5.5が登場 GPT-5.0 2025年8月 GPT-5.3 2026年1月 GPT-5.4 2026年3月6日 GPT-5.5 2026年4月23日 僅か6週間 = 48日間 AI Lab OISHI
GPT-5.4から6週間でGPT-5.5が登場。リリース間隔はGPT-5.0→5.3の5ヶ月から急速に短縮している(筆者作成・OpenAI公式発表日ベース)。

GPT-5.4から6週間の衝撃:リリースサイクル加速の意味

今回のリリースで多くの開発者が驚いたのは、性能そのものよりリリース間隔でした。GPT-5.4が公開された2026年3月6日から、GPT-5.5の発表2026年4月23日まで、日数にしてわずか48日間。比較対象として、GPT-5.0から5.3までは約5ヶ月、5.3から5.4までは約2ヶ月かかっており、今回の加速は明らかです。

この加速は単なるマイナーアップデートが高頻度化したという話ではありません。Terminal-Bench 2.0で前世代を明確に上回るスコアを出しているため、「本格的な能力向上を伴うモデル公開が四半期より短い周期で行われる」という時代に入ったと見るべきです。ソフトウェア開発の「毎週リリース」に近い感覚で、基盤モデルが更新されていく。運用側は「モデル名を固定して作り込む」前提を見直す必要が出てきました。

運用者目線で効いてくるのは、業務ワークフローに組み込んだGPT-5.4がまだ本番安定期を迎える前に次世代が降りてきているという点です。プロンプト設計、エージェント定義、評価スイートは「直近モデルへのoverfit」を避け、ベースラインモデル抽象層を挟んでおくのが現実解。A/Bで新旧を並行回し、回帰スイートで差分だけチェックするリリース対応力がAIシステムの必須スキルになります。

Terminal-Bench 82.7%の実力:SoTAの中身を数字で読む

GPT-5.5の最大の見どころはTerminal-Bench 2.082.7%というSoTA(State-of-the-Art、現時点での最高スコア)を叩き出したことです。Terminal-Benchはシェルを使わせて実タスク(ファイル操作、パッケージインストール、環境構築、テスト実行、デバッグ等)を解かせるベンチマークで、「ターミナルで自走できるか」というエージェント的能力を直接測定します。

82.7%がどれだけ強いかというと、前世代GPT-5.4は同ベンチで75.1%、その前のGPT-5.3は65%台でした。たとえるなら、ベテラン開発者でも1日がかりの環境構築タスクを、時間をかければほぼ完走できるレベルです。VentureBeatの検証記事によれば、Claude Mythos Previewも同水準帯で、スキャフォールド条件により勝者が入れ替わる僅差の並走状態と認識しておくのが安全です。OpenAI発表の82.7%は同社標準スキャフォールド下の値で、Claude側が別スキャフォールドでより高スコアを出す報告も出ています。

さらに注目すべきはExpert-SWEというOpenAI内部ベンチ。20時間級の長時間ソフトウェア工学タスクを想定したもので、GPT-5.5はGPT-5.4を明確に超えました。「人間が1〜2営業日かけるコーディング案件をAIが最後までやり切る」文脈で重要な指標です。ハンマーで釘を打ち続けるとき、途中で手が震える人と同じペースで打ち切れる人の差に近いものが出ます。

主要ベンチマークスコア比較 GPT-5.5 / GPT-5.4 / Claude Opus 4.7(公式公表値ベース) Terminal-Bench 2.0 82.7% GPT-5.4 : 75.1% SWE-Bench Pro 58.6% Claude Opus 4.7 : 64.3% GPQA Diamond 93.6% BigLaw Bench(Harvey) 91.7% GPT-5.4 : 91.0% 凡例 GPT-5.5 GPT-5.4 Claude Opus 4.7 AI Lab OISHI
Terminal-Bench(82.7%)でGPT-5.5がリード、SWE-Bench ProではClaude Opus 4.7が上回る。GPQA DiamondはGemini 3.1 Pro等が上位でGPT-5.5単独SoTAではない。軸ごとに勝者が異なる並走期の構図。

Claude Opus 4.7との対決:Agentic Codingの王座争い

GPT-5.5の発表直後、最も議論を呼んだのはSWE-Bench Proの結果です。GPT-5.5が58.6%、Claude Opus 4.7が64.3%という数字で、5.7ポイント差でClaudeがリード。OpenAI自身の発表資料の中でこの差がそのまま掲載されたのは異例で、「memorizationの兆候がある」という注釈を添えています。メモリゼーション、つまり学習データにベンチマーク問題が含まれていたことによるスコアの水増し疑惑を示唆している形です。

ただしOpenAIは具体的な裏付けデータを公開していません。Simon Willisonの検証記事では「OpenAIの主張はもっともらしいが、独立検証を待つ必要がある」と慎重な立場を取っています。運用者としての現実的な姿勢は、両モデルを並行検証し、自分のタスクで勝つ方を選ぶというものです。

興味深いのは「AnthropicのラインナップにGPT-5.5が追随した」と読めるモデル設計です。Claudeの「Sonnet(速い・安い)+Opus(重い・高精度)」2層構造に対し、OpenAIも今回「GPT-5.5(標準)+GPT-5.5 Pro(長時間思考)」の2層を明確化。両社のモデル設計思想が収斂してきた兆候です。

切り分けの実践例を挙げると、筆者の自動化システムでは「定型要約と軽い分類はGPT-5.4相当」「長文コード変更はClaude Opus 4.7」「事実性が厳しい調査系は今後GPT-5.5」という三本立てに再編する予定です。Claude Max側の週次クォータ消費とGPT-5.5 APIのトークン料金を天秤にかけ、タスク単位でルーティングするのが2026年春時点の最適解でしょう。

料金体系の解剖:$5/$30とGPT-5.5 Pro $30/$180

API公開後の予定単価は以下のとおりです(OpenAI platform pricingに準拠)。

モデル 入力(1M tokens) 出力(1M tokens) 対象プラン
GPT-5.4 $2.50 $15.00 全API
GPT-5.5 $5.00 $30.00 全API(近日公開)
GPT-5.5 Pro $30.00 $180.00 API + ChatGPT Pro以上
Claude Opus 4.7 $5.00 $25.00 参考値(Anthropic)

GPT-5.5はGPT-5.4のちょうど2倍。GPT-5.5 ProはGPT-5.5の6倍、GPT-5.4の12倍という水準です。Batch APIで半額、Flexで半額、Priorityで2.5倍という周辺価格構造はGPT-5.4と共通で、長時間バッチや非同期処理ではこれらを活用するとコストを大きく削減できます。

Claude Opus 4.7(入力$5・出力$25)との比較では、GPT-5.5標準版は入力同額・出力$5高いという水準で、両者ほぼ価格パリティ。Anthropic側のOpus 4.7が標準で安価帯に入っているため、かつてあった「OpenAIが圧倒的に安い」という構図は解消しました。一方GPT-5.5 Proは出力$180という重量級で、Opus 4.7の7倍超。「ここぞ」のタスクに限定する運用が前提になります。

API料金比較($/1M tokens) 入力(薄色)と出力(濃色)の合計感を比較 GPT-5.4 $2.5 + $15 = $17.5 GPT-5.5 $5 + $30 = $35(2倍) GPT-5.5 Pro $30 + $180 = $210 Claude Opus 4.7 $5 + $25 = $30 ポイント 標準版2モデルはほぼ価格パリティ、Proは別格のプレミア帯 AI Lab OISHI
GPT-5.5標準版はClaude Opus 4.7と価格ほぼパリティ(入力同額・出力$5高い)で、GPT-5.4の2倍。Proは性能重視案件向けのプレミア価格。

「2倍値上げ」は正当化できるか:実コスト試算

GPT-5.4からGPT-5.5へAPIを切り替えた場合のコスト影響を、3つの典型ワークロードで試算します。1ドル150円換算です。

ワークロード 月間トークン GPT-5.4月額 GPT-5.5月額 差額
ブログ記事要約100本 入力500万・出力100万 約4,125円 約8,250円 +4,125円
社内Q&Aボット 入力1000万・出力300万 約10,500円 約21,000円 +10,500円
Codexエージェント 入力3000万・出力500万 約22,500円 約45,000円 +22,500円

月数千円〜数万円の差額が発生します。判断軸は「性能向上がこの差額を回収できるか」です。エージェント運用で月45,000円の出費だとして、Terminal-Bench 82.7%が完了率を10%改善すれば、人間側のレビュー工数がどれだけ減るかを計算します。月1件の重大ワークフロー失敗が減るだけで人件費換算5〜10万円は浮く計算で、差額は十分ペイする見込みです。

一方で、単純要約・翻訳・分類中心ならGPT-5.4で十分で、2倍料金は正当化しにくいです。Batch APIの半額オプションを組み合わせれば、GPT-5.5でもGPT-5.4通常価格と同等まで抑えられ、値上げ分の大半を設計で吸収できます。

ChatGPT提供状況:Plus/Pro/Business/Enterpriseの差

ChatGPT UIでの提供状況は以下のとおりです。

プラン GPT-5.5 GPT-5.5 Pro 利用上限
Free × × GPT-5.3ベース
Plus × 制限付き
Pro ほぼ無制限
Business 企業管理機能
Enterprise SLA・カスタム

重要なのはFreeプランは今回のアップデート対象外という点です。Freeユーザーは引き続きGPT-5.3をベースに1日数回のやり取りが上限で、GPT-5.5に触れるにはPlus以上(月額約3,000円〜)へのアップグレードが必要です。

Plus以上では追加料金なしにGPT-5.5が使えます。いわば、ChatGPT UIは「使い放題の定額プラン」のようなもので、APIは「メーターで従量課金」のようなもの。UI経由でまず触感を掴みたいなら定額のChatGPT UIが経済的に有利です。

ChatGPTプラン×GPT-5.5アクセス階層 上位プランほどProモデルと高い利用上限にアクセス可能 Enterprise 5.5+Pro/SLA Business 5.5+Pro/管理機能 Pro 5.5+Pro/ほぼ無制限 Plus(月額約3,000円〜) 5.5標準版のみ / 制限付き Free:GPT-5.3のみ(5.5非対応) AI Lab OISHI
FreeはGPT-5.3のまま、Plus以上でGPT-5.5に、Pro以上でGPT-5.5 Proに到達するピラミッド構造。企業向けほどSLAとカスタム契約が付く。

APIはいつ解放されるか:Codex経由の暫定ルート

発表時点(2026年4月23日)では、GPT-5.5のAPIは「very soon」という告知のみで具体日は未公表です。OpenAIによれば、企業Enterprise顧客向けのsafety要件調整が残っており、段階的な公開となる見込みです。

ただしCodexアプリ経由であれば発表当日から実機アクセス可能です。ChatGPTにログインした状態でCodex(OpenAIのコマンドライン・デスクトップ向けコーディングエージェント)を使うと、内部的にGPT-5.5がバックエンドで動きます。APIキーでの直接呼び出しはできませんが、実機評価の第一歩としては十分です。Codexのデスクトップアプリ運用ガイドで紹介した手順で、そのままGPT-5.5を試せます。

筆者の体感では、API正式公開は2026年5月中旬〜5月末が有力です。OpenAIの過去パターン(GPT-5.4は発表2日後にAPI公開)より遅れているため、何らかの調整が入っている可能性がありますが、NVIDIAがCodex+GPT-5.5を自社インフラに投入したとNVIDIA公式ブログで発表しており、商用提供体制は整いつつあります。

Context 1M tokensの活用術:長文処理の新地平

GPT-5.5の地味だが大きな進化がContext window 1Mトークンへの拡張です。1Mトークンは日本語で約60〜70万文字。小説5〜7冊分、中規模プロジェクトのコードベース全量、100回分の会議議事録を一度に読み込めるスケールです。

これまでのRAG(検索拡張生成)は「巨大ドキュメントを分割してベクトルDBに入れ、質問時に関連断片だけ取り出す」という方式でしたが、1Mコンテキストはこの前提を揺さぶります。分割のしきい値、埋め込みモデルの選定、再ランキングのチューニング、といったRAGパイプライン特有の複雑さを「全部放り込めば良い」で置き換えられる場面が増えます。

ただし1Mを使い切る運用はtoken消費が跳ね上がります。入力1Mトークンだけで約750円、出力を含めれば1回の問い合わせで数千円というコストは現実的ではありません。ここで効いてくるのがプロンプトキャッシュBatch API。同じ大規模コンテキストを繰り返し使うなら、キャッシュヒットで入力料金を大幅に削減でき、非同期処理ならBatch半額も効きます。1Mを本気で活用するには、設計段階でキャッシュ設計を組み込むのが鉄則です。

日本語性能の現状:公式ベンチがないという事実

残念ながらGPT-5.5の公式System Cardには日本語ベンチマーク(MMLU-JA / JGLUE / Swallow Leaderboard等)の記載がありません。OpenAIの発表資料全体として英語ベンチマーク中心の構成で、多言語性能は「主要言語で改善」という定性表現にとどまっています。

筆者がCodex経由で日本語タスクを試した所感では、GPT-5.4比で体感できる改善があります。具体的には、敬語レベルの一貫性、専門用語の訳語選択、文脈に応じた語彙の濃淡、あたりで「GPT-5.4より明確に賢い」印象です。ただし定量ベンチマーク無しでの主観評価なので、業務導入前には自社データでのA/B検証が必須です。

日本語運用で気を付けたいのは、GPT-5.5がまだ英語で考えて日本語で出力する傾向を残している点。指示を英語で書くと出力品質が上がるケースがあり、システムプロンプトだけでも英語化する設計も選択肢です。日本語タスクで性能を出し切りたい場合、GPT-5.4の運用と同様にfew-shot例を2〜3個添えるスタイルは引き続き有効です。

事実誤答率23%改善の意味と残る制限

GPT-5.5で最も運用者が恩恵を受けるのは事実誤答率の改善でしょう。OpenAI公式の内部評価で、個別claimベースの誤答率がGPT-5.4比23%減。フェアに言い換えれば、「10回の事実主張のうち2回間違っていた状態が、1.5回に減った」というレベルの改善です。

これは業務リスクに直結する領域、つまり法務・医療・金融・学術サポートでの「使えるかどうか」のラインを越える改善幅です。Harvey(法務AI)の検証ではBigLaw Benchで91.7%を記録し、実弁護士水準の業務品質に近づいたと評価されています。

ただしハルシネーションがゼロになったわけではないことは強調しておきます。特に「最新の細かい数値」「固有名詞と日付の組み合わせ」「引用文の正確な再現」は依然として苦手分野です。運用サイドでの対策として、出力に含まれる具体数値・引用・URLは必ず独立した検証ステップを挟むことが引き続き必須です。筆者の自動化パイプラインでは、ブログ記事執筆時の数値・引用は全て一次ソース直読で検証する工程を独立したサブエージェントで組んでおり、GPT-5.5に切り替えてもこの層は外しません。

企業導入の判断軸:GPT-5.4から切り替えるべきか

「GPT-5.4からGPT-5.5に切り替えるべきか」という問いに、以下の3条件のいずれかに該当するならYes、そうでなければ当面GPT-5.4継続でOK、というシンプルな判断軸を提示します。

  1. コーディングエージェントが主戦場:Terminal-Bench 82.7%の恩恵を受けられる
  2. 長文ドキュメント処理が中心:Context 1M tokensで業務フローが単純化できる
  3. 事実性が重要な業務:23%の誤答率改善がリスクを有意に下げる

逆に、単純要約・翻訳・軽対話中心の運用では、2倍の料金増は正当化しにくく、GPT-5.4で十分。この場合は「ChatGPT UIでPlus以上を契約して個人用途でGPT-5.5を使い、業務用APIはGPT-5.4を継続」というハイブリッドが現実解です。

組織として切り替える場合は、1週間の並行運用期間を設け、既存の評価スイート(回帰テスト)を両モデルで走らせて差分を確認することを強くお勧めします。ベンチマークスコアが上がっていても、自社プロンプトに対して実際に勝つかは別問題です。期待した改善が出ない場合はGPT-5.4継続、明確に出れば切替、という意思決定データを自分で取ることが重要です。

GPT-5.4からGPT-5.5への切替判断フロー GPT-5.4で 運用中の業務 以下3条件のいずれか該当するか? コーディング / 長文処理 / 事実性重視 No Yes GPT-5.4を継続 2倍料金は正当化しにくい 1週間並行運用 評価スイートで差分確認 自社データで有意差あり→切替 無ければGPT-5.4継続 AI Lab OISHI
GPT-5.5への切替判断は3条件のいずれか該当なら並行検証、そうでなければGPT-5.4継続という二段階判定が実務で機能する。

筆者の実運用所感:Codex経由で触って見えたこと

発表から約12時間、Codexアプリ経由でGPT-5.5を触った範囲で感じたことを正直にまとめます。業務用のコーディングエージェントとブログ執筆アシスタントの2系統で試しました。

良かった点:長文コードの大域的な一貫性が向上しました。1,000行超のPythonファイルで「全部読んで、この方針で書き直して」と指示すると、GPT-5.4は途中でファイル先頭の前提を忘れてドリフトしていましたが、GPT-5.5は最後まで一貫性が保たれました。ちょうど馬力のあるエンジンを載せた車のように、長距離でも息切れしない余裕があります。

気になった点:レスポンスのtoken出力速度がGPT-5.4比でやや遅い印象です。Codex経由なのでピュアAPIレイテンシは測れませんが、体感で2〜3割遅く、長時間思考モードでは1分近く待つことも。腰を据えて長考させる用途向けというポジションが明確です。

ブログ執筆アシスタントでは、下書き段階の事実主張の密度と精度に改善を感じました。最新ニュースに絡む数値・日付の精度が上がり、自前ファクトチェック工程で見つかる要修正件数が体感で減っています。とはいえ人間側の最終チェックは外せません。

今後の展望:API解放・mini/nano・Free展開予測

2026年4月末時点で見えている今後のシナリオを整理します。

1. API正式公開(2026年5月中〜下旬予測):Enterprise向けsafety要件の調整完了次第、Chat Completions/Responses APIで公開される見込み。価格は$5/$30のまま出る可能性が高いです。

2. mini/nano系の登場(2026年6月以降予測):GPT-5.4系で展開されたmini/nano版と同様、軽量・低価格版が派生する可能性あり。Free開放はこの派生経由が有力です。

3. Codexバックエンドの完全移行:NVIDIAインフラ投入発表のとおり、CodexがGPT-5.5ベースに切り替わります。

4. リリース間隔のさらなる短縮:6週間サイクルが一時的か新常態かは要観察。運用側は「モデル依存を薄く保つ」設計を常態化させる必要があります。

まとめ:今触るべき3つの理由

GPT-5.5は「料金2倍・API未提供」という2つの慎重判断要素を抱えながら、それでも今すぐ触っておくべき理由が3つあります。

  1. Terminal-Bench 82.7% SoTAという到達点を自分のタスクで検証する:Claude Opus 4.7との差が僅差の今こそ、両軸で並行検証して優位性を自社データで判断できる窓です。王座が確定する前に、自分の現場で「どちらが勝つか」を知っておく価値があります。
  2. Context 1M tokensで業務ドキュメント運用を刷新する:従来RAGパイプラインの複雑さを吸収できる現実解が到来しました。長文プロジェクト文書、会議議事録、コードベースを「全量放り込む」設計に移行する糸口として、今から検証を始めれば6月のAPI安定期には本格運用に移れます。
  3. 事実誤答率23%改善の恩恵を業務リスク軽減に変える:法務・医療・金融など事実性が重い領域では、GPT-5.4からの切替単体で運用リスクが目に見えて下がります。ChatGPT UI経由で即日触れるため、API待ちで足踏みする必要はありません。

2倍の料金は痛いですが、「重いエンジンに燃費改造を組み合わせる」運用設計で十分吸収可能です。Batch API半額・プロンプトキャッシュ・GPT-5.4との使い分けで、コスト増の大半を無効化できます。

AI運用は「新モデルが出たら即全切替」でも「慎重すぎて触らない」でもなく、自社データで検証してから判断するのが正解です。GPT-5.5の登場は、その判断フレームを今のうちに整備しておく良い契機です。

FAQ:よくある質問

Q1. GPT-5.5はいつからAPIで使えますか?

2026年4月23日の発表時点では「近日公開」のみ告知されており、具体日は未発表です。OpenAIの過去パターンを考慮すると、2026年5月中〜下旬のAPI公開が有力視されます。それまでの期間はChatGPT UI(Plus以上)またはCodexアプリ経由でアクセスできます。

Q2. GPT-5.5 ProとGPT-5.5標準版はどう使い分けるべきですか?

GPT-5.5 Proは長時間思考・高難度タスク専用のモデルで、出力料金がGPT-5.5標準版の6倍です。数学的証明、複雑な設計判断、法務文書の精査、複数条件を満たす最適化問題などに限定して使い、日常的な要約・翻訳・分類は標準版が適切です。常時Proを使う運用はコスト効率が悪く、ChatGPT UI(Pro/Business/Enterprise)での利用が基本になります。

Q3. GPT-5.5は日本語で使うと性能が落ちますか?

公式ベンチマークに日本語評価は含まれていませんが、筆者がCodex経由で試した範囲では、GPT-5.4比で敬語や専門用語の精度が体感できる範囲で改善しています。ただし定量データが無いため、業務導入前には自社タスクでのA/B検証が必須です。システムプロンプトを英語化し、few-shot例を2〜3個添える設計はGPT-5.4と同じく引き続き有効です。

Q4. ChatGPT FreeプランでGPT-5.5は使えますか?

使えません。FreeプランはGPT-5.3ベースのまま1日数回の制限付き運用で、GPT-5.5およびGPT-5.5 Proは対象外です。GPT-5.5を試したい場合はChatGPT Plus(月額約3,000円)以上のプランへのアップグレードが必要で、追加API料金なしにUIから使えます。

Q5. OpenAIが言う「SWE-Bench ProのClaudeにmemorizationの疑い」は本当ですか?

OpenAIが発表資料内で指摘していますが、具体的な裏付けデータは公開されておらず、Anthropic側の反論もまだ出ていません。独立検証機関の結果を待つのが賢明です。運用者の現実的な立場は、両モデルを自社データで並行評価し、自分のタスクで勝つ方を選ぶことで、公式の互いの主張は参考情報にとどめるのが安全です。

参照元

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